伝説のパーティ!~王子アルベールとその仲間達は如何にして伝説と謳われる様になったか~

雨雲之水

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リッシュモン王国

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 リッシュモン王国、この国は50年程戦渦に巻き込まれていない。と言うが、周辺三ヶ国がこの50年間戦争状態に突入しなかった。



 この三ヶ国は元々一つの国であったが、王が病で急逝したため正式な世継ぎが決まらなかった。



 その為お家騒動が勃発。数年の内紛の後に兄弟の数で国を割った。それが100年程前の話である。

 それが50年前、南の王国ガストロが軍を率いて攻め入った。お家騒動が勃発したことからも分かる通り元々兄弟仲はよろしくなかった。つまり、親がそう言う教育をしてきたと言う訳だ。



 ガストロ王国はリッシュモン王国とウェルカ王国のみにとどまらず、更に東や南の小国にまで戦火を広げた。この50年を軍備の増強に費やしてきたガストロ王国は強かった。



 しかし、それを受けて周辺諸国は大連合軍を結成。ガストロ王国の侵略に反旗を翻す。この時連合軍盟主となったのが時のリッシュモン王国国王ヴィクトルであった。

 ガストロ王国は電撃的に戦線を突破し早期降伏を視野に入れた進軍をしていたが、小国側は前線に多数の砦を築いて防御に徹し、また互いに援護を行いながら時間を稼いでいく。そしてその間にウェルカとリッシュモン両国は国土の中ほどまでガストロ王国軍を誘い込み、補給線の伸び切った所を叩いてこれを破った。



 結果だけをいうのならば、この戦争は連合軍の勝利だった。しかし、勝利したとて無傷とはいかない。



 余裕のなくなったガストロ王国軍は焦土戦術を取っていたし、戦での被害は決して小さくない。ならばガストロ王国から多額の賠償金を取ればいいと思うだろうが、盟主であるヴィクトルはそれも最小限に抑えた。

 連合全体に与えた被害に対する損害賠償ともなれば、ガストロ王国と言えども払い切る事は不可能だと分かっていたからだ。そんな事をして開き直られでもすれば、どちらかの息の根が完全に止まるまで戦争は続くだろう。



 そんな事態が起こり得るのをヴィクトルは何より恐れ、そして連合軍を説得した。



 結局小国側へ多少の国土の割譲、そして賠償金を連合で頭割りする事で終戦は相成った。そしてガストロ王国に対するけん制の維持として、同盟は維持される事になったのである。



 盟主の国としてヴィクトルとリッシュモン王国は周辺諸国から一目置かれる事となった。そしてそれから50年、王国は復興と発展の歴史を作って行く事となる。

 北と西に広大な森林地帯を保有するリッシュモン王国は、しかし大陸の端に位置し海に面している所も少ない。北の森の向こうは険しい山岳地帯であったし、西の森はエルフの住処、その向こうにはオークが暮らしている。



 しかし幸運にも資源には恵まれた。



 まずは森林からの資源。これは言わずもがなであったが、それよりも僥倖だったのは金や銀、鉄等の鉱物資源であった。しかし、これらは最初から見つかっていた訳では無い。



 代が変わってフィリップが国王となると、彼はかねてより思案していた宮廷魔術師の増員に乗り出した。旧知の仲のエンゾを招き入れたのもその一環であった。そして魔術師たちの力を使い、鉱物資源の探索に乗り出したのである。

 これは思った以上に功を奏した。何せエンゾの腕が良かった。彼は探索にも魔術を使い、試掘にも魔術を使った。広大な面積を、爆発の魔術で掘り返していったのだ。そのおかげで、リッシュモン王国は周辺に類を見ない強大な国となった。
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