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第1章 迷いの森
020 元勇者とポロリじゃなくてこんにちは
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「ミュアから貴重な情報を貰ったんだ。」
このままじゃ収拾がつかないからな、強引に話を変えよう。
エルフの秘術には敵わないが、こうするしかない。
「ここは迷いの森と言われている所かもしれないんだ。」
ミュア以外はなんの事か分からないって顔をしているな。
俺もよく分からん。
「俺も聞いたことはないんだ。エルフにのみ伝えられている話かもしれない。」
何やら得意げだなミュア。
しかしこれはドヤ顔案件だ。
存分にドヤるがいい。
「湖をまずは探さないといけないんだ。どこにあるかもからない湖をな。」
途方もない捜索になるかもしれない。
そうみんなも思ったのだろう、顔が暗い。
ん?ケイトだけ何か気付いたみたいな顔してるな。
なんだ、ちょうちょでも見つけたか?
「その湖にいる神獣が鍵になるそうなんだ。」
神獣という言葉で更にみんな、なんの事か分からないってなってるな。
ドヤ感が増したなミュアよ。
ここがミュアが最大に輝くポイントだ。
言うぞ、ちゃんと用意しとけよ。
「しかしな、ミュアがいる。ミュアは水の精霊を使役しているらしい。だから見つけることは出来るかもしれない。」
今だミュア!かませ!最高のドヤ顔⋯見せてみろ!
「アーク様!湖なら先程見ました!」
け、ケイト?
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
今はケイトの出番じゃないんだ⋯
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
ミュ、ミュア?
「私の精霊もその湖を先程見つけてたのよ。」
乗っかった。
なんという高等技術。
自分も輝き、ケイトの輝きも残すその手腕。
脱帽だ。弟子入りさせてくれ。
悔しさや驚きなど一切おくびにも出さないその姿勢、見習わせてくれ。
精霊を使った節など一切なかったのに、それを悟らせない表情と口調。
先生と呼ばせてくれ。
俺もそのポーカーフェイスを極めたい。
何たる秘術。
エルフとはなんと高尚な種族なのだろうか。
「2人ともお手柄だな。早速みんなでそこに向かおう。ケイト、ここからすぐなんだよな?」
今はミュアに聞いてはいけない。
ケイトよ、道案内頼んだぞ。
「はい、そんなに遠くないと思います。私は目が良くて、それでここに来るまでに遠くの方に見かけて⋯でも、進行方向とは違ったので言わなかったんです。」
そうだな、迷いの森の話を聞いてなかったら言わないよな。
でも今じゃなかったんだ。
ここは空気を読んでくれないと⋯
しかしお手柄はお手柄だ。
ミュアとケイトの輝きを両方維持しつつ湖にまで行かなければならない。
これは勇者パーティで依頼されたどの任務より難易度は高い。
SS級の任務だ。
俺とケイトは並んで歩き、ケイトが見つけ、多分ミュアの精霊は発見していない湖へと向かう。
そもそも精霊魔法を使っていないからな。
「ミュアさんの精霊もこっちで良いと言っていますか?」
ケイト、聞いてはいけないんだ。
ワザとか?それはワザとなのか?
頼む、聞かないでくれ。
「ええ、精霊が私にそう語りかけているわ。」
素晴らしい。
先生、知ったかぶりはバレなければ知ったかぶりにならないんですよね。
さも当たり前のように、眉一つ動かさないその鉄仮面っぷり。
さっきの挑発を繰り返していた先生はいったいどこへ行かれたのでしょうか。
「わぁ、それなら安心ですね!精霊か~可愛いんですかね。私も見てみたいです!」
年相応にはしゃいでるなケイトよ。
だが俺とミュアはそれどころではない。
精霊は使役している術者と、エルフのような精霊と関わりの深い種族、魔法に秀でている者にしか見えないんだ。
今の俺と過去の俺は精霊なんて見たことない設定だ。
集中し、意識すれば見えるかもしれない、いや見える。
しかしそれは湖を発見した後の未来の俺だ。
今と過去の俺は精霊と関わったことなんてない、そう思い込め。
だからミュアが精霊を使ってるかどうかなんて未来の俺しか分からないんだ。
そう信じ込むんだ。
先生が切り開いた道だ。
弟子の俺が乗っからなくてどうする。
「精霊は私たちエルフには見える者が多いわ。でも人族だと見える人は余りいないと言われているわ。」
「そうだぞケイト、俺も⋯見たことがない。どんな姿をしているのか気になるな。」
そう、乗っかるのだ。
見えない、俺には見えないんだ。
いや見える⋯マントの隙間から溢れんばかりのケイトの果肉が⋯
待て、そんなにはしゃぐな、果肉どころか先端の果実まで⋯
落ち着けケイト!
「ほらケイト、転ぶからあんまり急ぐな。」
危ない。果実はセーフだ。
何とかポロリする前に止められたな。
「ほら、あそこに湖が見えます!」
待てケイト!マントから手を出すな!
ああ、ポロリどころかこんにちはしてる。
やあ、出てきたよ!じゃないんだ。
エルフの秘術より破壊力が⋯
これが秘術を超える、ドジっ子マジック!
「ケイト、あんまり、その、手を出さない方がいい。」
「あ、あう、ご、ごめんなしゃい!」
なんでケイトにはボタンが1番上にしか無いタイプのマントなんだ。
誰だ渡した奴は。確信犯か?
でも相変わらずカミカミなとこが可愛いぞケイト。
「み、見えましゅたか?」
なんでそれを聞いてくるんだ⋯
ダメだ、小柄な女性が胸を両手で隠す仕草をし、前屈みになって、潤んだ瞳で上目遣いなんてしちゃ。
くぅ、こんなの俺にどうしろって言うんだ!
可愛いだけじゃないか!
先生、こういう場合の対処法を⋯エルフの秘術を今こそ俺に!
俺はミュアに助けを求めるように視線を向けた。
せ、先生、そっぽ向いておられる。
何故ですか先生、シカトするなんて⋯
はっ、そういうことですね⋯
自分で何とかしろ、そういうことですね!
「よく見つけたな。湖⋯見えたぞ!よし、それじゃあまだ時間があるし、湖まで行こう。」
見えたのは湖、俺は無視はしてない、ちゃんと答えた。
この程度、秘術を使うまでもない。
なんとかその場を凌いだ俺は、みんなを引き連れ湖まで歩を進めた。
このままじゃ収拾がつかないからな、強引に話を変えよう。
エルフの秘術には敵わないが、こうするしかない。
「ここは迷いの森と言われている所かもしれないんだ。」
ミュア以外はなんの事か分からないって顔をしているな。
俺もよく分からん。
「俺も聞いたことはないんだ。エルフにのみ伝えられている話かもしれない。」
何やら得意げだなミュア。
しかしこれはドヤ顔案件だ。
存分にドヤるがいい。
「湖をまずは探さないといけないんだ。どこにあるかもからない湖をな。」
途方もない捜索になるかもしれない。
そうみんなも思ったのだろう、顔が暗い。
ん?ケイトだけ何か気付いたみたいな顔してるな。
なんだ、ちょうちょでも見つけたか?
「その湖にいる神獣が鍵になるそうなんだ。」
神獣という言葉で更にみんな、なんの事か分からないってなってるな。
ドヤ感が増したなミュアよ。
ここがミュアが最大に輝くポイントだ。
言うぞ、ちゃんと用意しとけよ。
「しかしな、ミュアがいる。ミュアは水の精霊を使役しているらしい。だから見つけることは出来るかもしれない。」
今だミュア!かませ!最高のドヤ顔⋯見せてみろ!
「アーク様!湖なら先程見ました!」
け、ケイト?
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
今はケイトの出番じゃないんだ⋯
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
ミュ、ミュア?
「私の精霊もその湖を先程見つけてたのよ。」
乗っかった。
なんという高等技術。
自分も輝き、ケイトの輝きも残すその手腕。
脱帽だ。弟子入りさせてくれ。
悔しさや驚きなど一切おくびにも出さないその姿勢、見習わせてくれ。
精霊を使った節など一切なかったのに、それを悟らせない表情と口調。
先生と呼ばせてくれ。
俺もそのポーカーフェイスを極めたい。
何たる秘術。
エルフとはなんと高尚な種族なのだろうか。
「2人ともお手柄だな。早速みんなでそこに向かおう。ケイト、ここからすぐなんだよな?」
今はミュアに聞いてはいけない。
ケイトよ、道案内頼んだぞ。
「はい、そんなに遠くないと思います。私は目が良くて、それでここに来るまでに遠くの方に見かけて⋯でも、進行方向とは違ったので言わなかったんです。」
そうだな、迷いの森の話を聞いてなかったら言わないよな。
でも今じゃなかったんだ。
ここは空気を読んでくれないと⋯
しかしお手柄はお手柄だ。
ミュアとケイトの輝きを両方維持しつつ湖にまで行かなければならない。
これは勇者パーティで依頼されたどの任務より難易度は高い。
SS級の任務だ。
俺とケイトは並んで歩き、ケイトが見つけ、多分ミュアの精霊は発見していない湖へと向かう。
そもそも精霊魔法を使っていないからな。
「ミュアさんの精霊もこっちで良いと言っていますか?」
ケイト、聞いてはいけないんだ。
ワザとか?それはワザとなのか?
頼む、聞かないでくれ。
「ええ、精霊が私にそう語りかけているわ。」
素晴らしい。
先生、知ったかぶりはバレなければ知ったかぶりにならないんですよね。
さも当たり前のように、眉一つ動かさないその鉄仮面っぷり。
さっきの挑発を繰り返していた先生はいったいどこへ行かれたのでしょうか。
「わぁ、それなら安心ですね!精霊か~可愛いんですかね。私も見てみたいです!」
年相応にはしゃいでるなケイトよ。
だが俺とミュアはそれどころではない。
精霊は使役している術者と、エルフのような精霊と関わりの深い種族、魔法に秀でている者にしか見えないんだ。
今の俺と過去の俺は精霊なんて見たことない設定だ。
集中し、意識すれば見えるかもしれない、いや見える。
しかしそれは湖を発見した後の未来の俺だ。
今と過去の俺は精霊と関わったことなんてない、そう思い込め。
だからミュアが精霊を使ってるかどうかなんて未来の俺しか分からないんだ。
そう信じ込むんだ。
先生が切り開いた道だ。
弟子の俺が乗っからなくてどうする。
「精霊は私たちエルフには見える者が多いわ。でも人族だと見える人は余りいないと言われているわ。」
「そうだぞケイト、俺も⋯見たことがない。どんな姿をしているのか気になるな。」
そう、乗っかるのだ。
見えない、俺には見えないんだ。
いや見える⋯マントの隙間から溢れんばかりのケイトの果肉が⋯
待て、そんなにはしゃぐな、果肉どころか先端の果実まで⋯
落ち着けケイト!
「ほらケイト、転ぶからあんまり急ぐな。」
危ない。果実はセーフだ。
何とかポロリする前に止められたな。
「ほら、あそこに湖が見えます!」
待てケイト!マントから手を出すな!
ああ、ポロリどころかこんにちはしてる。
やあ、出てきたよ!じゃないんだ。
エルフの秘術より破壊力が⋯
これが秘術を超える、ドジっ子マジック!
「ケイト、あんまり、その、手を出さない方がいい。」
「あ、あう、ご、ごめんなしゃい!」
なんでケイトにはボタンが1番上にしか無いタイプのマントなんだ。
誰だ渡した奴は。確信犯か?
でも相変わらずカミカミなとこが可愛いぞケイト。
「み、見えましゅたか?」
なんでそれを聞いてくるんだ⋯
ダメだ、小柄な女性が胸を両手で隠す仕草をし、前屈みになって、潤んだ瞳で上目遣いなんてしちゃ。
くぅ、こんなの俺にどうしろって言うんだ!
可愛いだけじゃないか!
先生、こういう場合の対処法を⋯エルフの秘術を今こそ俺に!
俺はミュアに助けを求めるように視線を向けた。
せ、先生、そっぽ向いておられる。
何故ですか先生、シカトするなんて⋯
はっ、そういうことですね⋯
自分で何とかしろ、そういうことですね!
「よく見つけたな。湖⋯見えたぞ!よし、それじゃあまだ時間があるし、湖まで行こう。」
見えたのは湖、俺は無視はしてない、ちゃんと答えた。
この程度、秘術を使うまでもない。
なんとかその場を凌いだ俺は、みんなを引き連れ湖まで歩を進めた。
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