上 下
8 / 123
第1章 迷いの森

008 元勇者と王女

しおりを挟む
5人はよく眠っているようだ。

腹が膨れ、身体がサッパリし、気持ちよくなりスッキリした。

さぞかしぐっすり寝れていることだろう。

しかしなんでだろうな。

5人が5人ともするか?

現場は見てないが、5人とも百合の花が好きなのか⋯

しかし各々が各々で1人でするもんなのか?

そりゃ1人ではするだろうさ。

でも同時に5人ともて⋯

やっぱり食事がダメだったか?

女性だけに効く精力増強⋯ないない、不毛だ、考えちゃダメだ。

「はぁ⋯」

おっと、本当に溜め息が出てしまったな。

「やはりお疲れでしたか?」



なんて男性なのでしょう。

こんなにも胸が熱くなる男性は初めて見ます。

私は王女という立場で様々な男性と接してきました。

小国の王女ですが、それなりに交友はあったと思っています。

そのどの男性よりも⋯言い表すことが出来ない深みを感じています。

私は他国へと視察のために、使節団と共に隣国へ向かう途中でした。

そこに魔物の襲撃があり、騎士も御者も付き人もメイドも全員殺され⋯

私の番だと思われたその時、目の前が真っ暗になりました。

そして気がついたら裸で⋯

あの夜を迎えていました。

私はもう生きている意味がありません。

しかし戻らねばならないのです。

私の王位継承権は第2位。

第1位のお兄様が王位に着いたら⋯

国は亡びます。

滅亡を防ぐ為にも帰らなければならないのです。

奇跡のような出来事なのでしょう。

私は死を覚悟していました。

しかし助かったのです。

名も知らぬ、しがない旅人と仰るあの男性に助けられたのです。

先程の私はどうかしていたのでしょう。

なんてはしたないことを。

私は王女なのに⋯

あの男性の背中を見つめていたら、私が私でなくなってしまうのです。

今までの私は偽りだったのでしょうか。

本能の赴くままに私は自分で自分の⋯

思い出しただけで羞恥心で苛まれてしまいます。

でもあの瞬間、私は感じたのです、これが本当のわたしの姿ではないのかと⋯

欲望、愉悦に喜悦、快楽に悦楽に享楽、様々な感情に囚われ、私は幾度となく果てていました。

果てる度に更なる快楽に身を委ねるあの瞬間⋯

私はもう以前の私ではないと、今の私が本当の私なのだと、確信めいた物を感じ始めています。

そして私は気がついたらあの男性に声をかけていたのです。



「ああ、今の溜め息は疲れからのものじゃないんだ。気にしなくていい。情けないところを見られてしまったな。」

「情けないだなんて⋯あなたのような男性でも弱い部分が⋯」

何で情けない姿を見られたと言ったのに顔を赤らめているんだ?

「どうした?寝れないのか?」

「いいえ、少し寝させて頂きました。ぐっすり眠れたのか目が冴えてしまったのです。」

それは分かったんだが⋯なぜ真横に、そして触れそうなほど近くに腰掛けたんだ?

「それなら少し話すか?と言っても気の利いた会話なんて出来るような教育は受けていないがな。」

俺は自嘲気味に笑っておいた。

「そ、そんな⋯あなたがどのような環境で過ごされてきたかなど、今のこの状況ではなんの意味もなしません。」

「ありがとう。しかし君は高貴な身分なんじゃないか?話し方といい、振る舞いといい、先程の食事の時の所作も⋯まるでどこかのお姫様のように綺麗だったぞ。」

大きな瞳ををこれでもかと見開いて驚いているな。

この可愛らしくも美しい女性は、おそらくどこかの王女かそれに連なる身分なのだろう。

アバズレとは違う本物の気品を感じてしまうな。

腰まである長い栗色の髪をしている。

幼いようだが大人になりつつある、そんな年頃なのだろう。

身長は160cmくらいで、スタイルも誰もが羨むようなモノを持っている。

俺はそんなに気品溢れる女性にしばらく見惚れてしまう。

「あ、あの⋯」

月明かりもあまりなく、焚き火の明かりのみだが、顔を真っ赤に染めているのが分かる。

それでも俺は見惚れてしまった。

「そ、その⋯」

ああ、なんでだろう。なんでこんなにもアバズレと違うのだろうか⋯

美人具合で言えばアバズレの方が美人だ。

でも何故だろう。

この女性から溢れ出る高貴な輝きは⋯

同じ高貴な身分のはずのアバズレとの違いが何かを考えてしまい、まじまじと見惚れるように眺めていた。



なぜこのお方は私のことをこんなにも見つめてくれるのでしょう。

恥ずかしい、羞恥で頭がどうにかなりそうなのに⋯

それなのに私も視線を外せない。

見られてる、ただそれだけなのに、本当の私がまた顔を出してしまう。

マントの下の私の身体は自分でもわかるほどに、マントまで濡れてしまっている。

立ち上がれば分かるほどに湿っているのが分かる。

まだ見つめられている。

なんてことなんでしょう⋯

それだけなのに私は⋯私は⋯果ててしまう。



見つめると、視線を外せなくなる大きく綺麗な瞳。

瑞々しく鮮やかな桃色の唇。

小さいが形のいい鼻。

整った輪郭。

全てが美しい。

気がついたら俺のモノは自己主張を始めていた。

しばらくは気づかないほどに、目の前の気品溢れる女性を見つめていた。

「君の名前は?」

何故か俺は名前を聞いていた。

「私は⋯リーシャ。ただのリーシャです。あなたがしがない旅人と言うのと同じように、私も今はただのリーシャです。」

蕩けるような顔でそう答えたリーシャ。

、その言葉で俺のモノは臨界点を迎えた。

もういいだろう。

我慢は必要ないのかもしれない。

そう思ってしまったのだ。



勇者パーティの時には毎夜のごとくどちらか一人、もしくは2人同時に相手していたのだ。

それがここしばらくなかったことと、目のやり場に困る日が続いたことで冷静さを失っていた。

隣同士で顔だけを向き合わせ、俺とリーシャは見つめ合っていた。

そのままリーシャの肩を抱き寄せる。

反対の手で顎に手を添えた。

リーシャは目を閉じた。

ああ、なんて綺麗なんだ⋯

無言で唇を重ねた。

俺はもう止まらなかった。



「ん、はぁ、あむ、ふぅ⋯」

これが⋯キス?

溶けてしまう。

舌が絡む度に何かが⋯

果ててしまうのとは別の感覚が全身を支配してくる。

何も考えられなくなる。

触れられている肩が熱い。

抱き寄せられ、密着している所が更に熱くなる。

もどかしい、直接触れて欲しい⋯



俺は貪るように唇を堪能した。

手を顎から離し、ボタンとボタンの隙間から手をスルりと忍び込ませる。

肌に、乳房に直接手が触れる。

なんて柔らかいんだ⋯

リーシャはビクっと身体を硬直させた。

唇を離すと目を開き再び見つめ合う。

俺は優しく微笑むと、リーシャは俺に身を委ねるように力を抜いた。

また唇を重ねる。

そしてリーシャの柔らかい身体を確かめるように触っていく。

ダメだ、こんなこともう何度もしているのに⋯

故郷にいた頃からだ。

それなのに何故だろう。

しばらくしていなかったからなのか?

まるでまだしたことの無い男のように俺の頭の中はリーシャだけを求めていた。



触れられている、私の身体を直接。

触られる度に満たされていく。

なのにもっともっと、もっと激しく求めてしまう。

満たされているのに、際限のない欲を求めてしまう。

もう何も考えられない。

私の全てが、この名も知らぬ男性に支配されていく。



俺は両手でマントのボタンを外していた。

ゆっくりとマントを広げる。

焚き火に照らされたリーシャの身体は⋯

神秘的なまでに美しかった。

これが魔物に犯された者の身体なのか。

そんなことどうでも良くなるくらい俺はリーシャの身体を求めた。

押し倒し、その身体を上から下まで舌を這わす。

白く柔らかい身体をゆっくりと味わう。

乳首を舌で転がしながら太ももを撫でる。

ゆっくりとリーシャのソコへ指を這わせる。

近づくほどに湿り気を増す。

どれだけ求めてくれているのだろう。

それが伝わってくる。



だめ、そんなとこを触られたら⋯

抵抗など出来るわけが無い。

して欲しいのです。

早く、早くソコを⋯

電気が走った。

私は触れられただけで気絶する程の衝撃が脳まで突き抜きた。

一瞬で果ててしまったのだ。

だらしなく顔を歪め、涎を垂らす私を見ている。

その顔はとても優しかった。

その瞳に私は吸い込まれた。

あなたの全てを私に⋯



なんてこった⋯魔物に囲まれているじゃないか。

くそっ、全く気付けなかった⋯

だがまだ間に合う。

俺はリーシャから離れ辺り一面に風の刃を飛ばす。

しまった!

木も何本か薙ぎ倒し、大きな音が鳴る。

急いでリーシャにマントを羽織り直させる。

残敵が居ないかしっかりと確認したが、居なかった。

焦りすぎだ!これじゃあ他の女達が起きてしまう。

案の定全員起きてしまった。

いや、リーシャだけはピクリとも動かないな。

少し触れただけなのに⋯

はぁ、夜はまだまだ長そうだ。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

新しい自分(女体化しても生きていく)

雪城朝香
ファンタジー
明日から大学生となる節目に突如女性になってしまった少年の話です♪♪ 男では絶対にありえない痛みから始まり、最後には・・・。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

追放もの悪役勇者に転生したんだけど、パーティの荷物持ちが雑魚すぎるから追放したい。ざまぁフラグは勘違いした主人公補正で無自覚回避します

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
ざまぁフラグなんて知りません!勘違いした勇者の無双冒険譚  ごく一般的なサラリーマンである主人公は、ある日、異世界に転生してしまう。  しかし、転生したのは「パーティー追放もの」の小説の世界。  なんと、追放して【ざまぁされる予定】の、【悪役勇者】に転生してしまったのだった!  このままだと、ざまぁされてしまうが――とはならず。  なんと主人公は、最近のWeb小説をあまり読んでおらず……。  自分のことを、「勇者なんだから、当然主人公だろ?」と、勝手に主人公だと勘違いしてしまったのだった!  本来の主人公である【荷物持ち】を追放してしまう勇者。  しかし、自分のことを主人公だと信じて疑わない彼は、無自覚に、主人公ムーブで【ざまぁフラグを回避】していくのであった。  本来の主人公が出会うはずだったヒロインと、先に出会ってしまい……。  本来は主人公が覚醒するはずだった【真の勇者の力】にも目覚めてしまい……。  思い込みの力で、主人公補正を自分のものにしていく勇者!  ざまぁフラグなんて知りません!  これは、自分のことを主人公だと信じて疑わない、勘違いした勇者の無双冒険譚。 ・本来の主人公は荷物持ち ・主人公は追放する側の勇者に転生 ・ざまぁフラグを無自覚回避して無双するお話です ・パーティー追放ものの逆側の話 ※カクヨム、ハーメルンにて掲載

聖女業に飽きて喫茶店開いたんだけど、追放を言い渡されたので辺境に移り住みます!【完結】

青緑
ファンタジー
 聖女が喫茶店を開くけど、追放されて辺境に移り住んだ物語と、聖女のいない王都。 ——————————————— 物語内のノーラとデイジーは同一人物です。 王都の小話は追記予定。 修正を入れることがあるかもしれませんが、作品・物語自体は完結です。

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

処理中です...