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俺の飼い主さまを探してる
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「くそっいきなり、離せよこの!」
「お前こそ何しようとしてんスか。……ワンちゃん、その両手を下げて。んで、どうすんのこいつ。生徒会に新加入させるんスか?」
「認めねえ」「させません」
「転入生なんかいらないし、くうちゃんのハグは俺のもの」
「わ」
「あ、会計てめえッ」「空牙!」
いつも会計にハグされるときは、俺の前で両手を広げて『ほら、くうちゃんも同じようにしてみて』と言われてたから。
転入生くんにも同じように両手を広げたのにハグしてもらえなかった。ちょっと悲しい。……代わりに会計が抱きついてギュッてしてくれた。
「ふぎゃっ」
と思ったらべりっと剥がされて何故か床に転がる会計。
入れ替わるように副会長が、その次は会長がハグしてくる……嬉しいけど力いっぱいぎゅうぎゅうされて、い、痛い。
「かい、ちょ……苦し……っ」
「黙れバカ犬が。誰にでもしっぽ振りやがって」
「お、おい、そいつ苦しいって言ってるだろ離せよ会長!」
「そうっスよ。ワンちゃんから離れろ馬鹿会長ッ」
「ぐおっ」
「会長!」「くうちゃんッ」
転入生くんを解放した副委員長さん、の蹴りが当たったんだと思う。
呻き声の後かくんっと体勢を崩した会長は俺を抱えたまま倒れ――そうになるのを何とか持ちこたえた。
うあ。びっくりしたせいで、どきどきする。でもちゃんと俺の頭を手で守ってくれてた。会長優しい。
「何しやがるクソ風紀、危ねえな」
「チッ。ワンちゃんごめんね、少し予測を誤ったみたいっス」
「……副いいんちょさん、かいちょ怪我しちゃう、から。蹴っちゃダメ」
「ぐ」
何故か『ドヤ顔』の会長が頭なでなでしてくれる。
他のみんなはすごく悔しそうに会長を睨んでます。
「と、とにかく! 今のも含めて、やっぱこれ以上あんたらには任せておけない。ワンコ書記……いや、空牙は俺が守る」
「はあ?」「チッ」
え。転入生くんが俺を守るの?
「あんたら、ついこないだも空牙を危険な目に遭わせて大怪我させたんだってな。俺それ聞いてからずっと不安で。このまま放っといたらまた同じことになるんじゃないかって……だから大急ぎで生徒会の役員補佐の推薦を取ってき」
「なるほど一理ある。確かに生徒会のこいつらじゃ弱すぎて心配にもなるわな。でもそれならいっそ空牙は生徒会を辞めて、風紀の俺んとこに来た方が全然安心だろ」
「い、いいんちょ……ッ」
「なっ、風紀委員長、いつの間に!?」
みんなが一斉に振り向いた先、生徒会室の扉前にはここにいる筈のない風紀委員長が――。
「こ、こら暴れるな空牙。大人しく黙って俺の腕の中にいろ」
「かい、ちょ」
とっさに逃げ出そうとした俺をぎゅって抱きしめる会長。怖いけど、ぷるぷる震える手で会長の服にしがみつく。
.
「お前こそ何しようとしてんスか。……ワンちゃん、その両手を下げて。んで、どうすんのこいつ。生徒会に新加入させるんスか?」
「認めねえ」「させません」
「転入生なんかいらないし、くうちゃんのハグは俺のもの」
「わ」
「あ、会計てめえッ」「空牙!」
いつも会計にハグされるときは、俺の前で両手を広げて『ほら、くうちゃんも同じようにしてみて』と言われてたから。
転入生くんにも同じように両手を広げたのにハグしてもらえなかった。ちょっと悲しい。……代わりに会計が抱きついてギュッてしてくれた。
「ふぎゃっ」
と思ったらべりっと剥がされて何故か床に転がる会計。
入れ替わるように副会長が、その次は会長がハグしてくる……嬉しいけど力いっぱいぎゅうぎゅうされて、い、痛い。
「かい、ちょ……苦し……っ」
「黙れバカ犬が。誰にでもしっぽ振りやがって」
「お、おい、そいつ苦しいって言ってるだろ離せよ会長!」
「そうっスよ。ワンちゃんから離れろ馬鹿会長ッ」
「ぐおっ」
「会長!」「くうちゃんッ」
転入生くんを解放した副委員長さん、の蹴りが当たったんだと思う。
呻き声の後かくんっと体勢を崩した会長は俺を抱えたまま倒れ――そうになるのを何とか持ちこたえた。
うあ。びっくりしたせいで、どきどきする。でもちゃんと俺の頭を手で守ってくれてた。会長優しい。
「何しやがるクソ風紀、危ねえな」
「チッ。ワンちゃんごめんね、少し予測を誤ったみたいっス」
「……副いいんちょさん、かいちょ怪我しちゃう、から。蹴っちゃダメ」
「ぐ」
何故か『ドヤ顔』の会長が頭なでなでしてくれる。
他のみんなはすごく悔しそうに会長を睨んでます。
「と、とにかく! 今のも含めて、やっぱこれ以上あんたらには任せておけない。ワンコ書記……いや、空牙は俺が守る」
「はあ?」「チッ」
え。転入生くんが俺を守るの?
「あんたら、ついこないだも空牙を危険な目に遭わせて大怪我させたんだってな。俺それ聞いてからずっと不安で。このまま放っといたらまた同じことになるんじゃないかって……だから大急ぎで生徒会の役員補佐の推薦を取ってき」
「なるほど一理ある。確かに生徒会のこいつらじゃ弱すぎて心配にもなるわな。でもそれならいっそ空牙は生徒会を辞めて、風紀の俺んとこに来た方が全然安心だろ」
「い、いいんちょ……ッ」
「なっ、風紀委員長、いつの間に!?」
みんなが一斉に振り向いた先、生徒会室の扉前にはここにいる筈のない風紀委員長が――。
「こ、こら暴れるな空牙。大人しく黙って俺の腕の中にいろ」
「かい、ちょ」
とっさに逃げ出そうとした俺をぎゅって抱きしめる会長。怖いけど、ぷるぷる震える手で会長の服にしがみつく。
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