【第2章完結】追放勇者はどこへ行く

音無響一

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第3章 魔大陸

101 勇者と急展開

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朝になった。

右を見たらセシリアが。

左を見たらケイトがいる。

2人とも俺の腕で気持ちよさそうに寝ている。

3人で意識が途絶えるまでしていた。

筆舌に尽くし難い感覚だ。

それにしてもケイトの胸はなんなのだろうか。

今も俺に胸を当てながら寝ている。

その当たってる部分だけ別次元の気持ちよさだ。



そろそろ準備をしないとか。

2人とも多分起きれないだろう。

このまま寝かしておくと別れをしないままになりそうだが仕方ない。

俺はクリーンをかけ2人を起こさないようにベッドから出た。

しばらく2人と会えないのは名残惜しいが、そこは我慢するしかないだろう。

俺は支度を済ませ部屋を出た。



王城は朝から大忙しだ。

王もその他の者も予定がびっしり詰まっているのだろう。

バタバタと色んな者たちが忙しなく動いている。

働いてる人達に挨拶しながら、まず俺はヨウの部屋に向かった。

「おはよう、ちゃんと寝れたようだな。これからみんなと合流し、男爵領に向かおう。王への挨拶はしなくてもいいみたいだからな。来た時の広場から出発だ。」

「わかった。さっさとその男爵領とやらを焼き払いに行くのだ。」

何をわかったんだ?

そんなにブレスしたいのかお前は。

本当にお仕置するぞ。



「よし、みんな集まったな。これよりマードレル男爵領へ向かう。」

俺はみんなを見渡した。

みんなよく寝れたようだ。

「ヨウ、ドラゴンに戻ってくれ。」

返事と共にドラゴンになるヨウ。

『ブレスの準備はバッチリだぞ!』

そんな準備はするんじゃない。

「それなら我もドラゴンに⋯」

まだ言うかこのおバカドラゴンは。



全員をヨウに乗せ出発だ。

いつもの執事に見送られ俺たちはナレンギルの王都を発った。

「ねえ、レイ。昨日は何してたの?」

やはり来たか。

来るならミュアしかいないだろうからな。

「昨日はすぐに寝たな。普段の疲れが出たんじゃないか?」

「ふーん、そうなのね。じゃあ今夜はたくさん癒してあげないとね。ハーリルと2人でしてあげましょうか?」

なんだその言い方は⋯

私は全て知っていますとでも言いたいのか?

ハーリルと2人って⋯

昨日のセシリアとケイトのことを言っているみたいじゃないか。

しかしハーリルとミュアか。

スレンダーな美女2人に囲まれ⋯

ダメだダメだ!

今考えることじゃない。

しかしなぁ。

全員ミュアへの弟子入りは確定になりそうだ。

6人で暮らすのか?

リーシャは王女だ。

それに王位を継ぐとなると⋯

これは困ったな。

城の設計をしないとじゃないか。

いやまて。

広大な土地なわけだ⋯

夢が広がるじゃないか!

王配もアリだな⋯



『着いたぞ!前と同じところに降りるからな!』

おっと、未来のことを考えていたら着いたか。

相変わらず速いぞヨウ。

「そのまま降りてくれ。2度目だからすんなり男爵に会えるだろ。」

地上へと降り立つ。

俺さっさと全員下ろし男爵への面会を希望するため人を探した。

気が付かなかったが、ミニスカメイドがすっ転んで下着を丸出しにしていた。

俺はそのメイドに声をかける。

「白⋯いや、マードレル男爵にお会いしたいんだが、取次いでもらえないか?」

「白?はっ!⋯い、いえ、ただいま!」

間違えて下着の色を言ってしまったじゃないか⋯

しかもそれがモロバレしているぞ。

「レイはメイドにまで手を出す気?ああいうメイド服が好みなのかしら?今度買っておくわ。5着でいいわよね?」

許してくれないだろうか⋯

「レイ様はメイド服がお好きなのか⋯私みたいな女が似合うだろうか⋯」

心配するのはそこなのか?

似合うに決まっているだろう。

なんならハーリルはロングスカートで⋯

いや、ミニ⋯膝丈も捨て難い⋯

でもやっぱりロングで!

おっと、男爵が来たようだな。



「これはこれは勇者レイ様、朝早くからお越しくださりありがとうございます。」

「おはようございます。朝早くから申し訳ございません。セシリア様のことでお話がありまして。」

「セシリア⋯の?でごさまいますか⋯」

なんだ?

目が鋭くなったぞ。

何かを察したか?

「ナレンギル国王からの伝言です。セシリア様を王城で預かることに決めたと。セシリア様を気に入った国王は王城で更なる教育をし、王国を支える人材に育てていきたい、とのことです。」

「こ、国王が?てっきり私はレイ様がセシリアを見初めたと言われるのかと⋯」

なるほど、それであの鋭い目に。

でもあながち間違ってはいないから怖いんだ。

「そんなことありません。セシリア様からは王城で元気でやっていると伝えて欲しいと言付けを預かっています。」

昨日は王城で元気にヤッていたから間違ってないだろ⋯

「そうでしたか。また会えなくなるのは寂しいですが、生きているなら大丈夫です。ありがとうございます。勇者様はもうここを発つのですか?」

「ああ、その事で男爵にお話があるのです。」

俺は収納から聖棍を取り出した。



「そ、その棒は?そんな物を出して話ですか?」

明らかに表情を曇らせた男爵。

「リヴァちゃん!男爵の屋敷全体に結界を張れ!誰も逃げ出せないやつだ!」

「え?どういうことですか?」

いきなりのことで戸惑うリヴァちゃん。

「いいから言うことを聞け!早くしろ!出来ないのか?」

「いえ、やります今すぐに!」

リヴァちゃんの掛け声と共に男爵の敷地全体を半透明の膜のようなものが張られた。



「さて、男爵にお聞きしたいことがあります。上手く化けましたね。」

俺は聖棍を片手に男爵へ詰め寄る。

「な、なな、なんのことでしょうか?」

明らかに狼狽える男爵。

「ヨウ!屋敷と敷地内から逃げ出すやつがいないか監視してくれ。いた場合は速やかに確保しろ。ただし殺すのは待つんだ!」

「任しておくのだ!」



聖棍の先端を男爵に向ける。

「これに触れるとどうなるか試してみますか?」

聖棍の先端をゆらゆらと揺らす。

それを必死に目で追う男爵。

「これは聖なる棍棒です。聖なる剣、聖剣と似たようなものです。聖棍と呼ばれています。」

「な、そ、そんなものでどうしようと?」

聖なるという言葉に反応した男爵。

汗がドット湧き出してきたようだ。

「どうすると思いますか?」

そう言いながら俺は男爵の肩に聖棍を置くように当てた。



「いぎゃああああああああ!」

当たった瞬間に悲鳴を上げる男爵。

「魔族によく効くんですよ男爵⋯いや、名もしれぬ魔族さん。」

あまりの痛さに飛び退く男爵に化けた魔族。

「な、なぜ分かった!私の擬態は完璧なはずなのに!どんなヤツでも見分けられぬはずだぞ!」

聖棍の効果なのか、魔族の擬態が解けた。

その姿は異形だった。

角や羽が無いのだ。

パッと見は人間の女と変わらない姿をしている。

「お前は本当に魔族か?」

「この姿になれる魔族もいるということだ!」

肩を押さえて肩膝を着く魔族の女。



「擬人化か?」

いきなり答えに辿り着いからだろう。

目を見開き驚いた表情になる魔族。

「な、何故それがわかった!」

なぜと言われてもなぁ。

「擬人化できるやつは2匹ほど知ってるからな。だからじゃないか?魔族が出来てもおかしくは無いだろう?人間もエルフも使えない転移の魔法を使えるやつがいるんだ。擬人化出来るやつもいるだろ。」

しかし魔族の女の擬人化してる姿⋯

美人だな。

だが殺らねばならぬ。

「く、くそっ!この場を乗り切れなかったか!仕方ない⋯」

何かしようとしてるのか?

出来れば尋問をしたいんだがなぁ。






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