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俺の飼い主さまを探してる
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「いいえ、少なくとも風紀委員長が諸悪の根源であることは間違いありません。彼に怯えて空牙は本能のまま逃走してしまったのですから。金輪際、私たちの前に姿を見せないで欲しいものですね。それとあの日、彼をここに連れて来たあなたにも責任はあります」
「右に同じ、風紀は帰れー! か、え、れ! か、え、れ!」
入口付近で通せんぼしてた副会長をするりとかわし、俺の座るソファーのすぐ横に来てくれた副委員長。
傷跡が気になるのか、見上げる俺の頬に触れようと手を伸ばしたその(俺と副委員長さんの)間に、副会長が無理やり入り込む。狭そう。
隣に座ってたチャラ会計も俺を自分の方へ引っ張り、何かから隠すみたいに抱きしめてくる。わぷ。ちょっと痛い。
「止めて。待って……風紀の皆、副かいちょ、チャラ会計、助けに来てくれた。いいんちょ、副いいんちょさん、も。皆が俺とかいちょ、救ってくれた。かいちょがくれた御守り……ありがとござました」
元は温室だったあの場所に誰よりも早く来てくれた会長。
どうしてあそこに俺がいると分かったのか。
それは、会長が俺にくれた御守りのおかげだった。
一見するとただのペンダントな『御守り』は、実はGPS機能や他にも色んな機能がついたものなんだって。
風紀委員長に捕まり、助けに来てくれた生徒会の皆もおかしくなる出来事があった後、しばらくして「二度とあんな真似はしない」と頭を下げる会長から渡された。
「もし今度また風紀委員長や別の誰かにでも、無理やり嫌なことをされそうになったらこれを使え。お前がどこにいても必ず俺が助けに行ってやる。約束だ」
そうして首にかけてもらった『御守り』を、俺は毎日必ず着けるようになった。
……あれが無かったら今頃どうなってたのかな。
御守りも嬉しかったけど本当は約束通り会長が助けに来てくれたことの方がもっとずっと嬉しかった。
残念だったのはあの日、乱暴してきた嫌な人たちのせいでチェーンが壊れてしまったこと。でも本体は無事(あとで会長がそう教えてくれた)だったから、とりあえず今は仮の紐を通してある。
俺の怪我が完全に治ったら、一緒に街まで新しい丈夫なチェーンを買いに行ってくれるって会長言ってた。すごく楽しみ。早く行きたいな。
「会長の御守り、ねぇ。まあ確かに今回は役に立ったっスけど、ワンちゃん本当に良いのそれ。常時監視されてるみたいで気持ち悪かったりしない?」
「いつも……かいちょ、そばにいるみたい、で嬉し」
少し恥ずかしいけど副委員長さんにそう言ったら、三人とも変な顔になった。何でだろ。
「ぐうう、やっぱりか会長めえぇえ。照れてるくうちゃんがすんごい可愛いけども、可愛いけども!」
.
「右に同じ、風紀は帰れー! か、え、れ! か、え、れ!」
入口付近で通せんぼしてた副会長をするりとかわし、俺の座るソファーのすぐ横に来てくれた副委員長。
傷跡が気になるのか、見上げる俺の頬に触れようと手を伸ばしたその(俺と副委員長さんの)間に、副会長が無理やり入り込む。狭そう。
隣に座ってたチャラ会計も俺を自分の方へ引っ張り、何かから隠すみたいに抱きしめてくる。わぷ。ちょっと痛い。
「止めて。待って……風紀の皆、副かいちょ、チャラ会計、助けに来てくれた。いいんちょ、副いいんちょさん、も。皆が俺とかいちょ、救ってくれた。かいちょがくれた御守り……ありがとござました」
元は温室だったあの場所に誰よりも早く来てくれた会長。
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風紀委員長に捕まり、助けに来てくれた生徒会の皆もおかしくなる出来事があった後、しばらくして「二度とあんな真似はしない」と頭を下げる会長から渡された。
「もし今度また風紀委員長や別の誰かにでも、無理やり嫌なことをされそうになったらこれを使え。お前がどこにいても必ず俺が助けに行ってやる。約束だ」
そうして首にかけてもらった『御守り』を、俺は毎日必ず着けるようになった。
……あれが無かったら今頃どうなってたのかな。
御守りも嬉しかったけど本当は約束通り会長が助けに来てくれたことの方がもっとずっと嬉しかった。
残念だったのはあの日、乱暴してきた嫌な人たちのせいでチェーンが壊れてしまったこと。でも本体は無事(あとで会長がそう教えてくれた)だったから、とりあえず今は仮の紐を通してある。
俺の怪我が完全に治ったら、一緒に街まで新しい丈夫なチェーンを買いに行ってくれるって会長言ってた。すごく楽しみ。早く行きたいな。
「会長の御守り、ねぇ。まあ確かに今回は役に立ったっスけど、ワンちゃん本当に良いのそれ。常時監視されてるみたいで気持ち悪かったりしない?」
「いつも……かいちょ、そばにいるみたい、で嬉し」
少し恥ずかしいけど副委員長さんにそう言ったら、三人とも変な顔になった。何でだろ。
「ぐうう、やっぱりか会長めえぇえ。照れてるくうちゃんがすんごい可愛いけども、可愛いけども!」
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