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第2章 新しい道
078 元勇者と本当の名前
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どうするどうするどうするどうする!
俺たちはまだヨウの背中にいる。
ヨウは大きいため、俺達の存在は認識されていないだろう。
降りるか⋯いや、降りたら捕まるよな⋯
俺はいいが女達が危険だ。
そんな風に悩んでいる中、ヨウに声を掛けて来るものがいた。
「何者だ!化け物なのか?なんの用でこのティリズム教国の大神殿に来た!ここには教皇様がいらっしゃるのだぞ!」
『ふむ、妾を化け物と呼んだか?お前、死ぬ覚悟は出来ておろうな?』
待つんだ!戦争になるからやめてくれ!
⋯なったとしても負ける未来が見えないのは何故だろうか。
「しゃ、喋れるのか?お前は何者だ!」
『妾は神竜!竜影の森にいたドラゴンだ。ところで妾達は何しに来たんだ?おい、アーク!なんの用なのだ!』
そうだった⋯
なんの用件なのかヨウに教えてなかったじゃないか。
しかも名前呼ばれたし⋯
俺は女達にここから降りないように言い、俺だけヨウから飛び降りた。
「俺はアーク。ティリズム教国に攻め入りに来た訳じゃない。教皇に用があるんだ。ちゃんと入国する予定だったんたが、手違いで大神殿の中庭に来てしまったんだ。許して欲しい。」
「手違いだと?こんな化け物で来るやつの言葉など信じられるわけないだろう!」
ヨウは化け物と言われたことがお気に召さないのだろう。
ジロリとそいつを睨み付けた。
「ひ、ひいいいいい!」
おいおい、漏らすなよ⋯
しかも周辺の神殿騎士が軒並みへたり混んで漏らしてるじゃないか。
ハーリルを見習え。
覇気も出してないヨウなんて可愛いもんだろ。
睨んだ目なんて可愛い⋯いや、怖いな。
「ヨウ、あんまり驚かすな。」
『こやつがかっこよくて可愛い妾を化け物呼ばわりするのがいけないのだ。』
だからその2つは同居しないんだよ。
どっちかにしろ。
神殿の方から騒がしい声が聞こえてきた。
「教皇様、なりませぬ!」
「教皇様、神殿にいてもらわねば危ないです!」
「教皇様!教皇様!お待ちを!」
お?もしかしてじいちゃんが来るのか?
「やはりドラゴン!神竜様!伝承通りの黒い鱗の神竜様であらせられるぞ!」
ヨウの前で膝をついて頭を下げるじいちゃんこと教皇。
『おいアーク、この者は妾が唯一無二で偉大だとわかっておるではないか。』
黙っていろヨウ。
「発言をお許しください!神竜様、この度はどういったご用件で我が国にいらしたのでしょうか!」
頭を下げたまま発言する教皇。
『アーク、お前の用事だろう。お前が話せ。』
まぁそうなるよな。
「じいちゃん、今はみんないるから教皇様と呼んだ方がいいですよね。頭を上げてください。」
「私をじいちゃんと呼ぶ⋯そしてこの声は⋯ま、まさか⋯」
教皇はゆっくりと顔を上げた。
そして涙を流してゆっくりと立ち上がった。
「おお、おおお、そなたは⋯やっと⋯やっと見つけたぞ⋯」
両手を広げ俺の元へ来る教皇。
そして俺を強く抱き締めた。
「おいおい、じいちゃん、みんな見てるぞ。」
「そんなこと気にするな!神竜様のご降臨と勇者の帰還だ。こんなに喜ばしいことは無い。やはりそなたは伝承通り、初代勇者の力を受け継ぎし者なのだ。」
初代勇者の?
レン師匠が?まさかな。
「初代勇者のことは分からないけど、俺はまだ勇者なのか?ユディ王子達から追放された話は聞いてないのか?」
教皇は抱き締めている俺を離した。
そして見つめてくる。
「ユディ達に何があったのか教えねばならぬな。こんなところで話すことでは無い。そしてそなたは今もこれからも今代の勇者だ。」
教皇は傍付きの者を呼んだ。
「今日の予定は全てキャンセルしろ!勇者と話さなければならぬ!晩餐室を用意しておけ!」
「じいちゃん、連れの女が5人とレッサーパンダ1匹とドラゴンがいるんだが、そいつらも大丈夫か?もちろんドラゴンのヨウは擬人化できる。勇者パーティを追放されてから色々あったんだ。」
「構わん構わん。その連れの人達を紹介してもらえるか?もう予定はキャンセルしたから時間はある。」
そんなに簡単に一国の王の予定って全キャンセルできるもんなのか?
俺はヨウの背中に戻り一人一人地上へ戻していく。
「これで全員だな。ヨウ、お前も擬人化してくれ。」
『わかった。』
短く返事をするとヨウは光に包まれ美少女の姿に⋯裸はやめて!
俺は急いでマントを羽織らした。
「ミュアに体型が似てるか?後で服を貸してやってくれ。」
「それならティリズム教国でまたお買い物ね。」
それもいいか。
「神竜様のお召し物がないのか?それならば私が用意しよう。神竜様、なんなりとお申し付けください。」
「このジジイは妾をちゃんと敬っているようで素晴らしいな。はははは!妾は服などいらんのだがな!アークが着ろと言うのだから従おう。」
教皇をジジイ呼ばわりするのはやめなさい。
「先程からアークと呼ばれておるがなんなのだ?そなたは⋯」
「じいちゃん、その話も後でしよう。みんなにはまだ俺の素性は話していないんだ。」
俺は教皇のじいちゃんの話を遮り、耳元でそう教えた。
「そうか。ではその話も後ほど聞かせてもらおう。私は先に戻って準備をしてくる。そなたらは⋯おい!誰か勇者と神竜様とお連れの方々を案内しろ!」
勇者って大声で言うなよじいちゃん⋯
ほら、リーシャ以外が目ん玉飛び出そうになってるじゃないか。
「み、みんな⋯今まで黙っていて済まなかった。今教皇が言ったように、俺は勇者⋯なんだ。みんなに会う前に勇者パーティを追放されて勇者の称号を剥奪されたと聞かされていたんだ。その話も後でするが、まだ俺は勇者だったようだ。アークと言う名前も偽名なんだ。本当に済まない。」
証明をするために勇者の称号入りのSSSランクの冒険者証を見せる。
「これが証拠の冒険者証だ。もう勇者ではなくなったと思っていたから、みんなを送り届けたら返却する予定だったんだ。」
みんながまじまじとその冒険者証を確認している。
「ほ、本当に勇者様⋯」
「まさか勇者とはね、私も驚きだわ。」
「せ、セシリア様、勇者様って実在したんですね⋯」
「ケイトちゃん、私も信じられないわ⋯」
「⋯⋯⋯⋯⋯」
リーシャは黙っているのか。
1人だけ知っていたなんて都合悪いもんな。
キュートちゃんはブレないな。
こんな時でもカーテシーか。
それは今必要なのか?
「まだ勇者であることが分かったからな。もう偽名を名乗らなくて大丈夫だろう。俺はアークではなく、そこの冒険者証に書かれているように、レイ・ナギリと言う。ナギリと言うのは師匠から頂いた。これからはレイと呼んでくれ。」
みんなポカーンだな。
「それでは皆様、こちらに。」
教国の案内の者が来てくれたようだ。
俺達は控え室のような所へ案内された。
控え室と言ってもとても豪華だ。
女神教の総本山の大神殿だ。
白が基調の大神殿の中はとても綺麗だ。
ホコリひとつない程に清掃が行き届いている。
じいちゃんは綺麗好きと言っていたしな。
徹底しているのだろう。
俺達はソファに座り用意されたお茶を飲んでいる。
ヨウはミュアと一緒に着替えに行っている。
教皇に会うのにマント1枚ってのもな。
「ドラゴン騒ぎで大混乱になるのは避けられたかな。少し落ち着けて良かったよ。」
俺はそうボヤいた。
「アーク様、いえ、レイ様。私達はこれからどうなるのでしょうか。」
「ハーリルは⋯教国に戻るのがいいんじゃないか?神殿騎士として復帰出来るかもしれない。まずはリーシャの保護だろう。そしてセシリアを国に返す。ここまで来れば安全に帰れると思うぞ。ケイトは今後のことはまた考えよう。キュートちゃんは俺と一緒に行動だ。多分みんなとはここでお別れになるだろう。俺はまだ勇者なわけだからな。勇者としてやらなければならないことがある。」
俺と別れる。
その言葉でみんな絶望的な顔になった。
「私はリーシャ様の従者です!」
黙れレッサーパンダ。
本来のお前の役目を忘れるでない。
「レイ様、私は⋯」
「リーシャは心配することない。じいちゃん⋯教皇がリーシャの国のことは何とかしてくれるさ。それに俺は勇者だ。魔族関連のことは俺に任せてくれ。」
「そ、そうですね⋯」
なんだか歯切れが悪いな。
「アー⋯レイ様!私はどうしたら⋯」
「ケイトはどうしたらいいか悩むな。この国で生きてくこともできるし、今後何かあったら俺も援助は惜しまない。俺に出来ることがあったらなんでも言ってくれ。」
「は、はい⋯ありがとう⋯ございます⋯」
こっちも歯切れが悪いな。
ケイトは身寄りがないもんな。
1番心配だ。
「私は暇だしやることもないからレイについて行くわ。」
な、なんだって⋯本気か?
「「「「なっ!」」」」
何を他の4人は驚いてるんだ。
リーシャとセシリアとケイトはどう考えてもついて来れないからな。
危険すぎる。
ミュアは⋯まぁなんとかなるが、正直ついてこないで欲しいんだよな。
「私は帰らないとだわ。家が心配だもの。ケイトちゃんも本当にウチに来ていいんだからね。」
セシリアはちゃんと帰るんだな。
ケイトも世話してくれるなら安心だろう。
ケイトがどうしたいかは分からないが、安全に暮らせるのが1番だ。
その安全を守るために俺が魔族のことを何とかしないとな。
「私は神殿騎士に戻れるのかわかりません。なので私も⋯」
私もなんだ?
「ハーリルは俺が教皇に取り合うから大丈夫だろ。なんとかなるさ。みんな元の生活とは言わないが、安心して暮らせるようにお願いしてみよう。」
なんでそんなに暗そうな雰囲気を出すんだ?
神殿騎士に戻れたら嬉しいだろ?
「みなさん、準備が出来ました。どうぞこちらに。」
案内の者が来てくれたようだ。
それじゃ行くか。
俺たちはまだヨウの背中にいる。
ヨウは大きいため、俺達の存在は認識されていないだろう。
降りるか⋯いや、降りたら捕まるよな⋯
俺はいいが女達が危険だ。
そんな風に悩んでいる中、ヨウに声を掛けて来るものがいた。
「何者だ!化け物なのか?なんの用でこのティリズム教国の大神殿に来た!ここには教皇様がいらっしゃるのだぞ!」
『ふむ、妾を化け物と呼んだか?お前、死ぬ覚悟は出来ておろうな?』
待つんだ!戦争になるからやめてくれ!
⋯なったとしても負ける未来が見えないのは何故だろうか。
「しゃ、喋れるのか?お前は何者だ!」
『妾は神竜!竜影の森にいたドラゴンだ。ところで妾達は何しに来たんだ?おい、アーク!なんの用なのだ!』
そうだった⋯
なんの用件なのかヨウに教えてなかったじゃないか。
しかも名前呼ばれたし⋯
俺は女達にここから降りないように言い、俺だけヨウから飛び降りた。
「俺はアーク。ティリズム教国に攻め入りに来た訳じゃない。教皇に用があるんだ。ちゃんと入国する予定だったんたが、手違いで大神殿の中庭に来てしまったんだ。許して欲しい。」
「手違いだと?こんな化け物で来るやつの言葉など信じられるわけないだろう!」
ヨウは化け物と言われたことがお気に召さないのだろう。
ジロリとそいつを睨み付けた。
「ひ、ひいいいいい!」
おいおい、漏らすなよ⋯
しかも周辺の神殿騎士が軒並みへたり混んで漏らしてるじゃないか。
ハーリルを見習え。
覇気も出してないヨウなんて可愛いもんだろ。
睨んだ目なんて可愛い⋯いや、怖いな。
「ヨウ、あんまり驚かすな。」
『こやつがかっこよくて可愛い妾を化け物呼ばわりするのがいけないのだ。』
だからその2つは同居しないんだよ。
どっちかにしろ。
神殿の方から騒がしい声が聞こえてきた。
「教皇様、なりませぬ!」
「教皇様、神殿にいてもらわねば危ないです!」
「教皇様!教皇様!お待ちを!」
お?もしかしてじいちゃんが来るのか?
「やはりドラゴン!神竜様!伝承通りの黒い鱗の神竜様であらせられるぞ!」
ヨウの前で膝をついて頭を下げるじいちゃんこと教皇。
『おいアーク、この者は妾が唯一無二で偉大だとわかっておるではないか。』
黙っていろヨウ。
「発言をお許しください!神竜様、この度はどういったご用件で我が国にいらしたのでしょうか!」
頭を下げたまま発言する教皇。
『アーク、お前の用事だろう。お前が話せ。』
まぁそうなるよな。
「じいちゃん、今はみんないるから教皇様と呼んだ方がいいですよね。頭を上げてください。」
「私をじいちゃんと呼ぶ⋯そしてこの声は⋯ま、まさか⋯」
教皇はゆっくりと顔を上げた。
そして涙を流してゆっくりと立ち上がった。
「おお、おおお、そなたは⋯やっと⋯やっと見つけたぞ⋯」
両手を広げ俺の元へ来る教皇。
そして俺を強く抱き締めた。
「おいおい、じいちゃん、みんな見てるぞ。」
「そんなこと気にするな!神竜様のご降臨と勇者の帰還だ。こんなに喜ばしいことは無い。やはりそなたは伝承通り、初代勇者の力を受け継ぎし者なのだ。」
初代勇者の?
レン師匠が?まさかな。
「初代勇者のことは分からないけど、俺はまだ勇者なのか?ユディ王子達から追放された話は聞いてないのか?」
教皇は抱き締めている俺を離した。
そして見つめてくる。
「ユディ達に何があったのか教えねばならぬな。こんなところで話すことでは無い。そしてそなたは今もこれからも今代の勇者だ。」
教皇は傍付きの者を呼んだ。
「今日の予定は全てキャンセルしろ!勇者と話さなければならぬ!晩餐室を用意しておけ!」
「じいちゃん、連れの女が5人とレッサーパンダ1匹とドラゴンがいるんだが、そいつらも大丈夫か?もちろんドラゴンのヨウは擬人化できる。勇者パーティを追放されてから色々あったんだ。」
「構わん構わん。その連れの人達を紹介してもらえるか?もう予定はキャンセルしたから時間はある。」
そんなに簡単に一国の王の予定って全キャンセルできるもんなのか?
俺はヨウの背中に戻り一人一人地上へ戻していく。
「これで全員だな。ヨウ、お前も擬人化してくれ。」
『わかった。』
短く返事をするとヨウは光に包まれ美少女の姿に⋯裸はやめて!
俺は急いでマントを羽織らした。
「ミュアに体型が似てるか?後で服を貸してやってくれ。」
「それならティリズム教国でまたお買い物ね。」
それもいいか。
「神竜様のお召し物がないのか?それならば私が用意しよう。神竜様、なんなりとお申し付けください。」
「このジジイは妾をちゃんと敬っているようで素晴らしいな。はははは!妾は服などいらんのだがな!アークが着ろと言うのだから従おう。」
教皇をジジイ呼ばわりするのはやめなさい。
「先程からアークと呼ばれておるがなんなのだ?そなたは⋯」
「じいちゃん、その話も後でしよう。みんなにはまだ俺の素性は話していないんだ。」
俺は教皇のじいちゃんの話を遮り、耳元でそう教えた。
「そうか。ではその話も後ほど聞かせてもらおう。私は先に戻って準備をしてくる。そなたらは⋯おい!誰か勇者と神竜様とお連れの方々を案内しろ!」
勇者って大声で言うなよじいちゃん⋯
ほら、リーシャ以外が目ん玉飛び出そうになってるじゃないか。
「み、みんな⋯今まで黙っていて済まなかった。今教皇が言ったように、俺は勇者⋯なんだ。みんなに会う前に勇者パーティを追放されて勇者の称号を剥奪されたと聞かされていたんだ。その話も後でするが、まだ俺は勇者だったようだ。アークと言う名前も偽名なんだ。本当に済まない。」
証明をするために勇者の称号入りのSSSランクの冒険者証を見せる。
「これが証拠の冒険者証だ。もう勇者ではなくなったと思っていたから、みんなを送り届けたら返却する予定だったんだ。」
みんながまじまじとその冒険者証を確認している。
「ほ、本当に勇者様⋯」
「まさか勇者とはね、私も驚きだわ。」
「せ、セシリア様、勇者様って実在したんですね⋯」
「ケイトちゃん、私も信じられないわ⋯」
「⋯⋯⋯⋯⋯」
リーシャは黙っているのか。
1人だけ知っていたなんて都合悪いもんな。
キュートちゃんはブレないな。
こんな時でもカーテシーか。
それは今必要なのか?
「まだ勇者であることが分かったからな。もう偽名を名乗らなくて大丈夫だろう。俺はアークではなく、そこの冒険者証に書かれているように、レイ・ナギリと言う。ナギリと言うのは師匠から頂いた。これからはレイと呼んでくれ。」
みんなポカーンだな。
「それでは皆様、こちらに。」
教国の案内の者が来てくれたようだ。
俺達は控え室のような所へ案内された。
控え室と言ってもとても豪華だ。
女神教の総本山の大神殿だ。
白が基調の大神殿の中はとても綺麗だ。
ホコリひとつない程に清掃が行き届いている。
じいちゃんは綺麗好きと言っていたしな。
徹底しているのだろう。
俺達はソファに座り用意されたお茶を飲んでいる。
ヨウはミュアと一緒に着替えに行っている。
教皇に会うのにマント1枚ってのもな。
「ドラゴン騒ぎで大混乱になるのは避けられたかな。少し落ち着けて良かったよ。」
俺はそうボヤいた。
「アーク様、いえ、レイ様。私達はこれからどうなるのでしょうか。」
「ハーリルは⋯教国に戻るのがいいんじゃないか?神殿騎士として復帰出来るかもしれない。まずはリーシャの保護だろう。そしてセシリアを国に返す。ここまで来れば安全に帰れると思うぞ。ケイトは今後のことはまた考えよう。キュートちゃんは俺と一緒に行動だ。多分みんなとはここでお別れになるだろう。俺はまだ勇者なわけだからな。勇者としてやらなければならないことがある。」
俺と別れる。
その言葉でみんな絶望的な顔になった。
「私はリーシャ様の従者です!」
黙れレッサーパンダ。
本来のお前の役目を忘れるでない。
「レイ様、私は⋯」
「リーシャは心配することない。じいちゃん⋯教皇がリーシャの国のことは何とかしてくれるさ。それに俺は勇者だ。魔族関連のことは俺に任せてくれ。」
「そ、そうですね⋯」
なんだか歯切れが悪いな。
「アー⋯レイ様!私はどうしたら⋯」
「ケイトはどうしたらいいか悩むな。この国で生きてくこともできるし、今後何かあったら俺も援助は惜しまない。俺に出来ることがあったらなんでも言ってくれ。」
「は、はい⋯ありがとう⋯ございます⋯」
こっちも歯切れが悪いな。
ケイトは身寄りがないもんな。
1番心配だ。
「私は暇だしやることもないからレイについて行くわ。」
な、なんだって⋯本気か?
「「「「なっ!」」」」
何を他の4人は驚いてるんだ。
リーシャとセシリアとケイトはどう考えてもついて来れないからな。
危険すぎる。
ミュアは⋯まぁなんとかなるが、正直ついてこないで欲しいんだよな。
「私は帰らないとだわ。家が心配だもの。ケイトちゃんも本当にウチに来ていいんだからね。」
セシリアはちゃんと帰るんだな。
ケイトも世話してくれるなら安心だろう。
ケイトがどうしたいかは分からないが、安全に暮らせるのが1番だ。
その安全を守るために俺が魔族のことを何とかしないとな。
「私は神殿騎士に戻れるのかわかりません。なので私も⋯」
私もなんだ?
「ハーリルは俺が教皇に取り合うから大丈夫だろ。なんとかなるさ。みんな元の生活とは言わないが、安心して暮らせるようにお願いしてみよう。」
なんでそんなに暗そうな雰囲気を出すんだ?
神殿騎士に戻れたら嬉しいだろ?
「みなさん、準備が出来ました。どうぞこちらに。」
案内の者が来てくれたようだ。
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