腐男子完全計画!

葉津緒

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其の四

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「おい幸明、自重しろよ」

「い、イエス・マイ・ロード!」


呆れたような顔でため息をつく周。
どうやら俺が腐妄想を脳内展開していることに気付いたらしい。うむ、流石は親友。
でも俺を弄るのには飽きたのか、こめかみをグリグリしていた手は外されている。

えっと何かお疲れ様?
そういや周がバイオレンスに走るのって、昔から苛々してる時や疲労がたまった時なんだよね。
無理やり転校させられて環境が変わったりしたし、そら負担にもなるか。
ごめんな周……父さんのせいで。

でも何だかんだで人の頼みを断れないお前が大好きだっ。ストレス発散の対象にされるのは俺に甘えてる証拠だから許す!
毎日弁当やご飯作ってくれるし。可愛い奴め。


 にへら~っ


(か、可愛っ!)

「ん?」


あれ、皆どうしたのよ急に静かになったけど。
揉めてる時に俺がへらへら笑ったりしたんで怒ったの?
周以外、全員顔赤いし。
場違いにもほどがあるぞ空気を読め貴様!
みたいなことかしら。
だがしかし王道は空気を無視するもんだろ。じゃあ良くね?
(※それはアンチです)



「幸明……お前って本当、外見だけは無駄に良いよな。中身は只の馬鹿だけど」

「ビミョーに失礼すぎて複雑な気持ち!」


若干しかめっ面になりながら周が呟く。
どうにも俺の王道ハーレム状態が納得いかないらしい。
だってしょうがないじゃないか、それが王道(お約束)なんだもん。


「た、確かに幸明くんは頭は良いのに言動が愚かというか滑稽というか。ですがそれが逆に愛らしくて魅力的なんですよ」

「お馬鹿な幸明くんと一緒にいれば飽きないし」
「毎日ワクワクするよねー」

「ぷぷ、思い出したらお腹痛くなるくらい奇想天外なことやらかしてくれるし? 幸明くんってば最高のおバカさんだよぉ」

「まあ、単なる間抜けかと思って見てりゃ、いきなり色気まき散らす時もあるしな。それもとびきり凄いやつを……くく、堪んねー」

「ああ、所謂ギャップというやつだろう。普段は明るく道化を演じている人間を、無理やり押さえ付け己の下で啼かせてみるのも悪くない。頬を染め泣きながらねだる様を、こちらが満足するまで何度もじっくりと堪能したいものだ。フ……焦らせば焦らすほど可愛く啼きそうだな、幸明は」


「ひいぃぃいッ!?」


最後の何だよ風紀委員長め、この野郎。
さっき俺が妄想してたのと内容かぶってるし、たとえ脳内とはいえ押し倒す相手は俺以外の、せめてその辺のネコちゃんか会長か悠布にしとけ!

そんでこの人が風紀委員長で大丈夫か、この学園。見ろよ皆どん引いて……ないな。
ちょっ、こら生徒会。妙にエロい目でこっち見んな。くそぉ俺で妄想するなよ、ギラギラした美形の目って怖いんだぞ。

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