38 / 51
俺の飼い主さまを探してる
13
しおりを挟む
「あんなよりにもよって顔と頭と勢いだけの俺様野郎に純真無垢な私の空牙が、空牙が……ッ。ふ、ふふふ。やはり私のこの手で邪魔な会長を亡き者にする時が来たようですね」
「は? ありえねーだろ風紀委員長より少しマシ程度の雑魚野郎じゃねぇか、アイツにするくらいなら俺で良くね? いや別に俺がどうしてもワンちゃんを欲しいからとかじゃねーし。攫(さら)うか。もうワンちゃん攫ってどっかに閉じ込めちまうのが一番手っ取り早いか、これ」
どうしよう。
皆、小さな声でぶつぶつぶつぶつまた何か言い始めた。
副委員長さんは片手で自分の顔を半分押さえながら笑ってるし。副会長も「ふふふ」って笑ってるのに何だかすごく怖い。会計は……えっと泣いてる?
「だから駄目だと言ってるだろうが。諦めてさっさと帰れ!」
「何でだよ条件は満たしてる筈だぞ俺は!」
突然、大声で怒鳴り合う二人――会長と転入生くんが生徒会室の扉を開けて入ってきた。
一体どうしたんだろ。
「あっ、ワンコ書記」
「行かせるわけねーだろが」
俺と目が合った転入生くんが嬉しそうに笑いながらこっちに駆け寄ろうとして、会長に首根っこを押さえられた。
なんて素早い動き。さすが会長カッコイイ。
俺の前には副会長と会計が立ち塞がって会長と転入生を睨みつけてる。
「何ですかいきなり。ここは関係者以外立ち入り禁止ですよ。非常識な方はうちの空牙に近付かないでくださいね」
「特に転入生は二度とここへ現れないように、って前言われなかったぁ? そーれーとー、うちのくうちゃんに気安く話しかけないでもらえますぅ?」
「『うちの』って……あーもう、とにかく俺を生徒会に入れてくれ。条件はクリアしたし理事長と顧問の先生から認可をもらってる。あとは会長の許可印だけらしいから」
「は?」「いきなり何言ってんの!?」
「俺は許可しないと言ってるだろうが」
「……転入生くん、生徒会に入ってくれる、の。俺と、ずっと一緒?」
「くうちゃん?」「空牙?」「……っ」
みんなが一斉に俺を見る。驚いた顔をしてるのは何でだろ。そんなことよりも先に誰か教えてほしい。
本当に転入生くんが生徒会に入ったら、もう俺、口をきいたり頭なでたりとか我慢しなくても良いのかな。あ、名前を覚えるのはちょっと苦手だけど。
「ほんとに生徒会の仲間、なってくれる? なでなでしても、怒らない?」
「ぜっっったいに怒らない」
パアアアアッと満開のお花みたいな笑顔になる転入生くん。
会長の手を振り解き、副会長と会計の間をすり抜け、両手を広げて俺を抱きしめ……る直前、風紀副委員長さんから羽交い締めにされました。あれ?
.
「は? ありえねーだろ風紀委員長より少しマシ程度の雑魚野郎じゃねぇか、アイツにするくらいなら俺で良くね? いや別に俺がどうしてもワンちゃんを欲しいからとかじゃねーし。攫(さら)うか。もうワンちゃん攫ってどっかに閉じ込めちまうのが一番手っ取り早いか、これ」
どうしよう。
皆、小さな声でぶつぶつぶつぶつまた何か言い始めた。
副委員長さんは片手で自分の顔を半分押さえながら笑ってるし。副会長も「ふふふ」って笑ってるのに何だかすごく怖い。会計は……えっと泣いてる?
「だから駄目だと言ってるだろうが。諦めてさっさと帰れ!」
「何でだよ条件は満たしてる筈だぞ俺は!」
突然、大声で怒鳴り合う二人――会長と転入生くんが生徒会室の扉を開けて入ってきた。
一体どうしたんだろ。
「あっ、ワンコ書記」
「行かせるわけねーだろが」
俺と目が合った転入生くんが嬉しそうに笑いながらこっちに駆け寄ろうとして、会長に首根っこを押さえられた。
なんて素早い動き。さすが会長カッコイイ。
俺の前には副会長と会計が立ち塞がって会長と転入生を睨みつけてる。
「何ですかいきなり。ここは関係者以外立ち入り禁止ですよ。非常識な方はうちの空牙に近付かないでくださいね」
「特に転入生は二度とここへ現れないように、って前言われなかったぁ? そーれーとー、うちのくうちゃんに気安く話しかけないでもらえますぅ?」
「『うちの』って……あーもう、とにかく俺を生徒会に入れてくれ。条件はクリアしたし理事長と顧問の先生から認可をもらってる。あとは会長の許可印だけらしいから」
「は?」「いきなり何言ってんの!?」
「俺は許可しないと言ってるだろうが」
「……転入生くん、生徒会に入ってくれる、の。俺と、ずっと一緒?」
「くうちゃん?」「空牙?」「……っ」
みんなが一斉に俺を見る。驚いた顔をしてるのは何でだろ。そんなことよりも先に誰か教えてほしい。
本当に転入生くんが生徒会に入ったら、もう俺、口をきいたり頭なでたりとか我慢しなくても良いのかな。あ、名前を覚えるのはちょっと苦手だけど。
「ほんとに生徒会の仲間、なってくれる? なでなでしても、怒らない?」
「ぜっっったいに怒らない」
パアアアアッと満開のお花みたいな笑顔になる転入生くん。
会長の手を振り解き、副会長と会計の間をすり抜け、両手を広げて俺を抱きしめ……る直前、風紀副委員長さんから羽交い締めにされました。あれ?
.
20
お気に入りに追加
280
あなたにおすすめの小説


就職するところがない俺は男用のアダルトグッズの会社に就職しました
柊香
BL
倒産で職を失った俺はアダルトグッズ開発会社に就職!?
しかも男用!?
好条件だから仕方なく入った会社だが慣れるとだんだん良くなってきて…
二作目です!

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。



久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

イケメンの後輩にめちゃめちゃお願いされて、一回だけやってしまったら、大変なことになってしまった話
ゆなな
BL
タイトルどおり熱烈に年下に口説かれるお話。Twitterに載せていたものに加筆しました。Twitter→@yuna_org
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる