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第一章前編・閑話的外伝「精湯治性射・黄金水伝説完結編」(竹)なんということでしょう
第六十三話「いきなりナマ脱衣(後編)」
しおりを挟むそんなこんなで辺りは闇。
そりゃそうだ。今俺は絶賛目瞑り中なう。
なぜかって?
目の前のあまりの絶景さに、つい破廉恥な目を嫁に向けてしまったからさ。
まったくもってけしからん。男ってのは罪深いね。度し難いよ。
けどさ、それが男ってもんじゃん?
ゆえに、俺の耳は拾ってしまうのだ。無意識に。その音を。
それは忌まわしくも甘美で、呪わしくも淫靡な旋律。
シュルリと、舐めまわすように鼓膜を撫でる、あの衣擦れの音だ。
この目を開くべきか、開かざるべきか、それが問題だ。
ちなみに、俺の脳は現在も無意識に加速中だ。
なんという残酷な話だろう。
俺は今、圧倒的ステータスの暴力による常時発動型スキル的効果により、あの瞬間から時がほぼ止まり続けているも同然なのだ。
例えるならそう。ゲームのポーズ画面みたいなもんだ。
ゆえに、目を開きさえすればそこには、あの続きが待っているのだ。
そう、おぱんちゅ様を太股の付け根まで降ろし、半ケツ状態を晒したルティエラさんが。あのおパンツ脱ぎ脱ぎショーの続きが、今まさに、俺を待っているというのに。
なんという残酷な話だろう。
おにゃの子がナマでおぱんちゅを脱ぎ捨てる瞬間。それこそが生脱ぎにおける一番の見所。俺は、それこそが一番見たかったんじゃないのか?
眼前にはそんな、この世の奇跡とも言うべき光景が待ち受けているはずなのに。あぁ、それなのに。
ならば、どうする?
――答えなど、決まっている。
俺はうっすらとだけ、わずかに、さりげなく薄目を開き、目を閉じて横を向いているふりをしたまま、全力の横目で、ガン見する。
普通なら、そんな子供騙しの、策ですらない、小手先以下の小細工などはすぐに見破られるに違いないだろう。
現に、女子は視線に対する感度がやたらめったら異常なまでに高いと聞く。
だが、ここは異世界だ。
しかもスキルのある異世界だ。
――ゆえに、今持っているスキルを全力投入する。
隠密で気配を消し、件の小細工技は隠蔽スキルを使用。だが、共にCランクだ。これだけでは少々心もとない。
スキルポイントはまだ豊富にある。ステータスプレートを開いて強化するという手もありはしただろう。だが、今そんなことをすればバレバレだし、スキルを選んで上げている内に脱ぎ脱ぎショーが終わってしまうだろうから本末転倒だ。
つまり、それは今持っている手札だけで勝負するしかないということに他ならない。
だが、忘れてはならない。俺には偽装スキルさんがあるということを。安定のSランクの御業がきっと素敵な仕事をしてくださることだろう。
さぁ、複数スキルの組み合わせロール開始だ。
心静かに、気配を消しされ。相手の意識を他へと向けるのだ。そう、認識阻害レベルで、隠密と隠蔽を偽装するのだ。
この程度のことにくだらない? スキルの無駄遣いだって?
――いいや、それだけの価値が、この光景にはある。
だって、今得られるドキドキってのは、未来でも得られるとは限らないのだから。
心老いて枯れ果ててしまう前に、全力で今この瞬間を俺は楽しむ。それこそが男の子ってもんだろ?
……だがしかし、この姿勢。
相手に気取られないギリギリレベルで薄目にし、極限まで横目にするってのは想像以上に、正直、ぶっちゃけ、視界が狭くてくっそ見ずれぇ。
ならば、探索でベストなポジションを、感知で視覚を強化。共にBランク、そこにAランクの優れたSENを乗せれば。
――見えた!
そこにあったのは、まるで幼き少女が如き耽美にして背徳的なシルエット。
そして、ルティエラさんの白くて美しいほっそりとした太もも、その付け根より、さらに下へ下へと、スルスル丸まり、降ろされていく純白の布。
なれば、必然的に見えてくるのは、そう。その内股の狭間に刻まれしもの。すなわち。
――乙女の証たる一筋の刻印。
白き純白の美しき雪原が如きツルツルとした無毛地帯に、ほんのりと綺麗な桜色に染まりし秘密の入り口が刻まれているのだ。
まさに神秘。なんと心震える美しき眺めだろうか。まさに一枚の風景画。そう、これは芸術なのだ。
そんな光景を俺は今、加速した脳によりスローモーションでじっくりと眺めている。
やがて乙女の薫る布が膝へと下ろされてゆく。
実に、目の保養である。
女子の生脱ぎってさ。なんでこうも心温まるのだろうね。
一説によると、異性または同性の裸を見て知覚情報だけで強い性的興奮を得られるのは男だけだとどこかで聞いた覚えがある。女子は見るだけではそれ程でもないのだそうな。本当かどうか、正しいかどうかはわからんけどな。女になったことないし。あいつら嘘つくし。
だが、もしそれが本当に正しいのだとすれば、俺は今、男として生まれてきたことに感謝せざるを得ない。
なぜかって? 俺は今、喜びで満ち溢れているからさ。
ただ見るだけで、男はそれが得られるということなのだから。
例えばだ。デートだ。女性を喜ばすためにする行為。
ただそれだけのことをするために、男は様々な工夫と努力を要する。
雰囲気作りから楽しい会話に至るまで。美味しい料理に粋なトーク。聞きに徹することも大事だと聞く。
他にも色々あるんだろう。考えるだけで面倒くさい。
だが、それはつまり、女はそれくらい複雑な要素が無ければ異性で楽しむことができない、ということだ。
男ならどうか。美女が裸になるだけでオールオッケー。やらせてくれればパーフェクト。実にわかりやすい。
だが、女はその、するに至るまで、本気になるまでが非常に面倒くさい。どれだけ他の要素が無ければ楽しめないというのか。
まぁ、顔やらその他もろもろで本気にさせることができたのなら、案外男と同じくらい単純になったりすることもあるのだろうが。
男は単純だ、などという言葉がある。
だが、それの何が悪い。
単純だからこそ、男は楽しいのだ。楽しめるのだ。
だって、現に、俺は今、嫁の美しい裸体を眺めているだけで、こんなにも幸せで満たされているのだから。
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