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9R マリンちゃんはエルフちゃん
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「僕のやりたいことは⋯」
俺は悩む。
本当に言っていいものなのか。
「僕は⋯僕は⋯」
意を決した俺は言ってしまう。
「僕はギャンブルを流行らせたいのです!ありとあらゆるギャンブルをこの世界に流行らせたいのです!」
マリンちゃん、もといマリン先生の眉がピクリと動いた。
「この世界には娯楽が少ないんです。僕はギャンブルを通じ、様々な娯楽を生み出したい。その為に魔力を上げ、多くのものを生み出さないといけないのです。」
静寂だ。
リンシャーンもこの話は知らない。
マリン先生もリンシャーンも無言だ。
「リーチ様⋯」
マリン先生が瑞々しい唇を動かした。
「それは本当のことですか?」
なにやら小刻みに震えてらっしゃる。
そして俺の両肩を鷲掴みにする。
「ギャンブルを増やすとは本当のことなんですか?」
目が本気だ。
これはやばい。
真面目な人にはギャンブルなどご法度ではないのか。
俺は完全に選択を誤った。
しかし言ってしまったのだ。
もう後戻りはできない。
「はい、本当です。僕は3歳の頃から様々な書物を読んできました。魔法書以外の侯爵家にある蔵書は全てです。さらに最新の書物まで取り寄せ、ありとあらゆる本を読み漁りました。」
俺の肩を掴むマリン先生の力がさらに増す。
あの、痛いんですが⋯
そして可愛い⋯
近すぎませんか先生⋯
「この世界に存在する娯楽が少ないことも書物を通じて分かっています。またギャンブルが闘技場しかないことも分かっています。こんなつまらない世界、僕は我慢ができない。魔法を使えなければ何も出来ない世の中なんて何が楽しいのでしょうか。そんな世界を僕は変えたいんです。」
ふう、言ってしまった。
この世界に生まれ落ち、初めて言ってしまった。
リンシャーンはなんのことか分かっていないのだろう、微動だにしないな。
だからマリン先生、俺の肩を砕くつもりですか?
早く離してくれないでしょうか⋯
いだだだだだだ!
「リーチ様⋯それは本当の話でしょうか。」
メキッと音を立てるのではないかというほどに力を込めてくるマリン先生。
「はい、本当のことです。僕の脳内には様々なアイディアが溢れています。しかしそれを具現化する能力がないのです。その為に必要なのが魔力量と人材です。」
「リーチ様⋯私は⋯」
折れる!折れるよマリン先生!そろそろ本当に離して!
「私は⋯私は⋯闘技場の賭けが大好きなんです!」
は?
「何を隠そう私はギャンブラーなんです!」
ひ?
「なんてことなんでしょう⋯闘技場以外のギャンブルがあるというなんて!」
ふ?
「私は何十年も前にギャンブルの楽しさにハマり、その身を闇の世界に落としていました。」
へ?
「何とか借金を返し、今は真っ当に生きる道を進んでいるのです。」
ほ?
「しかし未だに身体が疼くのです⋯あの熱いギャンブルという世界に行きたくて疼くのです!」
な、何だこの人⋯
「リーチ様!私にそのギャンブルをお教えください!リーチ様の考えに感銘を受けました。私にもその壮大な計画を手伝わせてほしいです!」
「マリンちゃん、とりあえず手を離してくれませんか?」
おお、思わずマリンちゃんって言っちゃったよ。
「マリンちゃん⋯だなんて⋯」
顔を赤らめるんじゃない!
6歳に言われて照れてどうする!
とにかく早く離しなさい!
「マリンちゃん、一旦落ち着きましょう。」
ああ、もうマリンちゃんでいいや。
「また⋯は、はい、失礼致しました。」
何をモジモジしているのだ。
いいから落ち着け!
「落ち着きましたかマリンちゃん。」
「なんで⋯もう、いいです。はい、少し落ち着きました。」
もうマリンちゃんでいいよ。
「先程の話で気になるところがあったので聞かせてもらいたいのです。何十年と仰られてましたが、マリンちゃんの見た目の年齢からは考えられません。マリンちゃんは⋯」
マリンちゃんの表情が曇る。
「マリンちゃんは⋯エルフなんですか?」
完全に俯いてしまったじゃないか。
「は、はい⋯私はエルフです。」
「エルフと言えば、特徴的なのは耳のはずですが⋯」
マリンちゃんは指をパチンと鳴らした。
「認識阻害の魔法をかけているのです。」
その魔法を解いたようで、マリンちゃんの長い耳が姿を現した。
「なるほど、そういうことだったのですね。」
「騙すつもりはなかったのです⋯お給金がとてもよく⋯エルフはダメとも書いてなかったので、昔取った杵柄で家庭教師をと⋯」
ボソボソ喋るでない!
「マリンちゃん、僕はそんなこと気にしません。むしろエルフなら魔力量を増やす術をご存知なんじゃないですか?」
「なぜ、なぜリーチ様は私のことをマリンちゃんとお呼びになるのですか?そう呼ばれるのが初めてで⋯」
ええい!モジモジボソボソするでない!
「マリン先生。ではこれで統一させてもらいます。」
「んな、なんで⋯」
明らかにショックを受けるマリンちゃん。
なんか面倒くさいエルフちゃんだな。
「マリンちゃん。」
「はぅ!」
なに?なんなのこの人。おもろすぎんな。
「マリンちゃん。もうこれでいいでしょう。僕に魔力を増やす方法を教えて頂けますよね?」
俺は悩む。
本当に言っていいものなのか。
「僕は⋯僕は⋯」
意を決した俺は言ってしまう。
「僕はギャンブルを流行らせたいのです!ありとあらゆるギャンブルをこの世界に流行らせたいのです!」
マリンちゃん、もといマリン先生の眉がピクリと動いた。
「この世界には娯楽が少ないんです。僕はギャンブルを通じ、様々な娯楽を生み出したい。その為に魔力を上げ、多くのものを生み出さないといけないのです。」
静寂だ。
リンシャーンもこの話は知らない。
マリン先生もリンシャーンも無言だ。
「リーチ様⋯」
マリン先生が瑞々しい唇を動かした。
「それは本当のことですか?」
なにやら小刻みに震えてらっしゃる。
そして俺の両肩を鷲掴みにする。
「ギャンブルを増やすとは本当のことなんですか?」
目が本気だ。
これはやばい。
真面目な人にはギャンブルなどご法度ではないのか。
俺は完全に選択を誤った。
しかし言ってしまったのだ。
もう後戻りはできない。
「はい、本当です。僕は3歳の頃から様々な書物を読んできました。魔法書以外の侯爵家にある蔵書は全てです。さらに最新の書物まで取り寄せ、ありとあらゆる本を読み漁りました。」
俺の肩を掴むマリン先生の力がさらに増す。
あの、痛いんですが⋯
そして可愛い⋯
近すぎませんか先生⋯
「この世界に存在する娯楽が少ないことも書物を通じて分かっています。またギャンブルが闘技場しかないことも分かっています。こんなつまらない世界、僕は我慢ができない。魔法を使えなければ何も出来ない世の中なんて何が楽しいのでしょうか。そんな世界を僕は変えたいんです。」
ふう、言ってしまった。
この世界に生まれ落ち、初めて言ってしまった。
リンシャーンはなんのことか分かっていないのだろう、微動だにしないな。
だからマリン先生、俺の肩を砕くつもりですか?
早く離してくれないでしょうか⋯
いだだだだだだ!
「リーチ様⋯それは本当の話でしょうか。」
メキッと音を立てるのではないかというほどに力を込めてくるマリン先生。
「はい、本当のことです。僕の脳内には様々なアイディアが溢れています。しかしそれを具現化する能力がないのです。その為に必要なのが魔力量と人材です。」
「リーチ様⋯私は⋯」
折れる!折れるよマリン先生!そろそろ本当に離して!
「私は⋯私は⋯闘技場の賭けが大好きなんです!」
は?
「何を隠そう私はギャンブラーなんです!」
ひ?
「なんてことなんでしょう⋯闘技場以外のギャンブルがあるというなんて!」
ふ?
「私は何十年も前にギャンブルの楽しさにハマり、その身を闇の世界に落としていました。」
へ?
「何とか借金を返し、今は真っ当に生きる道を進んでいるのです。」
ほ?
「しかし未だに身体が疼くのです⋯あの熱いギャンブルという世界に行きたくて疼くのです!」
な、何だこの人⋯
「リーチ様!私にそのギャンブルをお教えください!リーチ様の考えに感銘を受けました。私にもその壮大な計画を手伝わせてほしいです!」
「マリンちゃん、とりあえず手を離してくれませんか?」
おお、思わずマリンちゃんって言っちゃったよ。
「マリンちゃん⋯だなんて⋯」
顔を赤らめるんじゃない!
6歳に言われて照れてどうする!
とにかく早く離しなさい!
「マリンちゃん、一旦落ち着きましょう。」
ああ、もうマリンちゃんでいいや。
「また⋯は、はい、失礼致しました。」
何をモジモジしているのだ。
いいから落ち着け!
「落ち着きましたかマリンちゃん。」
「なんで⋯もう、いいです。はい、少し落ち着きました。」
もうマリンちゃんでいいよ。
「先程の話で気になるところがあったので聞かせてもらいたいのです。何十年と仰られてましたが、マリンちゃんの見た目の年齢からは考えられません。マリンちゃんは⋯」
マリンちゃんの表情が曇る。
「マリンちゃんは⋯エルフなんですか?」
完全に俯いてしまったじゃないか。
「は、はい⋯私はエルフです。」
「エルフと言えば、特徴的なのは耳のはずですが⋯」
マリンちゃんは指をパチンと鳴らした。
「認識阻害の魔法をかけているのです。」
その魔法を解いたようで、マリンちゃんの長い耳が姿を現した。
「なるほど、そういうことだったのですね。」
「騙すつもりはなかったのです⋯お給金がとてもよく⋯エルフはダメとも書いてなかったので、昔取った杵柄で家庭教師をと⋯」
ボソボソ喋るでない!
「マリンちゃん、僕はそんなこと気にしません。むしろエルフなら魔力量を増やす術をご存知なんじゃないですか?」
「なぜ、なぜリーチ様は私のことをマリンちゃんとお呼びになるのですか?そう呼ばれるのが初めてで⋯」
ええい!モジモジボソボソするでない!
「マリン先生。ではこれで統一させてもらいます。」
「んな、なんで⋯」
明らかにショックを受けるマリンちゃん。
なんか面倒くさいエルフちゃんだな。
「マリンちゃん。」
「はぅ!」
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