極夜のネオンブルー

侶雲

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5旅立ち

24スタートライン

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ママに誕生日を祝ってもらうのは、何年ぶりだろうか?
ノラブロを家に連れてくると、おじいちゃんは
最初戸惑ったが、徐々に慣れたようだった。
私は思いっきり喜んで、はしゃいで、笑って、
泣いてやった。
ママは相変わらずノラブロに嫌悪感を示している。

旅立つ前の心残りは、これだけではない。
私はクレアに会いに行き、近況報告やらなんやら
いろんな話をした。
ついでに、モアにも彼氏自慢をしてやった。
するとモアは、マイクと結婚するという話をしてきた。
それで、つい女同士で火花を散らしてしまった。

旅に出てから、どれだけの月日が経っただろう?
ノーカーウォーカーストリートは、
もうあの場所には無い。
それまでスリーピングタウンだったその場所は、
街が復活し、建物が一斉に建造され、
どこかの街から一気に人々が移り住んだ。
ウォーカーたちは散り散りになり、アイアンも
新しい廃墟を求めて旅立ったそうだ。

みんなが避難したあの高台には、
今では『ネビュラ大聖堂』という建造物が建った。
これを建てた責任者はゼルだそうだ。
おそらく、流星群から『星』をとり、
連舞運から『雲』をとり、
『星雲』という言葉になり、
それを別の国の言葉に変換して
『ネビュラ』になったんだろうと噂された。
ベアージー、ダニエル、ランバード、バグビートの
四人は、今でもそこに住んでおり、
時々その大聖堂で会っているらしい。

ギターカフェではママとおじいちゃんが
働くようになり、私がいた時よりもはるかに
大盛況だという話だ。
なんか、複雑。

私とノラブロの二人旅には、新たなメンバーが
加わった。
それは、私とノラブロの間にできた子供である。
子供ができようと、旅をやめるつもりはない。
そしてもうすぐ、四人目のメンバーも加わろうと
している。
今はまだ私のお腹の中で、旅に加わるその日を
夢見ていることだろう。

子供が言葉を理解するようになり、
子供には物語を話してあげないといけないと思った。
それと、私とノラブロとの出会いも話してあげないと。

いつか子供達も思春期をむかえ、大人になっていく。
その時には、私たちから離れていくかも知れない。
それならそれで、子供達の自由だ。
私は子供達のために、
私たちの物語を書き残すことにした。
主人公はアンディで、語り部は私。
大きくなって、
いろんな事が理解できるようになった時、
自分たちがどういう由来で命を授かったのか、
わかってくれればいいと思う。
これが、あなたたちのスタートライン。
そして、困難に出会った時、それを乗り越える
ヒントになればいいと思う。

物語の題名は───

『極夜のネオンブルー』
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