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俺の飼い主さまを探してる
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「あんなよりにもよって顔と頭と勢いだけの俺様野郎に純真無垢な私の空牙が、空牙が……ッ。ふ、ふふふ。やはり私のこの手で邪魔な会長を亡き者にする時が来たようですね」
「は? ありえねーだろ風紀委員長より少しマシ程度の雑魚野郎じゃねぇか、アイツにするくらいなら俺で良くね? いや別に俺がどうしてもワンちゃんを欲しいからとかじゃねーし。攫(さら)うか。もうワンちゃん攫ってどっかに閉じ込めちまうのが一番手っ取り早いか、これ」
どうしよう。
皆、小さな声でぶつぶつぶつぶつまた何か言い始めた。
副委員長さんは片手で自分の顔を半分押さえながら笑ってるし。副会長も「ふふふ」って笑ってるのに何だかすごく怖い。会計は……えっと泣いてる?
「だから駄目だと言ってるだろうが。諦めてさっさと帰れ!」
「何でだよ条件は満たしてる筈だぞ俺は!」
突然、大声で怒鳴り合う二人――会長と転入生くんが生徒会室の扉を開けて入ってきた。
一体どうしたんだろ。
「あっ、ワンコ書記」
「行かせるわけねーだろが」
俺と目が合った転入生くんが嬉しそうに笑いながらこっちに駆け寄ろうとして、会長に首根っこを押さえられた。
なんて素早い動き。さすが会長カッコイイ。
俺の前には副会長と会計が立ち塞がって会長と転入生を睨みつけてる。
「何ですかいきなり。ここは関係者以外立ち入り禁止ですよ。非常識な方はうちの空牙に近付かないでくださいね」
「特に転入生は二度とここへ現れないように、って前言われなかったぁ? そーれーとー、うちのくうちゃんに気安く話しかけないでもらえますぅ?」
「『うちの』って……あーもう、とにかく俺を生徒会に入れてくれ。条件はクリアしたし理事長と顧問の先生から認可をもらってる。あとは会長の許可印だけらしいから」
「は?」「いきなり何言ってんの!?」
「俺は許可しないと言ってるだろうが」
「……転入生くん、生徒会に入ってくれる、の。俺と、ずっと一緒?」
「くうちゃん?」「空牙?」「……っ」
みんなが一斉に俺を見る。驚いた顔をしてるのは何でだろ。そんなことよりも先に誰か教えてほしい。
本当に転入生くんが生徒会に入ったら、もう俺、口をきいたり頭なでたりとか我慢しなくても良いのかな。あ、名前を覚えるのはちょっと苦手だけど。
「ほんとに生徒会の仲間、なってくれる? なでなでしても、怒らない?」
「ぜっっったいに怒らない」
パアアアアッと満開のお花みたいな笑顔になる転入生くん。
会長の手を振り解き、副会長と会計の間をすり抜け、両手を広げて俺を抱きしめ……る直前、風紀副委員長さんから羽交い締めにされました。あれ?
.
「は? ありえねーだろ風紀委員長より少しマシ程度の雑魚野郎じゃねぇか、アイツにするくらいなら俺で良くね? いや別に俺がどうしてもワンちゃんを欲しいからとかじゃねーし。攫(さら)うか。もうワンちゃん攫ってどっかに閉じ込めちまうのが一番手っ取り早いか、これ」
どうしよう。
皆、小さな声でぶつぶつぶつぶつまた何か言い始めた。
副委員長さんは片手で自分の顔を半分押さえながら笑ってるし。副会長も「ふふふ」って笑ってるのに何だかすごく怖い。会計は……えっと泣いてる?
「だから駄目だと言ってるだろうが。諦めてさっさと帰れ!」
「何でだよ条件は満たしてる筈だぞ俺は!」
突然、大声で怒鳴り合う二人――会長と転入生くんが生徒会室の扉を開けて入ってきた。
一体どうしたんだろ。
「あっ、ワンコ書記」
「行かせるわけねーだろが」
俺と目が合った転入生くんが嬉しそうに笑いながらこっちに駆け寄ろうとして、会長に首根っこを押さえられた。
なんて素早い動き。さすが会長カッコイイ。
俺の前には副会長と会計が立ち塞がって会長と転入生を睨みつけてる。
「何ですかいきなり。ここは関係者以外立ち入り禁止ですよ。非常識な方はうちの空牙に近付かないでくださいね」
「特に転入生は二度とここへ現れないように、って前言われなかったぁ? そーれーとー、うちのくうちゃんに気安く話しかけないでもらえますぅ?」
「『うちの』って……あーもう、とにかく俺を生徒会に入れてくれ。条件はクリアしたし理事長と顧問の先生から認可をもらってる。あとは会長の許可印だけらしいから」
「は?」「いきなり何言ってんの!?」
「俺は許可しないと言ってるだろうが」
「……転入生くん、生徒会に入ってくれる、の。俺と、ずっと一緒?」
「くうちゃん?」「空牙?」「……っ」
みんなが一斉に俺を見る。驚いた顔をしてるのは何でだろ。そんなことよりも先に誰か教えてほしい。
本当に転入生くんが生徒会に入ったら、もう俺、口をきいたり頭なでたりとか我慢しなくても良いのかな。あ、名前を覚えるのはちょっと苦手だけど。
「ほんとに生徒会の仲間、なってくれる? なでなでしても、怒らない?」
「ぜっっったいに怒らない」
パアアアアッと満開のお花みたいな笑顔になる転入生くん。
会長の手を振り解き、副会長と会計の間をすり抜け、両手を広げて俺を抱きしめ……る直前、風紀副委員長さんから羽交い締めにされました。あれ?
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