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第2章 新しい道
085 勇者と旅のお供は実力次第
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なんでミュアはこんなについてきたがるのか。
「ミュアだって戦えないだろう?教皇との話でもそう言っていたが、さすがに無理だ。教皇にも言ったが、今回は俺1人で、というか俺とヨウの2人で行く。」
「私はあなたの奴隷よ。ついて行かないと失礼でしょ?」
確かに俺に逆らわない誓いを自ら立てていたが、それはなんか違うんじゃないか?
ついてくるなと言っているのについてくるって言い張るのは、逆らっていることにならないか?
「それに私は言ってなかったけど戦えるわよ。魔法も精霊術も使えるわ。何年生きていると思っているのかしら。」
何年生きているのでしょうか⋯
聞くのが怖い。
エルフと書いて最恐と読むのだろうか。
いや、逆か。
最恐と書いてエルフ⋯
どちらでもいい。
今はそんなことは問題ではない。
「どれだけ実力があろうとも、危険なことには変わりない。魔族の脅威を無くすために魔大陸に行くことも視野に入れているんだ。」
魔大陸という言葉にみんな驚いている。
「俺は昨夜、教皇の前で誓った。この大陸の平和を守ると。何年かかるかも分からない戦いに、誰かを連れて行こうとは思わない。」
みんな更に悲痛な顔になっている。
だがもちろんミュアだけは余裕の表情だ。
「それなら尚更私はついて行くわ、何年かかっても私は老けないもの。むしろレイが老けるんじゃない?」
くそっ、エルフには年数は関係ないのか⋯
弱点は、エルフの弱点はないのか!
「だとしても死なす可能性がある。お前達が1人でも居なくなるのは嫌なんだ。分かってくれないか?」
もう情に訴えるしかない。
伝われこの思い!
「どこにいても死ぬ時は死ぬわ。私は行くところが無いもの。フラフラ生きてるの。それなら主人のレイの元で死ぬ方がマシよ。」
主人のレイ⋯だと?
やはり成婚していたのか?
いや、これは主従関係の方の意味だろうが、なんか言い方が⋯
ほら見ろ、リーシャなんて笑ってるが怒ってそうな雰囲気が⋯
「レイ様!」
なんだ、どうしたハーリル。
「急に大きな声を出してどうした?」
「私もお供します!」
⋯⋯⋯⋯は?
「いや、俺の話を聞いていたか?」
「はい、聞いておりました!私は神殿騎士でいるより、勇者のレイ様のおそばに居る方が強くなれると思います。実際のところもう伸びしろが見い出せないのです。レイ様について学ばせて貰いたいと考えておりました。」
修行の旅じゃないんだぞ?
それに人に物を教えるなんてしたことないしなぁ。
「だがなぁ、教えながらってのも難しいところなんだ。目的地にはヨウがいるからすぐに着く。教える時間よりも情報収集と戦闘が主だ。」
「それでも!それでもレイ様の元に居る方が有意義だと思っております!どうか私も旅のお供にお連れして欲しいです。」
ハーリルは戦えるしな、元勇者パーティのメンバーよりは強いだろう。
俺は腕を組んで悩んでいる。
「いいじゃない。私達は6人で何日も旅をしていたわ。3人で行くのだって問題ないわよ。」
サラッと自分も頭数に入れるんじゃない。
「それなら、それなら私もレイ様とご一緒したいでしゅ!」
噛むなケイト。
落ち着きなさい。
「言ったろう。ケイトは戦闘能力のない平民だ。尚更連れてくことはできない。分かってくれ。」
泣かないでくれ⋯
どうすることも出来ないんだ。
守れないことはないだろうが心配事が増えてしまう。
それにフットワークが重くなるんだ。
「私はリーシャ様をお支えしなければなりません!私の行くところらリーシャ様のいらっしゃる場所です!」
黙れレッサーパンダ。
お前は俺のお供に決定していると言っているだろう。
いや⋯もうヨウがいるからそうでもないか。
「わかった。キュートちゃんは引き続きリーシャを支えてやってくれ。今や従者はキュートちゃんだけだからな。リーシャの筆頭従者として頑張ってくれ。」
自分で言ってなんだが⋯
レッサーパンダの筆頭従者って何?
誰か疑問に思わないのだろうか。
リーシャなんて笑顔で頷いてるぞ。
キュートちゃんは⋯だからなんで今カーテシーをするんだ?
すればいいと思ってないか?
見慣れてきたが、したり顔でするフリフリのワンピースを着たレッサーパンダのカーテシー。
やっぱり少しイラつくんだ。
「ミュアとハーリルはどの程度戦えるのか後で見せてくれ。それで判断しよう。俺が実力不足と感じたら連れて行けない。わかったな?」
「分かったわ。私の魔法を見て驚かないでよ?」
そんな実力があるのに、なんでミュアは魔力溜まりに連れていかれたんだ?
本当にこのエルフは謎だな。
「私もそれで大丈夫です。本気で行かせてもらいます。」
やる気満々だな。
ハーリルは強いとは思うんだがな。
ブラックオーガを単独撃破できるくらいには⋯
さすがに無理か。
「ケイトはティリズム教国で1人で生きていくと言うのなら、俺も援助は惜しまない。安心して暮らせるように基盤を作ろう。それ以外の選択肢もある。ナレンギルに行くのでもいいだろう。ケイトが考えて決めてくれ。ただ、俺についてくることは不可能だと思って欲しい。」
だから泣かないでくれ。
俺も出来るならそばにいてやりたいが⋯
「ヨウがいる。いつでもすぐに会いに行けるからな。だからそんな悲しい顔をしないでくれ。」
「は、はい⋯だけどやっぱり寂しくて⋯」
ケイトは身寄りがないもんな。
ミュアは生きてる年季が違うから身寄り云々なんてとうの昔に解決してるんだろう。
ミュアも連れていくのはいいんだが⋯
疲れそうなんだ。
「じゃあ今から2人の実力を見ようか。教皇に許可を取ってくるから待っててくれ。俺が直接行く方が早く面会も出来ると思うしな。」
俺はみんなにそう告げ、教皇の元へと向かった。
神殿内を傍付きの神官見習いに案内され歩く。
どこを通っても綺麗だ。
神殿自体が荘厳で、内部の至る所が無駄なく整っており、神秘的な雰囲気だ。
光が差し込むと至る所で反射しているが、計算され尽くしているのだろう。
眩しくなどなく神秘的な雰囲気を増長させる。
壁や天井には至る所に女神教を象徴する紋章や花のレリーフが彫られている。
それらが神を祀る場所に相応しい雰囲気を醸し出している。
神殿内を観察するように歩いていると教皇のいる場所に着いた。
「こちらでしばらくお待ちください。」
昨日予定を全てキャンセルしていたからな。
会うのに時間がかかるかもしれない。
用件は係の者に伝えたから返事だけ貰えればいい。
しばらく通された控え室で待っているとノックをされた。
入室を促すと入ってきたのは教皇本人だった。
「話は聞いた。何やら面白そうではないか。私も見学させてもらおう。そなたの戦っているところを久しぶりに見たいからな。」
また予定をキャンセルしたのか?
いいのかよじいちゃん⋯
「昨日も予定を変えたのに、今日も変えて大丈夫なのか?」
「心配するな。今日の来客も勇者を見たいと言っておってな。一緒に見学させてもらってもいいか?」
それは構わないんだが、楽しいのか分からんぞ?
「どんな方がいるのか分からないが、見て満足して貰えるか分からないぞ?」
じいちゃんは楽しそうに笑っている。
「構わん構わん。今代の勇者を一目見たいと思うておる物は多い。武術大会での噂は各国に伝わっておるでな。最年少で勇者となり、歴代最強と謳われているからな。レイは有名なんだぞ。」
それは知らなかったな。
「今すぐ使っていいのか?」
「騎士団長に言っておいたから大丈夫だろう。使いの者が知らせに来る。」
「それなら俺はみんなを呼んでくるな。」
「そこにも使いを出しておいたからレイはここにおれば大丈夫だ。」
手回しのいいこと。
さすが一国の主だな。
ではみんなが来るのをここで待とう。
俺はしばらくじいちゃんとの会話を楽しむのであった。
「ミュアだって戦えないだろう?教皇との話でもそう言っていたが、さすがに無理だ。教皇にも言ったが、今回は俺1人で、というか俺とヨウの2人で行く。」
「私はあなたの奴隷よ。ついて行かないと失礼でしょ?」
確かに俺に逆らわない誓いを自ら立てていたが、それはなんか違うんじゃないか?
ついてくるなと言っているのについてくるって言い張るのは、逆らっていることにならないか?
「それに私は言ってなかったけど戦えるわよ。魔法も精霊術も使えるわ。何年生きていると思っているのかしら。」
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聞くのが怖い。
エルフと書いて最恐と読むのだろうか。
いや、逆か。
最恐と書いてエルフ⋯
どちらでもいい。
今はそんなことは問題ではない。
「どれだけ実力があろうとも、危険なことには変わりない。魔族の脅威を無くすために魔大陸に行くことも視野に入れているんだ。」
魔大陸という言葉にみんな驚いている。
「俺は昨夜、教皇の前で誓った。この大陸の平和を守ると。何年かかるかも分からない戦いに、誰かを連れて行こうとは思わない。」
みんな更に悲痛な顔になっている。
だがもちろんミュアだけは余裕の表情だ。
「それなら尚更私はついて行くわ、何年かかっても私は老けないもの。むしろレイが老けるんじゃない?」
くそっ、エルフには年数は関係ないのか⋯
弱点は、エルフの弱点はないのか!
「だとしても死なす可能性がある。お前達が1人でも居なくなるのは嫌なんだ。分かってくれないか?」
もう情に訴えるしかない。
伝われこの思い!
「どこにいても死ぬ時は死ぬわ。私は行くところが無いもの。フラフラ生きてるの。それなら主人のレイの元で死ぬ方がマシよ。」
主人のレイ⋯だと?
やはり成婚していたのか?
いや、これは主従関係の方の意味だろうが、なんか言い方が⋯
ほら見ろ、リーシャなんて笑ってるが怒ってそうな雰囲気が⋯
「レイ様!」
なんだ、どうしたハーリル。
「急に大きな声を出してどうした?」
「私もお供します!」
⋯⋯⋯⋯は?
「いや、俺の話を聞いていたか?」
「はい、聞いておりました!私は神殿騎士でいるより、勇者のレイ様のおそばに居る方が強くなれると思います。実際のところもう伸びしろが見い出せないのです。レイ様について学ばせて貰いたいと考えておりました。」
修行の旅じゃないんだぞ?
それに人に物を教えるなんてしたことないしなぁ。
「だがなぁ、教えながらってのも難しいところなんだ。目的地にはヨウがいるからすぐに着く。教える時間よりも情報収集と戦闘が主だ。」
「それでも!それでもレイ様の元に居る方が有意義だと思っております!どうか私も旅のお供にお連れして欲しいです。」
ハーリルは戦えるしな、元勇者パーティのメンバーよりは強いだろう。
俺は腕を組んで悩んでいる。
「いいじゃない。私達は6人で何日も旅をしていたわ。3人で行くのだって問題ないわよ。」
サラッと自分も頭数に入れるんじゃない。
「それなら、それなら私もレイ様とご一緒したいでしゅ!」
噛むなケイト。
落ち着きなさい。
「言ったろう。ケイトは戦闘能力のない平民だ。尚更連れてくことはできない。分かってくれ。」
泣かないでくれ⋯
どうすることも出来ないんだ。
守れないことはないだろうが心配事が増えてしまう。
それにフットワークが重くなるんだ。
「私はリーシャ様をお支えしなければなりません!私の行くところらリーシャ様のいらっしゃる場所です!」
黙れレッサーパンダ。
お前は俺のお供に決定していると言っているだろう。
いや⋯もうヨウがいるからそうでもないか。
「わかった。キュートちゃんは引き続きリーシャを支えてやってくれ。今や従者はキュートちゃんだけだからな。リーシャの筆頭従者として頑張ってくれ。」
自分で言ってなんだが⋯
レッサーパンダの筆頭従者って何?
誰か疑問に思わないのだろうか。
リーシャなんて笑顔で頷いてるぞ。
キュートちゃんは⋯だからなんで今カーテシーをするんだ?
すればいいと思ってないか?
見慣れてきたが、したり顔でするフリフリのワンピースを着たレッサーパンダのカーテシー。
やっぱり少しイラつくんだ。
「ミュアとハーリルはどの程度戦えるのか後で見せてくれ。それで判断しよう。俺が実力不足と感じたら連れて行けない。わかったな?」
「分かったわ。私の魔法を見て驚かないでよ?」
そんな実力があるのに、なんでミュアは魔力溜まりに連れていかれたんだ?
本当にこのエルフは謎だな。
「私もそれで大丈夫です。本気で行かせてもらいます。」
やる気満々だな。
ハーリルは強いとは思うんだがな。
ブラックオーガを単独撃破できるくらいには⋯
さすがに無理か。
「ケイトはティリズム教国で1人で生きていくと言うのなら、俺も援助は惜しまない。安心して暮らせるように基盤を作ろう。それ以外の選択肢もある。ナレンギルに行くのでもいいだろう。ケイトが考えて決めてくれ。ただ、俺についてくることは不可能だと思って欲しい。」
だから泣かないでくれ。
俺も出来るならそばにいてやりたいが⋯
「ヨウがいる。いつでもすぐに会いに行けるからな。だからそんな悲しい顔をしないでくれ。」
「は、はい⋯だけどやっぱり寂しくて⋯」
ケイトは身寄りがないもんな。
ミュアは生きてる年季が違うから身寄り云々なんてとうの昔に解決してるんだろう。
ミュアも連れていくのはいいんだが⋯
疲れそうなんだ。
「じゃあ今から2人の実力を見ようか。教皇に許可を取ってくるから待っててくれ。俺が直接行く方が早く面会も出来ると思うしな。」
俺はみんなにそう告げ、教皇の元へと向かった。
神殿内を傍付きの神官見習いに案内され歩く。
どこを通っても綺麗だ。
神殿自体が荘厳で、内部の至る所が無駄なく整っており、神秘的な雰囲気だ。
光が差し込むと至る所で反射しているが、計算され尽くしているのだろう。
眩しくなどなく神秘的な雰囲気を増長させる。
壁や天井には至る所に女神教を象徴する紋章や花のレリーフが彫られている。
それらが神を祀る場所に相応しい雰囲気を醸し出している。
神殿内を観察するように歩いていると教皇のいる場所に着いた。
「こちらでしばらくお待ちください。」
昨日予定を全てキャンセルしていたからな。
会うのに時間がかかるかもしれない。
用件は係の者に伝えたから返事だけ貰えればいい。
しばらく通された控え室で待っているとノックをされた。
入室を促すと入ってきたのは教皇本人だった。
「話は聞いた。何やら面白そうではないか。私も見学させてもらおう。そなたの戦っているところを久しぶりに見たいからな。」
また予定をキャンセルしたのか?
いいのかよじいちゃん⋯
「昨日も予定を変えたのに、今日も変えて大丈夫なのか?」
「心配するな。今日の来客も勇者を見たいと言っておってな。一緒に見学させてもらってもいいか?」
それは構わないんだが、楽しいのか分からんぞ?
「どんな方がいるのか分からないが、見て満足して貰えるか分からないぞ?」
じいちゃんは楽しそうに笑っている。
「構わん構わん。今代の勇者を一目見たいと思うておる物は多い。武術大会での噂は各国に伝わっておるでな。最年少で勇者となり、歴代最強と謳われているからな。レイは有名なんだぞ。」
それは知らなかったな。
「今すぐ使っていいのか?」
「騎士団長に言っておいたから大丈夫だろう。使いの者が知らせに来る。」
「それなら俺はみんなを呼んでくるな。」
「そこにも使いを出しておいたからレイはここにおれば大丈夫だ。」
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