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日曜のSecret meeting!
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駅前から少し歩いた所にある図書館。今日は日曜日だ。
実は今日は澤田さんと待ち合わせている。先日一緒に帰った時に携帯電話の番号を交換していたが、土曜の夜に明日図書館で話を聞きたいと言われた。
図書館と言っても一階ロビーなら雑談も出来る。人に聞かれたとしても断片的に聞いただけじゃアニメか漫画の話と思って良しだろう。
当事者の俺が少し神経質になっているだけだろうが、未来の話なんて言われて信じる人間はまずいないはずだ。案外普通に話していても大丈夫なのかもしれない。
「それで、こないだの話なんだけどさ。」
ロビーの椅子に座って澤田さんが話しかける。彼女にとっては来るかもしれない未来の話だが、俺にとっては過ぎ去った嫌な過去だ。
詳しく話すのは、正直気が重い。
「そもそも、なんでここなの?初めから東京とか狙えばいいのに、わざわざこんな地方狙ってくる意味ってあるのかな?」
澤田さんは当然の疑問を口にする。
確かにそうなのだ。日本の中心辺りに位置するとは言え、それ以外何か利点がありそうには見えないこの岐阜県。山林に覆われている上に奪って役に立つような施設があるかと言えば、どうだろうか?
大体がこの辺りは陶器の町だ。セラミック、もまぁ役には立つだろうけど、セラミックを狙ったから岐阜県を一番最初に攻撃しましたって言われてもな・・・
「分からないな。奴らの進行スピードは最初はゆっくりだったけど、ある程度経ったら加速度的に上がって行った。その頃にはもうこの県は奴等の支配領域で、人間が入って無事でいられる様な土地じゃなくなってたから。」
俺が止めたからつつがなく皆暮らしているけど、そうじゃなかったらエクスキューショナーズは暴れに暴れて街を破壊して人を締め出す。
あの戦闘員だって、本来ならかなりの脅威なんだ。何せあれはロボットだ。この時代で完璧な二足歩行ロボットを作り、それを操れるなんてかなりの技術力だ。
それはそうと
「そういえば澤田さん、俺の言う事を素直に信じてくれてるけど。何で?」
目の前で変身したらそりゃ信じざるを得ないだろうけど、それはノーデとエクスキューショナーズの話。
未来がやばいなんてこんな話は、普通は突飛に過ぎるんじゃないだろうか。でも現に彼女はエクスキューショナーズの侵攻なんかについての疑問は口にするけど、俺の言う未来の話については疑問を挟まない。質問はしてもだ。
「え、だって・・・」
彼女は少し言い淀んだ。まぁ、ただ単に素直ないい子ってだけかも知れない。信じる理由を聞いても、それは案外すっと出る様な物では無いのかも。何となく、とかもありそうだしな。
「ヒーローは、嘘つかないでしょ?」
いい笑顔で彼女はそう言ってくれた。くっ、守りたいこの笑顔。
今までも高いモチベーションで世界を守る気満々だったけど、目の前に信じてくれる人がいると言う事がこんなにも力を与えてくれるなんて。
「あ、あぁ。」
でも真正面からそんな事を言われるとは思わなかった。少し気恥ずかしい。
その後も澤田さんには色々と本来これから起こるはずだった事柄について話しておく。でも、もうそんなのは当てにならないという事も加えておいた。
「え、何で?どこに来るかとか分かんないの?」
「初襲撃を俺が撃退したから、奴等の予定も狂ってしまっているんだよ。計画を何らかの形で修正するとしても、俺が見た未来の通りにはならないと思う。」
「そっか、本当ならエクスキューショナーズの襲撃は成功していた筈だもんね。」
そう、そしてこの事が俺にとっても問題ではあった。
元々何処かが襲われてから動き出すしかなかったが、2回目以降の襲撃は完全にあちらさんの気分次第。一回目だけはT市と分かっていたものの、これからはもう分からない。
願わくば計画の邪魔になるだろう俺を狙ってエクスキューショナーズが行動してくれますように。
初動を邪魔した俺は奴等にとっては無視できない障害のはずだ。明確に敵対行動をとっているしあまつさえ怪人を難なく倒している。
しかも結構な大技で、だ
「とは言え、俺を狙って来るとなるとT市が確実に被害を受ける事になる、か。」
被害が出るのはこの際仕方ないと割り切ってしまった方が良いんだろうか。凄く不誠実に聞こえるけど、後手に回るしかない以上どうしようもない。
「あ、風見君。そろそろお昼だし、何か食べに行こうよ。」
気を遣ってくれたのか澤田さんが昼食に誘ってくれた。悩む所が顔に出てしまっただろうか。
時計を見れば12時に差し掛かろうと言う所。あまり深く考え込んでも、答えの出ない問題だ。何か食べて一旦切り替えよう。
「何か騒がしくない?」
外に出ると遠くから何か聞こえる。大体察しはついている、奴等だ。恐らく駅前。破壊音も聞こえる、こうしてはいられない。早く行かないと。
「澤田さん、後でまた落ち合おう。橋を渡った公園で待っててくれないかな。」
そして俺は走り出す。取りあえずは駅前の見えるスーパー駐車場の屋上へ。そして駅前をみてみれば、そこにはやはりエクスキューショナーズが現れていた。バスが横倒しになり、車も何台か破壊されている。
(バスもそうだけど、壊された車の持ち主は気の毒だな。殺されたりしてないといいけど。)
だが、今はとにかく転身だ。これ以上の暴挙を許すわけにはいかない。
俺は右手を胸にやり転身する。
そして同時に駅前に向かって跳び出す。
転身した俺はノーデ。世界征服を企む悪の秘密結社、エクスキューショナーズを止める事が出来る世界でただ一人の男だ!
実は今日は澤田さんと待ち合わせている。先日一緒に帰った時に携帯電話の番号を交換していたが、土曜の夜に明日図書館で話を聞きたいと言われた。
図書館と言っても一階ロビーなら雑談も出来る。人に聞かれたとしても断片的に聞いただけじゃアニメか漫画の話と思って良しだろう。
当事者の俺が少し神経質になっているだけだろうが、未来の話なんて言われて信じる人間はまずいないはずだ。案外普通に話していても大丈夫なのかもしれない。
「それで、こないだの話なんだけどさ。」
ロビーの椅子に座って澤田さんが話しかける。彼女にとっては来るかもしれない未来の話だが、俺にとっては過ぎ去った嫌な過去だ。
詳しく話すのは、正直気が重い。
「そもそも、なんでここなの?初めから東京とか狙えばいいのに、わざわざこんな地方狙ってくる意味ってあるのかな?」
澤田さんは当然の疑問を口にする。
確かにそうなのだ。日本の中心辺りに位置するとは言え、それ以外何か利点がありそうには見えないこの岐阜県。山林に覆われている上に奪って役に立つような施設があるかと言えば、どうだろうか?
大体がこの辺りは陶器の町だ。セラミック、もまぁ役には立つだろうけど、セラミックを狙ったから岐阜県を一番最初に攻撃しましたって言われてもな・・・
「分からないな。奴らの進行スピードは最初はゆっくりだったけど、ある程度経ったら加速度的に上がって行った。その頃にはもうこの県は奴等の支配領域で、人間が入って無事でいられる様な土地じゃなくなってたから。」
俺が止めたからつつがなく皆暮らしているけど、そうじゃなかったらエクスキューショナーズは暴れに暴れて街を破壊して人を締め出す。
あの戦闘員だって、本来ならかなりの脅威なんだ。何せあれはロボットだ。この時代で完璧な二足歩行ロボットを作り、それを操れるなんてかなりの技術力だ。
それはそうと
「そういえば澤田さん、俺の言う事を素直に信じてくれてるけど。何で?」
目の前で変身したらそりゃ信じざるを得ないだろうけど、それはノーデとエクスキューショナーズの話。
未来がやばいなんてこんな話は、普通は突飛に過ぎるんじゃないだろうか。でも現に彼女はエクスキューショナーズの侵攻なんかについての疑問は口にするけど、俺の言う未来の話については疑問を挟まない。質問はしてもだ。
「え、だって・・・」
彼女は少し言い淀んだ。まぁ、ただ単に素直ないい子ってだけかも知れない。信じる理由を聞いても、それは案外すっと出る様な物では無いのかも。何となく、とかもありそうだしな。
「ヒーローは、嘘つかないでしょ?」
いい笑顔で彼女はそう言ってくれた。くっ、守りたいこの笑顔。
今までも高いモチベーションで世界を守る気満々だったけど、目の前に信じてくれる人がいると言う事がこんなにも力を与えてくれるなんて。
「あ、あぁ。」
でも真正面からそんな事を言われるとは思わなかった。少し気恥ずかしい。
その後も澤田さんには色々と本来これから起こるはずだった事柄について話しておく。でも、もうそんなのは当てにならないという事も加えておいた。
「え、何で?どこに来るかとか分かんないの?」
「初襲撃を俺が撃退したから、奴等の予定も狂ってしまっているんだよ。計画を何らかの形で修正するとしても、俺が見た未来の通りにはならないと思う。」
「そっか、本当ならエクスキューショナーズの襲撃は成功していた筈だもんね。」
そう、そしてこの事が俺にとっても問題ではあった。
元々何処かが襲われてから動き出すしかなかったが、2回目以降の襲撃は完全にあちらさんの気分次第。一回目だけはT市と分かっていたものの、これからはもう分からない。
願わくば計画の邪魔になるだろう俺を狙ってエクスキューショナーズが行動してくれますように。
初動を邪魔した俺は奴等にとっては無視できない障害のはずだ。明確に敵対行動をとっているしあまつさえ怪人を難なく倒している。
しかも結構な大技で、だ
「とは言え、俺を狙って来るとなるとT市が確実に被害を受ける事になる、か。」
被害が出るのはこの際仕方ないと割り切ってしまった方が良いんだろうか。凄く不誠実に聞こえるけど、後手に回るしかない以上どうしようもない。
「あ、風見君。そろそろお昼だし、何か食べに行こうよ。」
気を遣ってくれたのか澤田さんが昼食に誘ってくれた。悩む所が顔に出てしまっただろうか。
時計を見れば12時に差し掛かろうと言う所。あまり深く考え込んでも、答えの出ない問題だ。何か食べて一旦切り替えよう。
「何か騒がしくない?」
外に出ると遠くから何か聞こえる。大体察しはついている、奴等だ。恐らく駅前。破壊音も聞こえる、こうしてはいられない。早く行かないと。
「澤田さん、後でまた落ち合おう。橋を渡った公園で待っててくれないかな。」
そして俺は走り出す。取りあえずは駅前の見えるスーパー駐車場の屋上へ。そして駅前をみてみれば、そこにはやはりエクスキューショナーズが現れていた。バスが横倒しになり、車も何台か破壊されている。
(バスもそうだけど、壊された車の持ち主は気の毒だな。殺されたりしてないといいけど。)
だが、今はとにかく転身だ。これ以上の暴挙を許すわけにはいかない。
俺は右手を胸にやり転身する。
そして同時に駅前に向かって跳び出す。
転身した俺はノーデ。世界征服を企む悪の秘密結社、エクスキューショナーズを止める事が出来る世界でただ一人の男だ!
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