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其の四
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ていうかそれよりも。
腐女子&腐男子にとって夢の楽園である全寮制男子校に、何故こやつがいるのだ。
生BLを堪能するべく転校宣言をしたこの俺に向かって「頑張ってね」と励まし、快く見送ってくれた筈。
それがまるで、追うように俺の二週間遅れで転入してきた周。
……ハッ。まさかお前も生BLが見たかったのか?
おお、心の腐友(とも)よッ。
ぎゅむ
「ふ、ぐっぬうぅー!?」
「途中から心の声がダダ漏れなんですけど、違うから。勝手に人の趣味嗜好を捏造しないで貰える?」
「ぶひゅうぐぐっ」
「つか、一体誰のせいで俺は転校させられたと思ってんだ。どっかの誰かさんが電話もメールもしてやらないで、あげく着信拒否されたお前の父親がうちのオヤジに泣き付き……不思議だよなぁ? 何故か無関係の俺を監視兼保護役としてここへ送り込むんだから。本当、誰が悪いんだろうなー幸明?」
うん、何かスマン。
全部俺じゃなくて父さんが悪いんだ。
いやだって毎日電話は無理っつーか最初からする気も無いけど。
放っといたら着信が酷くてさ~。
お気に入りサイト様の長編BL小説を読んでる途中、何度も電話とメールに邪魔されて怒りのあまり着信拒否しちゃったんスよね。
いやあ、すっかり忘れてたわ。そういや最近静かだなーって思ってはいたんだが。
はっはっはっ、わりーわりー!
しかし相変わらず仲良しだな、父さんたち。
「うぶむっぐぬじゅぶ?」
「何言ってっか、分かんねーよ」
正面から片手で口の両脇の頬を押すように掴まれ、ヒョットコ……つまりタコの口みたいになってた俺。
握力強いっスね、バイオレンス周さん。
ようやく解放された己の頬をひょっとこ顔のまま、さする。あー痛かった。
「そんで周お前さ、向こうの学校にいる彼女はどうした?」
「あ? 別れたに決まってんだろ。遠距離とか面倒なだけだし」
いや、決まってないだろ。
ほんと嫌だねーこいつはもう。
自分が男前美形で女の子に告白されまくりだからって、次々に彼女が変わるんだよ。男の敵めっ。
まぁ俺も何人か付き合ったことはあるけど、長続きしたためしが無い。
『幸明くんはカッコイイけど、やっぱり遠くから見てる方が良い』
そんな意味不明な理由を告げられてフラれるという……。どういうこと。
「くそう、女子にモテる奴は全員、若ハゲのバーコード頭になっちまうがいい」
「さらっと呪詛すんな」
「い、痛いです周さんごめんなさい」
笑いながら俺の前髪をわし掴み、引き抜こうとしないでぇえ!
素直に謝ったら離してくれたけど。
謝らないとどうなるか、経験上よく知ってるので文句は言うまい。
涙目だけどねっ。
.
腐女子&腐男子にとって夢の楽園である全寮制男子校に、何故こやつがいるのだ。
生BLを堪能するべく転校宣言をしたこの俺に向かって「頑張ってね」と励まし、快く見送ってくれた筈。
それがまるで、追うように俺の二週間遅れで転入してきた周。
……ハッ。まさかお前も生BLが見たかったのか?
おお、心の腐友(とも)よッ。
ぎゅむ
「ふ、ぐっぬうぅー!?」
「途中から心の声がダダ漏れなんですけど、違うから。勝手に人の趣味嗜好を捏造しないで貰える?」
「ぶひゅうぐぐっ」
「つか、一体誰のせいで俺は転校させられたと思ってんだ。どっかの誰かさんが電話もメールもしてやらないで、あげく着信拒否されたお前の父親がうちのオヤジに泣き付き……不思議だよなぁ? 何故か無関係の俺を監視兼保護役としてここへ送り込むんだから。本当、誰が悪いんだろうなー幸明?」
うん、何かスマン。
全部俺じゃなくて父さんが悪いんだ。
いやだって毎日電話は無理っつーか最初からする気も無いけど。
放っといたら着信が酷くてさ~。
お気に入りサイト様の長編BL小説を読んでる途中、何度も電話とメールに邪魔されて怒りのあまり着信拒否しちゃったんスよね。
いやあ、すっかり忘れてたわ。そういや最近静かだなーって思ってはいたんだが。
はっはっはっ、わりーわりー!
しかし相変わらず仲良しだな、父さんたち。
「うぶむっぐぬじゅぶ?」
「何言ってっか、分かんねーよ」
正面から片手で口の両脇の頬を押すように掴まれ、ヒョットコ……つまりタコの口みたいになってた俺。
握力強いっスね、バイオレンス周さん。
ようやく解放された己の頬をひょっとこ顔のまま、さする。あー痛かった。
「そんで周お前さ、向こうの学校にいる彼女はどうした?」
「あ? 別れたに決まってんだろ。遠距離とか面倒なだけだし」
いや、決まってないだろ。
ほんと嫌だねーこいつはもう。
自分が男前美形で女の子に告白されまくりだからって、次々に彼女が変わるんだよ。男の敵めっ。
まぁ俺も何人か付き合ったことはあるけど、長続きしたためしが無い。
『幸明くんはカッコイイけど、やっぱり遠くから見てる方が良い』
そんな意味不明な理由を告げられてフラれるという……。どういうこと。
「くそう、女子にモテる奴は全員、若ハゲのバーコード頭になっちまうがいい」
「さらっと呪詛すんな」
「い、痛いです周さんごめんなさい」
笑いながら俺の前髪をわし掴み、引き抜こうとしないでぇえ!
素直に謝ったら離してくれたけど。
謝らないとどうなるか、経験上よく知ってるので文句は言うまい。
涙目だけどねっ。
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