7 / 57
王子様、冒険者になる
王子様と呼ばないで
しおりを挟む
数日の後、アルベールは街へ繰り出した。今度は正門から堂々とだ。
正門の番兵は快く送り出してくれた、あまり遅くならないようにと言葉を添えて。
市場へと足を運ぶと、少しばかり違和感があった。街行く人々がどことなくソワソワしているというか、皆が皆辺りをキョロキョロと見まわしたりしている。変な浮遊感があった。そんなに頻繁に来ていた訳では無いが、いつもの街とは違う感じだ。
少しお腹に入れて満足したアルベールは、その足で冒険者ギルドへと向かう。
「よう、坊主。また出てきて大丈夫なのか?」
道すがらジョンに出会った。どうもそれなりに心配してくれていたようで、アルベールを見るや駆け寄って来てくれた。
「あぁ、心配させてしまったようですまない。だが、父上からはもう正門から自由に出るようにお許しを貰えたから、今後はある程度自由に来られると思う。」
この言葉を聞いてジョンは朗らかに笑う。
「ところでジョン殿、今日は街が何かそわそわしているというか、少し妙な感じだ。催し物があると言う訳でもないようだし、一体何が・・・」
街の違和感についてジョンに問う。ジョンならばという訳では無いが、街にいる者ならば何か知っているかもしれない。
「あぁ、それな。まぁ、入ってから話すよ。」
少し濁しながらジョンは言う。そして二人連れだって冒険者ギルドに入ると、カウンターを過ぎバーのテーブルに腰掛ける。
飲み物を適当に頼み持ってきて、テーブルに置くとジョンが話し出す。
「いやぁ、こないだの一件が噂になって方々に流れちまってさ。ひょっとしたら王子様がお忍びで来てるかもってんで、皆気もそぞろな訳よ。」
街のそわそわした感じの正体はお忍びで街に来た王子様を見られるかもしれないという期待感であり、その原因はアルベール本人だった。
「わ、私が原因だったのか。それは、何と言うか。」
それでどうだという事も無いのだが、アルベールは複雑な気持ちではあった。元々王宮を抜け出していたのは退屈から抜け出すためで、むしろ誰にも見つからないからこそ街に出ていたのだ。それが今や街中の人達が自分を見つけたいと思っているとは。
「王子様が来てるってなりゃぁ、見たいって思うのが人の情って所かね。まぁ心配せんでも顔まで分かってるのはあの時この場にいた冒険者位のもんだし、街の人間がこんな所まで入ってくるとも思えねぇ。心配な所があるとしたら・・・」
ジョンがアルベールの後ろを見やる。
「あーっ、王子様!また会えたねぇ、今日はここ来て大丈夫なの?」
アルベールが後ろを振り向くとミリアムがそこにいた。小柄なのだが声はかなり大きい上に通る。これでは少々騒がしい位では聞こえてしまうだろう。
「外でコイツに出会ったら最後だな、一瞬でばれちまう。」
「ミ、ミリアム殿か。その、王子様というのは勘弁願えないだろうか?街でそう呼ばれたら私はどうなるか分からない。」
少し青ざめた顔でアルベールが言う。ミリアムに悪気はないのだろうが、もし外の衆人環視の中でそう呼ばれた日にはどうなってしまうのかアルベールには想像もつかない。
「えー、じゃぁ何て呼んだらいいのさ?」
少しむくれた顔でミリアムが言う。ミリアムとしては王子様を王子様と呼びたいのだ。そこに悪意や何だかがある訳では無く、ただそう呼びたいというだけだ。
アルベールとしても、別に自分の事をどう呼んでくれようが構わない。しかし今は事情が事情、あけすけに外で王子様と大声で呼ばれれば皆に自分がそうだと知られてしまう。そうなればお忍びで外に出ている意味は全くなくなってしまうだろう。
「アルベール、でも危ないかもしれないな。ならば、アル。アルというのはどうだろうか?」
アルベールと呼ばれるのも危ないかもしれないと思われた。おそらくここ数日のアルベールではないアルベールは相当気を揉んだかも知れない。しかし略したアルならば幾分かマシかもしれないとアルベールは考えた。
「アル、アルかぁ~。じゃぁ今度からそう呼ぶね。そんで、私の事はミリアムって呼んで。」
「ミリアム殿と、呼んでいると思うが。」
これにはミリアムも頬を膨らませた。
「殿はいらないの!ミ・リ・ア・ム!私が王子様の事アルって呼ぶのに、王子様が私の事ミリアム殿って呼んでたらおかしくない?だから、ミリアム。」
ずいっと顔を近づけてミリアムは言う。説得力がどうとかでなく、アルベールは声の圧に押された。
「た、確かにそうかも知れないな。では、今後はミリアムと呼ばせてもらうよ、ミリアム。」
ミリアムと呼ばれるや、ミリアムは喜色満面となった。そして一瞬向こうを見やると、薬草摘みの仕事があるのでこれで、とそそくさと行ってしまった。
「行ってしまった。まるで嵐の様だったが、いたく気に入られたと思えば良いのだろうか?ところで。」
アルベールがジョンに向かって言う。
「ジョン殿も、殿はいらないと思っているのだろうか?」
ジョンはフフッと笑う。
「いやぁ、俺は好きに呼べばいいと思うぜぇ?まぁ俺ちゃんは坊主の事をずっと坊主って呼んでるし?俺の事だって分かれば、俺は何だって構わねぇよ?」
ジョンはお道化て言う。口元は完全に笑っていた。
「分かった、ではこれからもよろしく頼むよ、ジョン。」
アルベールも笑って言う。言葉も朗らかに。
「ははっ、坊主は分かりが早くていいねぇ。やっぱり冒険者、向いてると思うぜ?」
二人は改めて乾杯をする。しかしその刹那、ジョンは気付いてしまった。そして分かってしまった。なぜミリアムがあんなにもそそくさと行ってしまったのかを。
そしてカップの飲み物を飲み干すと、伸びをして席を立つ。
「さて、じゃぁ俺も今日は薬草摘みの仕事があるのでこれで・・・」
仕事の内容がミリアムと一緒だ。と、同時にアルベールは若干怪訝なものを感じた。さっきのミリアムと同じ気配を感じたからだ。
「薬草摘みは、冒険者の中では一般的な仕事なのか?」
この問いに対しジョンは頭を掻きながら答える。
「いや、そう言う訳じゃねぇが、独り占めは良くないって言うかな?」
そういうが早いか、ジョンもそそくさと出て行ってしまった。
「忙しい中、わざわざ私に時間を割いてくれていたのだろうか?」
ドアから急ぎ足で出ていくジョンを見やった後、アルベールはテーブルに視線を戻す。するといつの間に来たのか、数人がアルベールと同じテーブルに座っていた。
「王子様、いえ、アルで良かったんでしたよね?よければ私達ともお話してくれると嬉しいのだけれど?」
向こうを見やるとまだ数グループの冒険者がこちらを見ていた。確かにここにきてからジョンやミリアムとしか話していない。皆機会を伺っていたのだろう。それに気づいたからミリアムもジョンも譲るという意味でそそくさと行ってしまったのだ。
「あぁ、私も貴方達と是非話がしてみたい。」
アルベールは新たに飲み物を注文する。今日も少しばかり遅くなるかもしれないな、等と思いながら。
正門の番兵は快く送り出してくれた、あまり遅くならないようにと言葉を添えて。
市場へと足を運ぶと、少しばかり違和感があった。街行く人々がどことなくソワソワしているというか、皆が皆辺りをキョロキョロと見まわしたりしている。変な浮遊感があった。そんなに頻繁に来ていた訳では無いが、いつもの街とは違う感じだ。
少しお腹に入れて満足したアルベールは、その足で冒険者ギルドへと向かう。
「よう、坊主。また出てきて大丈夫なのか?」
道すがらジョンに出会った。どうもそれなりに心配してくれていたようで、アルベールを見るや駆け寄って来てくれた。
「あぁ、心配させてしまったようですまない。だが、父上からはもう正門から自由に出るようにお許しを貰えたから、今後はある程度自由に来られると思う。」
この言葉を聞いてジョンは朗らかに笑う。
「ところでジョン殿、今日は街が何かそわそわしているというか、少し妙な感じだ。催し物があると言う訳でもないようだし、一体何が・・・」
街の違和感についてジョンに問う。ジョンならばという訳では無いが、街にいる者ならば何か知っているかもしれない。
「あぁ、それな。まぁ、入ってから話すよ。」
少し濁しながらジョンは言う。そして二人連れだって冒険者ギルドに入ると、カウンターを過ぎバーのテーブルに腰掛ける。
飲み物を適当に頼み持ってきて、テーブルに置くとジョンが話し出す。
「いやぁ、こないだの一件が噂になって方々に流れちまってさ。ひょっとしたら王子様がお忍びで来てるかもってんで、皆気もそぞろな訳よ。」
街のそわそわした感じの正体はお忍びで街に来た王子様を見られるかもしれないという期待感であり、その原因はアルベール本人だった。
「わ、私が原因だったのか。それは、何と言うか。」
それでどうだという事も無いのだが、アルベールは複雑な気持ちではあった。元々王宮を抜け出していたのは退屈から抜け出すためで、むしろ誰にも見つからないからこそ街に出ていたのだ。それが今や街中の人達が自分を見つけたいと思っているとは。
「王子様が来てるってなりゃぁ、見たいって思うのが人の情って所かね。まぁ心配せんでも顔まで分かってるのはあの時この場にいた冒険者位のもんだし、街の人間がこんな所まで入ってくるとも思えねぇ。心配な所があるとしたら・・・」
ジョンがアルベールの後ろを見やる。
「あーっ、王子様!また会えたねぇ、今日はここ来て大丈夫なの?」
アルベールが後ろを振り向くとミリアムがそこにいた。小柄なのだが声はかなり大きい上に通る。これでは少々騒がしい位では聞こえてしまうだろう。
「外でコイツに出会ったら最後だな、一瞬でばれちまう。」
「ミ、ミリアム殿か。その、王子様というのは勘弁願えないだろうか?街でそう呼ばれたら私はどうなるか分からない。」
少し青ざめた顔でアルベールが言う。ミリアムに悪気はないのだろうが、もし外の衆人環視の中でそう呼ばれた日にはどうなってしまうのかアルベールには想像もつかない。
「えー、じゃぁ何て呼んだらいいのさ?」
少しむくれた顔でミリアムが言う。ミリアムとしては王子様を王子様と呼びたいのだ。そこに悪意や何だかがある訳では無く、ただそう呼びたいというだけだ。
アルベールとしても、別に自分の事をどう呼んでくれようが構わない。しかし今は事情が事情、あけすけに外で王子様と大声で呼ばれれば皆に自分がそうだと知られてしまう。そうなればお忍びで外に出ている意味は全くなくなってしまうだろう。
「アルベール、でも危ないかもしれないな。ならば、アル。アルというのはどうだろうか?」
アルベールと呼ばれるのも危ないかもしれないと思われた。おそらくここ数日のアルベールではないアルベールは相当気を揉んだかも知れない。しかし略したアルならば幾分かマシかもしれないとアルベールは考えた。
「アル、アルかぁ~。じゃぁ今度からそう呼ぶね。そんで、私の事はミリアムって呼んで。」
「ミリアム殿と、呼んでいると思うが。」
これにはミリアムも頬を膨らませた。
「殿はいらないの!ミ・リ・ア・ム!私が王子様の事アルって呼ぶのに、王子様が私の事ミリアム殿って呼んでたらおかしくない?だから、ミリアム。」
ずいっと顔を近づけてミリアムは言う。説得力がどうとかでなく、アルベールは声の圧に押された。
「た、確かにそうかも知れないな。では、今後はミリアムと呼ばせてもらうよ、ミリアム。」
ミリアムと呼ばれるや、ミリアムは喜色満面となった。そして一瞬向こうを見やると、薬草摘みの仕事があるのでこれで、とそそくさと行ってしまった。
「行ってしまった。まるで嵐の様だったが、いたく気に入られたと思えば良いのだろうか?ところで。」
アルベールがジョンに向かって言う。
「ジョン殿も、殿はいらないと思っているのだろうか?」
ジョンはフフッと笑う。
「いやぁ、俺は好きに呼べばいいと思うぜぇ?まぁ俺ちゃんは坊主の事をずっと坊主って呼んでるし?俺の事だって分かれば、俺は何だって構わねぇよ?」
ジョンはお道化て言う。口元は完全に笑っていた。
「分かった、ではこれからもよろしく頼むよ、ジョン。」
アルベールも笑って言う。言葉も朗らかに。
「ははっ、坊主は分かりが早くていいねぇ。やっぱり冒険者、向いてると思うぜ?」
二人は改めて乾杯をする。しかしその刹那、ジョンは気付いてしまった。そして分かってしまった。なぜミリアムがあんなにもそそくさと行ってしまったのかを。
そしてカップの飲み物を飲み干すと、伸びをして席を立つ。
「さて、じゃぁ俺も今日は薬草摘みの仕事があるのでこれで・・・」
仕事の内容がミリアムと一緒だ。と、同時にアルベールは若干怪訝なものを感じた。さっきのミリアムと同じ気配を感じたからだ。
「薬草摘みは、冒険者の中では一般的な仕事なのか?」
この問いに対しジョンは頭を掻きながら答える。
「いや、そう言う訳じゃねぇが、独り占めは良くないって言うかな?」
そういうが早いか、ジョンもそそくさと出て行ってしまった。
「忙しい中、わざわざ私に時間を割いてくれていたのだろうか?」
ドアから急ぎ足で出ていくジョンを見やった後、アルベールはテーブルに視線を戻す。するといつの間に来たのか、数人がアルベールと同じテーブルに座っていた。
「王子様、いえ、アルで良かったんでしたよね?よければ私達ともお話してくれると嬉しいのだけれど?」
向こうを見やるとまだ数グループの冒険者がこちらを見ていた。確かにここにきてからジョンやミリアムとしか話していない。皆機会を伺っていたのだろう。それに気づいたからミリアムもジョンも譲るという意味でそそくさと行ってしまったのだ。
「あぁ、私も貴方達と是非話がしてみたい。」
アルベールは新たに飲み物を注文する。今日も少しばかり遅くなるかもしれないな、等と思いながら。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのにいつのまにか溺愛ルートに入りそうです⁉︎
sutera
恋愛
仕事に疲れたボロボロアラサーOLの悠里。
遠くへ行きたい…ふと、現実逃避を口にしてみたら
自分の世界を建て直す人間を探していたという女神に
スカウトされて異世界召喚に応じる。
その結果、なぜか10歳の少女姿にされた上に
第二王子や護衛騎士、魔導士団長など周囲の人達に
かまい倒されながら癒し子任務をする話。
時々ほんのり色っぽい要素が入るのを目指してます。
初投稿、ゆるふわファンタジー設定で気のむくまま更新。
2023年8月、本編完結しました!以降はゆるゆると番外編を更新していきますのでよろしくお願いします。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。
まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」
そう、第二王子に言われました。
そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…!
でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!?
☆★☆★
全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。
読んでいただけると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる