腐男子完全計画!

葉津緒

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其の四

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「いや、え……でも今頃は親衛隊が用意した不良たちに囲まれちゃってるかもしんないし」

「それはまず有り得ませんね」


断言した副会長。



「……平凡のくせによく見ると可愛いなお前、とか言われて不良たちに襲われそうに」

「えー? 無い無い。日野西悠布をどうこうする奴なんか、この学園にはいないって」


苦笑するチャラ男会計。



「…………どゆこと?」

「幸明くんってば知らないのぉ。あのね、日野西悠布くんは学園に存在する親衛隊全部の『総隊長』さんなんだよー」
「いっちばん偉い人ってこと。だから制裁とか有り得ませーん」


非常に簡潔に説明してくれた双子書記。
へえ、そうなんだ。
悠布が親衛隊の総隊長、ふうん。

………………。
………………。
………………、
………………ん?


「はああぁああぁあアァっッ!?」

「うるせっ」


迷惑そうに眉を寄せ、耳を塞ぐ周。
ジロリと睨まれたけど今はそれどころじゃない。
が、衝撃の新事実をさらに畳み掛けてくる会長と風紀委員長。


「ちなみに日野西の家柄および財力は、会長である俺や風紀委員長より上だ。ここでの肩書を抜きにすれば、実質的に彼こそ学園のトップと呼ぶに相応しい。……悔しいことにな」

「ついでに腕っ節もかなり強いぞ。そこらの不良が束になったところでまず勝ち目は無いだろう。我ら風紀委員も、たまに格闘技術の指導をしてもらっているくらいだ」

「な、なんと」

「へえ。あいつってそんな凄い奴なんだ」


のんきに感想を漏らす周。
何故お前はそこまで平然としていられるんだ、俺はショッキング過ぎて今にも瞳孔が開きそうなのに。
しかも俺たちの会話を盗み聞きしていたクラスの奴らまでもが次々と悠布の新情報を暴露し始めたし。

以前は悠布が学年のトップ成績だった為、今俺と生活している寮部屋に一人で暮らしていた、など。

ああ、だから豪華なんだあの部屋。
周が入った普通の二人部屋より広いし変だなぁって思ったんだよね。なるほどー。
ん?
じゃあ本来なら俺、成績トップの特権で一人部屋だったのか。まあ、学校側にだって色んな事情があるかもしれないしそれは別に良いや。
だがそんなことよりも要するに悠布は平凡どころか超のつく非凡様!?
文武兼備、家柄最高、親衛隊総隊長という名の学園内権力思うがまま。向かうところ敵無し……。
ば、バカな。
だとすると俺の思い描く『王道脇役平凡・嫌われからの総受け』は幻――。


「い、いや、でもまだ脇役非凡受けがあるよね!」


もちろん平凡が一番だけど、実は非凡だった脇役くんのギャップにやられちゃう攻めたち。気弱で何の取り柄もないと思っていた相手の真の姿を知り、もっとお前に殴られたい罵られたい蔑むような眼差しがゾクゾクする、なんて変態Mわんこ属性に目覚める生徒会連中や不良くん。逆に、それを上回るドS攻め風紀委員長とかに痛気持ち良い調教をされて悔しがったり逆襲したりする非凡くん。

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