6 / 28
其の二
6
しおりを挟む
くっそー。華麗なる『脇役総受け』完全計画の筈だったのに、昨日といい今日といい、どうしてこうも上手く進まないんだろうか。
もしや何者かの呪いとか?
――なんて人が真剣に悩んでいるのに。
その後、授業の度にやって来る先生たちはまず俺を見て驚き、それから必ず何度もややこしい問題を解かせようとしたり、教科書に載ってないような質問を浴びせかけてきたり。
昨日は視線すら合わそうとしなかったくせにさ。
まあ俺も、お昼以降は森で迷子になってたから授業自体サボった形になるんだろうけど。
まさかその仕返し?
おかげでゆっくり考えることが出来なかったじゃねーか、もおおぉッ。
***
「凄いね幸明くん。さっきのアレ、某有名大学入試問題だったらしいよ? なのに全部あんな簡単にスラスラ答えちゃうなんて」
「むうう何故だ、分からん~」
「それに今日は、昨日と違った意味で休み時間ごとに教室を覗きに来る生徒も多いし。この分だと親衛隊が出来ちゃうのもあっという間かな」
「ハッ、もしや俺の計画に穴でもあるのか? いやいやまさかそんな筈は無いし……」
「ねえ幸明くん、ブツブツ言ってないで学食か売店でお昼にしようよ。あ、でも今からじゃどっちもギリかな。んー。とりあえず今日は売店にするね。幸明くん何が良い? って聞いてないみたいだし、適当にパン買ってくるから待っててね」
そう言って悠布が教室を出て行ったことにも気付かず、悶々と悩み続ける俺の集中力。
さすが俺!
しかし完全計画の問題点については、やはり何一つ思い当たらないのだった。
「あれ? 悠布はどこですかねー」
気が付くと教室内に姿は無い。
おぉう、イリュージョン。
「あ、あの。日野西くんならさっき教室から出て行ったけど」
「お? そっか、ありがとー」
「う、ううん!」
親切な通りすがりのクラスメート君に教えて貰ったよ。名前も知らないけど優しいなぁ。
へらりと笑ってお礼を言ったら、赤い顔がさらに真っ赤に。
うむ、なるほど照れ屋さんだね。
それにしても、俺に黙っていなくなるとは悠布の奴……。
ハッ!
もしやどっかの美形に呼び出され、学食へ強制連行されたのでは。だってお昼だし!
グウゥゥウゥ~
肯定だ、と俺の腹が鳴いている。
ならば今すぐ俺も学食へ向かわねば。
決して腹が空いてるからではない、あくまで萌えのためだ。
そして離れた場所から、こっそり悠布と美形の絡みを観察するのだ。山盛りのご飯を食べながら!
ぐーきゅるるるぅぅっと鳴る腹をさすりつつ、俺は悠布とお昼ご飯が待つ食堂へと急ぐのだった。
「お待たせー……って、あれ。幸明くん?」
入れ違いで教室に戻った悠布が、昨日に引き続き俺の心配をしているとも知らずに。
.
もしや何者かの呪いとか?
――なんて人が真剣に悩んでいるのに。
その後、授業の度にやって来る先生たちはまず俺を見て驚き、それから必ず何度もややこしい問題を解かせようとしたり、教科書に載ってないような質問を浴びせかけてきたり。
昨日は視線すら合わそうとしなかったくせにさ。
まあ俺も、お昼以降は森で迷子になってたから授業自体サボった形になるんだろうけど。
まさかその仕返し?
おかげでゆっくり考えることが出来なかったじゃねーか、もおおぉッ。
***
「凄いね幸明くん。さっきのアレ、某有名大学入試問題だったらしいよ? なのに全部あんな簡単にスラスラ答えちゃうなんて」
「むうう何故だ、分からん~」
「それに今日は、昨日と違った意味で休み時間ごとに教室を覗きに来る生徒も多いし。この分だと親衛隊が出来ちゃうのもあっという間かな」
「ハッ、もしや俺の計画に穴でもあるのか? いやいやまさかそんな筈は無いし……」
「ねえ幸明くん、ブツブツ言ってないで学食か売店でお昼にしようよ。あ、でも今からじゃどっちもギリかな。んー。とりあえず今日は売店にするね。幸明くん何が良い? って聞いてないみたいだし、適当にパン買ってくるから待っててね」
そう言って悠布が教室を出て行ったことにも気付かず、悶々と悩み続ける俺の集中力。
さすが俺!
しかし完全計画の問題点については、やはり何一つ思い当たらないのだった。
「あれ? 悠布はどこですかねー」
気が付くと教室内に姿は無い。
おぉう、イリュージョン。
「あ、あの。日野西くんならさっき教室から出て行ったけど」
「お? そっか、ありがとー」
「う、ううん!」
親切な通りすがりのクラスメート君に教えて貰ったよ。名前も知らないけど優しいなぁ。
へらりと笑ってお礼を言ったら、赤い顔がさらに真っ赤に。
うむ、なるほど照れ屋さんだね。
それにしても、俺に黙っていなくなるとは悠布の奴……。
ハッ!
もしやどっかの美形に呼び出され、学食へ強制連行されたのでは。だってお昼だし!
グウゥゥウゥ~
肯定だ、と俺の腹が鳴いている。
ならば今すぐ俺も学食へ向かわねば。
決して腹が空いてるからではない、あくまで萌えのためだ。
そして離れた場所から、こっそり悠布と美形の絡みを観察するのだ。山盛りのご飯を食べながら!
ぐーきゅるるるぅぅっと鳴る腹をさすりつつ、俺は悠布とお昼ご飯が待つ食堂へと急ぐのだった。
「お待たせー……って、あれ。幸明くん?」
入れ違いで教室に戻った悠布が、昨日に引き続き俺の心配をしているとも知らずに。
.
26
お気に入りに追加
303
あなたにおすすめの小説
華麗に素敵な俺様最高!
モカ
BL
俺は天才だ。
これは驕りでも、自惚れでもなく、紛れも無い事実だ。決してナルシストなどではない!
そんな俺に、成し遂げられないことなど、ないと思っていた。
……けれど、
「好きだよ、史彦」
何で、よりよってあんたがそんなこと言うんだ…!
台風の目はどこだ
あこ
BL
とある学園で生徒会会長を務める本多政輝は、数年に一度起きる原因不明の体調不良により入院をする事に。
政輝の恋人が入院先に居座るのもいつものこと。
そんな入院生活中、二人がいない学園では嵐が吹き荒れていた。
✔︎ いわゆる全寮制王道学園が舞台
✔︎ 私の見果てぬ夢である『王道脇』を書こうとしたら、こうなりました(2019/05/11に書きました)
✔︎ 風紀委員会委員長×生徒会会長様
✔︎ 恋人がいないと充電切れする委員長様
✔︎ 時々原因不明の体調不良で入院する会長様
✔︎ 会長様を見守るオカン気味な副会長様
✔︎ アンチくんや他の役員はかけらほども出てきません。
✔︎ ギャクになるといいなと思って書きました(目標にしましたが、叶いませんでした)
悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。
高塚くんと森くん
うりぼう
BL
顔だけが取り柄の高塚くん。
ごくごく普通の高校生の森くん。
「好きなんだ、オレと付き合って」
「え、嫌だ」
そこから始まる二人のお話。
基本一話完結。
本編完結済み
随時小話更新予定です。
※BL
※受け大好き
※攻め半分変態
※R15というほどR15表現はありません
他サイト様にも投稿しています
独占欲強い系の同居人
狼蝶
BL
ある美醜逆転の世界。
その世界での底辺男子=リョウは学校の帰り、道に倒れていた美形な男=翔人を家に運び介抱する。
同居生活を始めることになった二人には、お互い恋心を抱きながらも相手を独占したい気持ちがあった。彼らはそんな気持ちに駆られながら、それぞれの生活を送っていく。
とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~
無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。
自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。
王道学園のモブ
四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。
私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。
そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる