腐男子完全計画!

葉津緒

文字の大きさ
上 下
6 / 28
其の二

しおりを挟む
くっそー。華麗なる『脇役総受け』完全計画の筈だったのに、昨日といい今日といい、どうしてこうも上手く進まないんだろうか。

もしや何者かの呪いとか?


――なんて人が真剣に悩んでいるのに。
その後、授業の度にやって来る先生たちはまず俺を見て驚き、それから必ず何度もややこしい問題を解かせようとしたり、教科書に載ってないような質問を浴びせかけてきたり。

昨日は視線すら合わそうとしなかったくせにさ。
まあ俺も、お昼以降は森で迷子になってたから授業自体サボった形になるんだろうけど。
まさかその仕返し?

おかげでゆっくり考えることが出来なかったじゃねーか、もおおぉッ。



 ***



「凄いね幸明くん。さっきのアレ、某有名大学入試問題だったらしいよ? なのに全部あんな簡単にスラスラ答えちゃうなんて」

「むうう何故だ、分からん~」

「それに今日は、昨日と違った意味で休み時間ごとに教室を覗きに来る生徒も多いし。この分だと親衛隊が出来ちゃうのもあっという間かな」

「ハッ、もしや俺の計画に穴でもあるのか? いやいやまさかそんな筈は無いし……」


「ねえ幸明くん、ブツブツ言ってないで学食か売店でお昼にしようよ。あ、でも今からじゃどっちもギリかな。んー。とりあえず今日は売店にするね。幸明くん何が良い? って聞いてないみたいだし、適当にパン買ってくるから待っててね」


そう言って悠布が教室を出て行ったことにも気付かず、悶々と悩み続ける俺の集中力。
さすが俺!
しかし完全計画の問題点については、やはり何一つ思い当たらないのだった。



「あれ? 悠布はどこですかねー」


気が付くと教室内に姿は無い。
おぉう、イリュージョン。


「あ、あの。日野西くんならさっき教室から出て行ったけど」

「お? そっか、ありがとー」

「う、ううん!」


親切な通りすがりのクラスメート君に教えて貰ったよ。名前も知らないけど優しいなぁ。
へらりと笑ってお礼を言ったら、赤い顔がさらに真っ赤に。
うむ、なるほど照れ屋さんだね。

それにしても、俺に黙っていなくなるとは悠布の奴……。
ハッ!
もしやどっかの美形に呼び出され、学食へ強制連行されたのでは。だってお昼だし!


 グウゥゥウゥ~


肯定だ、と俺の腹が鳴いている。
ならば今すぐ俺も学食へ向かわねば。
決して腹が空いてるからではない、あくまで萌えのためだ。
そして離れた場所から、こっそり悠布と美形の絡みを観察するのだ。山盛りのご飯を食べながら!
ぐーきゅるるるぅぅっと鳴る腹をさすりつつ、俺は悠布とお昼ご飯が待つ食堂へと急ぐのだった。



「お待たせー……って、あれ。幸明くん?」


入れ違いで教室に戻った悠布が、昨日に引き続き俺の心配をしているとも知らずに。

.
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

腐男子ですが何か?

みーやん
BL
俺は田中玲央。何処にでもいる一般人。 ただ少し趣味が特殊で男と男がイチャコラしているのをみるのが大好きだってこと以外はね。 そんな俺は中学一年生の頃から密かに企んでいた計画がある。青藍学園。そう全寮制男子校へ入学することだ。しかし定番ながら学費がバカみたい高額だ。そこで特待生を狙うべく勉強に励んだ。 幸いにも俺にはすこぶる頭のいい姉がいたため、中学一年生からの成績は常にトップ。そのまま三年間走り切ったのだ。 そしてついに高校入試の試験。 見事特待生と首席をもぎとったのだ。 「さぁ!ここからが俺の人生の始まりだ! って。え? 首席って…めっちゃ目立つくねぇ?! やっちまったぁ!!」 この作品はごく普通の顔をした一般人に思えた田中玲央が実は隠れ美少年だということを知らずに腐男子を隠しながら学園生活を送る物語である。

推しを擁護したくて何が悪い!

人生1919回血迷った人
BL
所謂王道学園と呼ばれる東雲学園で風紀委員副委員長として活動している彩凪知晴には学園内に推しがいる。 その推しである鈴谷凛は我儘でぶりっ子な性格の悪いお坊ちゃんだという噂が流れており、実際の性格はともかく学園中の嫌われ者だ。 理不尽な悪意を受ける凛を知晴は陰ながら支えたいと思っており、バレないように後をつけたり知らない所で凛への悪意を排除していたりしてした。 そんな中、学園の人気者たちに何故か好かれる転校生が転入してきて学園は荒れに荒れる。ある日、転校生に嫉妬した生徒会長親衛隊員である生徒が転校生を呼び出して──────────。 「凛に危害を加えるやつは許さない。」 ※王道学園モノですがBLかと言われるとL要素が少なすぎます。BLよりも王道学園の設定が好きなだけの腐った奴による小説です。 ※簡潔にこの話を書くと嫌われからの総愛され系親衛隊隊長のことが推しとして大好きなクールビューティで寡黙な主人公が制裁現場を上手く推しを擁護して解決する話です。

前世から俺の事好きだという犬系イケメンに迫られた結果

はかまる
BL
突然好きですと告白してきた年下の美形の後輩。話を聞くと前世から好きだったと話され「????」状態の平凡男子高校生がなんだかんだと丸め込まれていく話。

第十王子は天然侍従には敵わない。

きっせつ
BL
「婚約破棄させて頂きます。」 学園の卒業パーティーで始まった九人の令嬢による兄王子達の断罪を頭が痛くなる思いで第十王子ツェーンは見ていた。突如、その断罪により九人の王子が失脚し、ツェーンは王太子へと位が引き上げになったが……。どうしても王になりたくない王子とそんな王子を慕うド天然ワンコな侍従の偽装婚約から始まる勘違いとすれ違い(考え方の)のボーイズラブコメディ…の予定。※R 15。本番なし。

ガラス玉のように

イケのタコ
BL
クール美形×平凡 成績共に運動神経も平凡と、そつなくのびのびと暮らしていたスズ。そんな中突然、親の転勤が決まる。 親と一緒に外国に行くのか、それとも知人宅にで生活するのかを、どっちかを選択する事になったスズ。 とりあえず、お試しで一週間だけ知人宅にお邪魔する事になった。 圧倒されるような日本家屋に驚きつつ、なぜか知人宅には学校一番イケメンとらいわれる有名な三船がいた。 スズは三船とは会話をしたことがなく、気まずいながらも挨拶をする。しかし三船の方は傲慢な態度を取り印象は最悪。 ここで暮らして行けるのか。悩んでいると母の友人であり知人の、義宗に「三船は不器用だから長めに見てやって」と気長に判断してほしいと言われる。 三船に嫌われていては判断するもないと思うがとスズは思う。それでも優しい義宗が言った通りに気長がに気楽にしようと心がける。 しかし、スズが待ち受けているのは日常ではなく波乱。 三船との衝突。そして、この家の秘密と真実に立ち向かうことになるスズだった。

乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について

はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。

逃げるが勝ち

うりぼう
BL
美形強面×眼鏡地味 ひょんなことがきっかけで知り合った二人。 全力で追いかける強面春日と全力で逃げる地味眼鏡秋吉の攻防。

僕の平凡生活が…

ポコタマ
BL
アンチ転校生によって日常が壊された主人公の話です 更新頻度はとても遅めです。誤字・脱字がある場合がございます。お気に入り、しおり、感想励みになります。

処理中です...