うちのワンコ書記が狙われてます

葉津緒

文字の大きさ
上 下
41 / 51
俺の飼い主さまを探してる

16

しおりを挟む

「やだ、やだ……怖い……嫌。触ら、ないで……かいちょ、いやっ怖い。嫌い……やだ、痛い、指いや、お尻やだァ……っ」

「お、おい、しっかりしろ空牙」「く、くうちゃん?」

「ひっ……痛いよぉ、怖い……やだ、嫌。助けっ……かいちょ、かいちょ……やああああッ」


「空牙!」「くうちゃん!?」「ワンちゃんッ」




そこから先は何も覚えてない。
ただ怖くて苦しくて。目の前が真っ暗になってく感覚と、俺を呼ぶみんなの声が遠くから聞こえただけ。



 ***



「つまり、風紀委員長はワンコ書記の『トラウマ』になっちゃったってことか」

「虎……と、馬?」

「トラウマ。心的外傷とか精神的外傷とかいうやつな。正確には奴が原因じゃねーが、奴の言動が事件を連想させちまうんだろ」

「完全に自業自得ですね。ふふっ、ザマーミロ」

「右に同じぃ。ぷっ、風紀委員長ざまぁ」


放課後の生徒会室で。
今日もみんなと一緒にお仕事したり、休憩中に美味しいお菓子食べたりしてる。
あ、結局転入生くんは会長補佐として生徒会入りしたよ。
『役員補佐』は会長以外でも許可を出せるって先生が言ってたし、会長が認めないなら俺の補佐になってもらえば良いよね。そう言ったら即、会長の補佐になることが決定した。
むうう。俺の補佐……横取りされた、ひどい。

えーとね、とりあえず今回は“苦肉の策”なんだって。

『今は(風紀委員長対策の)人手が足りないからな、特別に生徒会入りを許可してやる』って会長が言ってた。
あと、
『宣言通りに、しっかりと(風紀委員長から空牙を)守ってくださいね』

『生徒会に入ったからには身を呈してちゃんと(風紀委員長からくうちゃんを守る)仕事をしてもらうよー!』

『ああ、分かってる。一番の敵が誰なのか俺もよく分かったし。必ず奴の魔の手から(ワンコ書記を)守り切ってみせる!』
って感じにみんなすごく盛り上がってた。
何だかTVの戦隊モノみたいな会話だった気がする。かっこいい。


「まあ、そんなわけだから。今後は風紀の方でもワンちゃんと委員長の接触を極力防ぎたいと思っているっス」


そう話すのは風紀の副委員長さん。
ついさっき、お仕事の書類を持って生徒会室にやって来た。それから、こないだの件について報告してくれてる。(虎と馬が風紀委員長、ってどうゆう意味だろ)
……風紀委員長に蹴られた足はもう平気なのかな。普通に歩いてるけど。


「副いいんちょ、さん。足……もう、痛くない?」

「ん? ああ、全然大丈夫っスよ。ワンちゃん心配してくれるんスか、嬉しいなぁ」


一瞬だけ目を大きく開いた後、はにかむように微笑んだ副委員長さん。
うわぁ。元々、格好良くてシュッとしてて男前な美形さんだなぁって思ってたけど、今の表情は何だかすごく綺麗……。


.
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話

みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。 数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。

山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。 お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。 サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

就職するところがない俺は男用のアダルトグッズの会社に就職しました

柊香
BL
倒産で職を失った俺はアダルトグッズ開発会社に就職!? しかも男用!? 好条件だから仕方なく入った会社だが慣れるとだんだん良くなってきて… 二作目です!

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい

椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。 その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。 婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!! 婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。 攻めズ ノーマルなクール王子 ドMぶりっ子 ドS従者 × Sムーブに悩むツッコミぼっち受け 作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

処理中です...