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第十六話「いきなりお呼ばれ!?」

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 そんなこんなで来てしまった。彼女の泊まっている宿に。
 俺達の所よりワンランク上の宿だ。
 そして俺は彼女の宿泊している部屋にいる。

 ポムポムとベッドの感触を楽しむ。
 さすがワンランク上。わりと良いベッドだ。
 うん、座るところがないのでベッドに座っているのだ。

 彼女が寝ていたベッドなのだろうか。花のような果実のような良い香りがする。

 二台あるんだから向かい合って座ればいいのに、彼女は俺の隣に座って息を荒くしていらっしゃる。匂いの原因はここかもしれない。
 俺の腕に腕を絡みつかせ、うっとりしていらっしゃる。眼がハート状態って感じだ。
 魅了の妖眼とか使ってないんだけどな。魅力SSS+ってこんなもんなのか? なんかヤバイ魔力でも放ってんのかな?

「まずは自己紹介。私はセルファリエ・オーニス。セルフィでいい。よろしく」
「アルク・ディファニオンです」
「アルク……! 勇者様!!」

 大層興奮していらっしゃる。「やっぱり勇者様だったんだ!」って顔に書いてある感じ。
 なんていうか、エサを前にした犬みたいだ。犬耳と尻尾の幻覚が見えそう。

 わりと無表情系の子なんだけどね。ポソポソと小声で抑揚薄めに喋るのが特徴的。
 なんというか、某人型決戦兵器に乗るアニメに出てくる青髪のファーストチルドレンを思い出す喋り方だ。
 ただ、その目は基本、いつもダルそうで、声も高めで可愛らしく小動物系だ。なので某ファーストさんとは全然違う印象を受ける。

 うっとりと俺の腕を堪能していらっしゃるご様子のセルフィさん。
 なんていうか、このまま頭を撫でて、キスをして、なし崩し的に事案にハッテンしてもいい気はするのだが、フィルナの顔が脳裏に浮かぶ。
 結果、なんとなく手を出し切れずに時間だけが過ぎていく。
 そんな沈黙を破ったのはセルフィだった。

「発動体」
「ん?」
「叩き落されて、何も出来なかった」

 ふむ、この世界の魔法は発動体が無いと使えないシステムなのか。

「危なかった。貴方が来なければ、あのまま……」

 トロンと潤んだ瞳で俺を見つめてくる。

 それよりも胸の感触がヤバイ。
 ふんわりと柔らかなものが俺の腕に……俺の腕にぃぃぃっ!
 平静さを取り戻すのがわりと大変だ。顔には出さないようにしてるけど俺もかなり興奮してます。

「私は、負け知らずだった」

 ポツポツと語りだすセルフィ。

「成績優秀。学校では敵無し。魔法を覚えるのだって誰より早かったし、魔力操作もこの年でSランク」

 喋るのが苦手なのだろう。必死に言葉を搾り出しているように感じられた。

「えっへん。実は凄い」

 褒めて? と顔に書いてあったので頭を撫でる。
 目を細めて喜ぶ様はやっぱり猫というよりどこか犬っぽい。

「御伽噺に憧れて、冒険者を目指した。勇者になりたかった」

 唐突に悲しげな表情になる。なりた“かった”。過去形だ。

「格好良い勇者に……憧れてた」

 その手が震える。さっきの事を思い出しているのだろうか。
 怖かっただろう。その手をそっと握る。
 もう怖くない。大丈夫、俺がいる。そんな気持ちを込めて。

「街でチンピラに襲われてる子を見かけた時、これだ、と思った」

 俺の手をぎゅっと握るセルフィ。

「結果はあのざま。うぬぼれてた」

 俺の腕に顔を埋め、小さく震える。

「私は勇者なんて器じゃない」

 そして、自分を否定する。
 それはダメだ。

 確かに今日、セルフィは失敗したかもしれない。
 それでも、彼女なりに必死になって夢を掴もうと一歩を踏み出したんだ。
 それは無謀なことだったかもしれない。
 けど、それならば学べばいいだけなんだ。
 次は二度と間違えないように、失敗を次へつなげる材料にすればいいだけなんだ。
 生きている限り、人間、夢は追い続けることができるのだから。
 こんな所でつまずいて、前に進めなくなってしまってはダメだ。

 だから、俺は彼女に――。

「そんなこと、ないと思うよ」

 優しく励ましの言葉をかける。

「え?」

 彼女の頭を撫でていた手をずらし、頬に触れる。
 涙がこぼれていた。
 親指で拭い、頬を撫でる。
 ピクンと震え、硬直した後に、うっとりと俺の手を掴んでくる。
 俺を見つめる瞳。さて、どういった言葉をかけてやろうか。
 俺は必死に頭を回転させながら、慣れない言葉を紡いでいく。

「結果はどうあれ、君は勇気を出して一人の人間を助けようとしたんだ」

 もう片方の手で頭を撫で、褒めてあげる。
 彼女も、目を細めて心地良さそうにそれを受け入れる。

「勇者が勇者と言われる所以を知ってるか?」
「?」

 小首を傾げる姿も可愛らしい。

「勇気があるかどうかだ」

 顔を近づけて、まっすぐに目を見つめ、微笑みかける。

「君は勇気を出して悪に立ち向かったんだ」

 そして抱きしめる。

「君は立派な勇者だよ」

 頭を撫でて、偉い偉いと慰める。
 これでトラウマを少しでも癒せただろうか。
 彼女が再び立ち上がる勇気を与えられただろうか。

「ありがとう」

 耳元で囁くような声。

「貴方は、私の勇者様」

 目の前に、セルフィの顔があった。
 次の瞬間、唇が暖かくて柔らかな感触に触れる。
 そして、そのまま押し倒された。

「こんな私なんかじゃ、お礼にならないかもしれない」

 そして、目の前でもぞもぞと衣服を脱ぎ始める。

「私なんかじゃ、迷惑かもしれない」

 迷惑じゃないです。嬉しいです。
 上着を脱いだ瞬間、ブルンと暴れるたわわに実った果実。まるでメロン! 視線が反らせません!

「それでも」

 パチンと、ブラのホックを外し、ポヨンとそのお姿をあらわす肌色の膨らみ。その姿、まさに豊穣の証たる肉の山。

――でけぇ!

 大きいが、垂れてない。まるで重力に反発しているかのごとく、形をしっかり整えていらっしゃる。
 何より、その先端は鮮やかな桜色。ツンと立ったその姿が美しい。乳輪の大きさもほどよくて素晴らしい。
 ウエストもほっそりとくびれていて、スタイルは抜群。パーフェクト!

「私を……受け止めて」

 上半身をあらわにしたセルフィさんが熱烈な視線をこちらに向けて倒れこんでくる。
 胸元にホヨンと、ふわっと、ふにゃっと、柔らかなものが押し付けられる。
 良い匂いがする。なんていうか甘くて心地よくて、どんな匂いだからとかでなく、嗅覚を通してダイレクトに本能を呼び起こすような、そんな匂いだ。

 その暴力的なまでの本能への刺激で、俺は平静を失いかける。
 自制して、フィルナのために操を立てなければならないと言うのに。

 いや、本当にそうか?
 この世界が一夫多妻制でないと言い切れるか?
 もしかしたら、ワンチャンあるんじゃないか?

 などと戸惑う内にも、俺は強く抱きしめられ、その手を豊満でふくよかな部分へと押し当てられる。

 マシュマロのような弾力とはよくいうが、そんな反発は一切無い。
 なんていうか、もっとふにゃっと、ふかっと、ふわっと、この手全体を包み込むようにその柔らかさは優しいもので、埋没していく指はどこまでも深く沈んでいきそうで――。

 刹那、唇をふさがれた。

 胸の柔らかさに気を取られている内に、彼女の柔らかな唇が俺の唇に触れていたのだ。
 暖かくてヌルりとしたものが俺の口内へと流れ込んでくる。
 舌が絡めとられる。原始的な本能が刺激される。男としての衝動が沸きあがり、下半身に血が集められていく。
 ムクリと俺の興奮している証が屹立し、ズボンの中で苦しいともがくような痛みに襲われる。

 彼女もだいぶ興奮しているようで、ふんふんと鼻息も荒く、俺の口内を確かめるように舌を蠢かせる。
 ズボンと薄い布越しではあったが、彼女のその部分はすでに熱く、彼女の体もすでにできあがっているようだった。

「好き。大好き。愛してる」

 無表情で、普段からダルそうな目をしているように感じられたその目。
 その目がしっとりと濡れ、俺だけを見つめている。

 あぁ、何となく気付いてたさ。
 優しく慰めるっていうより、確実に口説いてたよな、俺。
 性的魅了Sクラスが自動発動していたのだろう。
 完全に傷心の美少女を慰めて美味しくいただくムーブだった。

 その結果、できあがってしまった彼女は、今は俺の上でスカートを脱ぎ捨て、そしてパンツも脱ぎ始めている。

 膝立ちの姿勢でシュルリと下げれていく純白の布。
 太ももまで下げられたその先に見えるのは――。

――無毛地帯。

 フィルナもそうだったけど、こっちの世界では脱毛が流行っているのだろうか。
 それともこっちでは生えないのが当たり前なのだろうか?
 ツルリと綺麗な肌。男には無い見事な一本筋が目の前にあった。
 むわりと、甘酸っぱい香りが鼻腔をくすぐる。これが女の匂いという奴なのだろうか。

 やがて、パサリとパンツが脱ぎ捨てられる。

「来て。私の勇者様」

 俺のズボンへと彼女の手が伸ばされる。

 これ、もうやるしかないよね?
 美味しくいただくしか無い場面だよね?
 ここで断ったらかえって失礼な場面だよね?

 美しい肉体が目の前にあった。
 フィルナとは違う、成熟した大人の体。
 いや、全体的に見ればまだ未成熟にも感じられる小柄な少女の体だ。
 だが成熟しきった果実が二つ。豊満に実ったその一部こそが、彼女が成熟している証としてその存在を猛烈にアピールしている。
 そのアンバランスさ。それこそが彼女の魅力だった。

 ふわりと、女の匂いが漂ってくる。
 発情した雌の香りとはこういうものなのか。
 それはもはや匂いではなく、俺の脳を直接ガツンと刺激する、原始的本能を呼び覚ます甘い誘惑。
 催淫の効果ってこんな感じなのかな。頭も体も俺自身も、痺れるような衝動に襲われてクラクラする。とてもじゃないが抗えない。
 いや、それは甘えだな。抗えないのではない。抗いたくないのだ。
 目の前の女を本能が求めている。その衝動を、俺が止めたいと感じないのだ。

 太ももに一筋の雫が垂れる。
 ツーっと、欲情した女の証が零れ落ちる。

 フィルナは生理。だから今日は一度もやってない。
 お金の節約のため、二人一部屋だったせいで抜くことさえできずにいた。
 そのせいでちょっとだけ溜まり始めていたのかもしれない。
 何より、俺自身が甘かったんだろうな。

 決して催淫の魔法やスキルを受けた訳じゃない。
 俺が元童貞だったのが悪いんだろう。
 目の前の誘惑に勝てなかったんだ。

 これが、若さか。

 悪いなフィルナ、俺、もうダメみてぇだ……。

 俺は理性を失い、一匹の獣と化した。

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