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救出作戦
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委員長の謹慎最終日の午後、生徒会室を訪れたのは風紀副委員長である。対する三人の反応は非常に冷たかった。
実は生徒会の三人ともあれ以来、今まで普通に懐いていた筈の空牙に怯えられ、避けられている。
一応毎日、生徒会室には来るのだがそれも短時間だけ。話しかけても目を逸らし曖昧な返事のみで慌てるように居なくなるのだ。
完全に嫌われてしまった、とは思いたくない。
もしそうなら空牙のことだ、恐らくここには二度と近寄らない(俺/私達と会おうともしない)だろう。
だからまだ大丈夫。
鬼畜野郎にそそのかされうっかり日頃の欲望をさらけ出す失敗は確かにあったが、とにかく今はひたすら謝罪し、さらに優しく甘やかすように根気よく餌付けの一つや二つや三つ……と続けていけばそのうちきっとまた懐いてもらえる。
多分、いや絶対に。
そんな、ある意味失礼とも言える仲直り作戦は、ワンコ書記の性格を熟知していた彼らにやがて勝利をもたらすこととなるのだが。
副委員長を睨む三人の中では今現在、後悔や反省、そして打算を上回る激しい怒りと嫉妬の感情が暴れまくっていた。
「ワンちゃん、身体の方は大丈夫? あれから変なとことか無い?」
「あっ、副……いいんちょ、さん。無い……だいじょ、ぶ」
「そっか、なら良かったっスね。あ、でも少しでも身体に違和感が出たら絶対すぐ俺に教えるんっスよー。あれマジで強い媚薬成分が入ってたやつだし。ホントうちの馬鹿委員長が、ごめんね」
「んっ、んん……あ、ありがと?」
「――って、くうちゃん何その反応。何でそいつには怯えてないの? むしろ恥ずかしそうに耳まで赤くしながら可愛く微笑んだりとか、ま、まさか!?」
「だ、ダメですよ空牙。そこのドエロ悪魔がどんなテクニックを駆使して貴方の身体を弄び尽くしたのかは知りませんが所詮全ては薬が見せた幻。その感情は錯覚です! ですがどうしても忘れられずに身体が疼くというのなら、し、仕方ありませんね。大丈夫、私がそんなもの無しでもきっと貴方を満足させてあげましょう」
「待て、副会長より俺の方が絶対何倍も上手いに決まってる。というか風紀副には彼女がいんだろ、な、諦めて俺にしろ空牙!」
もしや身体から落とされ風紀副委員長を好きになってしまったのでは、と慌てふためく生徒会。
けれども彼らの言動にいまいち思考が追い付かないのがワンコ書記。通常運転である。
もちろん恋愛感情を抱いたわけもなく、単純に恥ずかしかっただけだ。
強すぎる媚薬のせいで幸いあの日の記憶は途中から曖昧になっていた。しかし副委員長の手や口でされた行為は、信じられないほどの気持ち良さと共に覚えている。
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実は生徒会の三人ともあれ以来、今まで普通に懐いていた筈の空牙に怯えられ、避けられている。
一応毎日、生徒会室には来るのだがそれも短時間だけ。話しかけても目を逸らし曖昧な返事のみで慌てるように居なくなるのだ。
完全に嫌われてしまった、とは思いたくない。
もしそうなら空牙のことだ、恐らくここには二度と近寄らない(俺/私達と会おうともしない)だろう。
だからまだ大丈夫。
鬼畜野郎にそそのかされうっかり日頃の欲望をさらけ出す失敗は確かにあったが、とにかく今はひたすら謝罪し、さらに優しく甘やかすように根気よく餌付けの一つや二つや三つ……と続けていけばそのうちきっとまた懐いてもらえる。
多分、いや絶対に。
そんな、ある意味失礼とも言える仲直り作戦は、ワンコ書記の性格を熟知していた彼らにやがて勝利をもたらすこととなるのだが。
副委員長を睨む三人の中では今現在、後悔や反省、そして打算を上回る激しい怒りと嫉妬の感情が暴れまくっていた。
「ワンちゃん、身体の方は大丈夫? あれから変なとことか無い?」
「あっ、副……いいんちょ、さん。無い……だいじょ、ぶ」
「そっか、なら良かったっスね。あ、でも少しでも身体に違和感が出たら絶対すぐ俺に教えるんっスよー。あれマジで強い媚薬成分が入ってたやつだし。ホントうちの馬鹿委員長が、ごめんね」
「んっ、んん……あ、ありがと?」
「――って、くうちゃん何その反応。何でそいつには怯えてないの? むしろ恥ずかしそうに耳まで赤くしながら可愛く微笑んだりとか、ま、まさか!?」
「だ、ダメですよ空牙。そこのドエロ悪魔がどんなテクニックを駆使して貴方の身体を弄び尽くしたのかは知りませんが所詮全ては薬が見せた幻。その感情は錯覚です! ですがどうしても忘れられずに身体が疼くというのなら、し、仕方ありませんね。大丈夫、私がそんなもの無しでもきっと貴方を満足させてあげましょう」
「待て、副会長より俺の方が絶対何倍も上手いに決まってる。というか風紀副には彼女がいんだろ、な、諦めて俺にしろ空牙!」
もしや身体から落とされ風紀副委員長を好きになってしまったのでは、と慌てふためく生徒会。
けれども彼らの言動にいまいち思考が追い付かないのがワンコ書記。通常運転である。
もちろん恋愛感情を抱いたわけもなく、単純に恥ずかしかっただけだ。
強すぎる媚薬のせいで幸いあの日の記憶は途中から曖昧になっていた。しかし副委員長の手や口でされた行為は、信じられないほどの気持ち良さと共に覚えている。
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