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赤と青
赤と青
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「あーつまんね。一ヶ月ケンカ禁止って、総長命令の罰則重くね?」
「あの子の学園祭へ俺達だけで勝手に遊びに行ったからね。しかも、俺らがその場にいてあの子に怪我を負わせたんだ。むしろ軽い方だろ」
「……まあ、な」
「それにお前の場合、皆からも色々羨ましがられるようなことが多々あったみたいだし」
「はあ? どういう意味だよ」
「あの子の白い足を――」
「ブッ!? 待て、なっ何のことだ、違うぞ別に俺はアイツの足の手触りがスゲー気持ち良かったから、いっそじっくり撫で回したいとかついでに足の指も舐めてみたいとか、何ならあの足で踏まれたら最高に興奮しそうだなとか思ってねーし。
あの白い太腿に頭を挟まれながらアイツのアレをふやけるくらいに可愛がってやる夢を見て、うっかり夢精しちまったりなんかしてねーからな!
あ、あと、後ろからあのエロい太腿の間に突っ込んでメチャクチャに擦り上げたらアイツの竿も袋も蟻の門渡りも穴の入り口にも擦れて引っ掛かったりして、そのまま間違えたふりして中に挿入出来ちまったりする最高にラッキーな夢とか……ごふうっ!?
まずい、思い出すだけで鼻血が止まんねぇぞ。い、いや、だから決して俺はアイツの白い足からそんな妄想や夢は全くこれっぽっちも!」
「あーうん、むしろ恥ずかしい自白をどうも。へえ、『蟻の門渡り』なんて言葉を知ってるんだ。デジタル大辞泉によると陰部と肛門の間、会陰。
……あ、『門渡り』だけでも会陰の俗称として通じるみたいだぞ」
「そ、そうなのか?」
「ちなみに俺もあの子の女装姿と白い足と下着が目に焼き付いて、あれからほぼ毎日おかずにしてる。何なら一晩で過去最高記録回数を叩き出すくらいにはお世話になったかな。まさに眼福。あれを見れただけでも罰則くらう価値は充分あったな」
「ぶっふぉー!?」
「ああ、安心しろ。妄想の中身は多分お前とそう変わらないと思う。ただ俺の場合は、緋色の長襦袢や浴衣を着たあの子が快楽に頬を染めて乱れていく様をじっくりねっとり愉しみながら『お願いだからもぉ入れて』と泣きじゃくって甘えてくるまで、しつこくねちっこく――」
「もももう止めろッ聞きたくねぇわ、そんな妄想話! 耳が腐るわ!」
「チッ、自分の時は喜んで話したくせに」
「喜んでねぇよッ」
「……とりあえずだが、今の話は誰にも言うなよ。特に総長に知られたら罰則どころか確実に殺される。そんでもし、アイツ本人に知られたら俺ら二度と信頼されなくなる、よな」
「そういう目で見られるのが大っ嫌いだからね、あの子。だから俺らも本気で告白すら出来ないわけだし。その分つい妄想がどんどん過激になってくんだけど」
「そのうちまともに顔も見れなくなるくらいに、か?」
「どうかな。とりあえず頻繁に鼻血を出すのはダメだろ」
「ぐっ、アイツが可愛くてエロいのが悪い! 学園祭の時だって俺の前でちっこい尻を揺らしながら『ねえ、早くー』とか、振り向きざまに上目遣いで言いやがって……あれ絶対誘ってたよな? むしろあの場で犯さなかった俺、偉いよな!?」
「ああ、それは偉いんじゃないか? だけどあの子の足に自分の足を絡めたり横抱きにして保健室まで運んだんだって? 皆に羨ましがられる、ってのはそういうとこなんだが」
「足を絡めたのはアイツの暴走を止めるためだし、お姫さま抱っこじゃなくて横抱きならまだ良いだろ。既に限界だったアイツを連れて逃げる方法が他に思い付かなくて、しかも保健室着いた途端、腹に膝蹴りくらったからな!?」
「……お疲れ様です。そうか、実は色々と大変だったんだな。俺も危うく過剰防衛で傷害罪になりかけたんだが、向こう側が殺傷能力のある武器や違法な薬を所持してたおかげで無事に帰ってこれたんだよな。んで、あの子がお詫びとお礼を兼ねて一つだけ何でも言うことを聞いてくれるって言うから、今度の休みにデートする約束を――」
「はああああ!? ふざけんな、誰がデートなんかさせるかてめ、ぶっ殺すぞ!」
「へえ、赤鬼が青鬼に勝てるとでも? 面白いな、どちらが本当に強いのか決着つけてやるよ」
「上等だこらぁ!」
こうして、ケンカ禁止の罰則期間中早々に本気の殴り合いを始めた二人は、青筋を浮かべた総長の拳と蹴りによってその場に沈められたという。
後日、“あの子”との待ち合わせ場所に何故か二人揃って現れるのだが、どちらも包帯を巻いた痛々しい姿だった。
改めて総長の強さと恐ろしさを味わった二人。
しかし、怪我の様子を心配した“あの子”に普段よりもずっと優しく対応されて、むしろこれこそが真のご褒美だったのか、と信じてもいない神に心から感謝したそうである。
めでたしめでたし?
【END】2020.06.10
「あの子の学園祭へ俺達だけで勝手に遊びに行ったからね。しかも、俺らがその場にいてあの子に怪我を負わせたんだ。むしろ軽い方だろ」
「……まあ、な」
「それにお前の場合、皆からも色々羨ましがられるようなことが多々あったみたいだし」
「はあ? どういう意味だよ」
「あの子の白い足を――」
「ブッ!? 待て、なっ何のことだ、違うぞ別に俺はアイツの足の手触りがスゲー気持ち良かったから、いっそじっくり撫で回したいとかついでに足の指も舐めてみたいとか、何ならあの足で踏まれたら最高に興奮しそうだなとか思ってねーし。
あの白い太腿に頭を挟まれながらアイツのアレをふやけるくらいに可愛がってやる夢を見て、うっかり夢精しちまったりなんかしてねーからな!
あ、あと、後ろからあのエロい太腿の間に突っ込んでメチャクチャに擦り上げたらアイツの竿も袋も蟻の門渡りも穴の入り口にも擦れて引っ掛かったりして、そのまま間違えたふりして中に挿入出来ちまったりする最高にラッキーな夢とか……ごふうっ!?
まずい、思い出すだけで鼻血が止まんねぇぞ。い、いや、だから決して俺はアイツの白い足からそんな妄想や夢は全くこれっぽっちも!」
「あーうん、むしろ恥ずかしい自白をどうも。へえ、『蟻の門渡り』なんて言葉を知ってるんだ。デジタル大辞泉によると陰部と肛門の間、会陰。
……あ、『門渡り』だけでも会陰の俗称として通じるみたいだぞ」
「そ、そうなのか?」
「ちなみに俺もあの子の女装姿と白い足と下着が目に焼き付いて、あれからほぼ毎日おかずにしてる。何なら一晩で過去最高記録回数を叩き出すくらいにはお世話になったかな。まさに眼福。あれを見れただけでも罰則くらう価値は充分あったな」
「ぶっふぉー!?」
「ああ、安心しろ。妄想の中身は多分お前とそう変わらないと思う。ただ俺の場合は、緋色の長襦袢や浴衣を着たあの子が快楽に頬を染めて乱れていく様をじっくりねっとり愉しみながら『お願いだからもぉ入れて』と泣きじゃくって甘えてくるまで、しつこくねちっこく――」
「もももう止めろッ聞きたくねぇわ、そんな妄想話! 耳が腐るわ!」
「チッ、自分の時は喜んで話したくせに」
「喜んでねぇよッ」
「……とりあえずだが、今の話は誰にも言うなよ。特に総長に知られたら罰則どころか確実に殺される。そんでもし、アイツ本人に知られたら俺ら二度と信頼されなくなる、よな」
「そういう目で見られるのが大っ嫌いだからね、あの子。だから俺らも本気で告白すら出来ないわけだし。その分つい妄想がどんどん過激になってくんだけど」
「そのうちまともに顔も見れなくなるくらいに、か?」
「どうかな。とりあえず頻繁に鼻血を出すのはダメだろ」
「ぐっ、アイツが可愛くてエロいのが悪い! 学園祭の時だって俺の前でちっこい尻を揺らしながら『ねえ、早くー』とか、振り向きざまに上目遣いで言いやがって……あれ絶対誘ってたよな? むしろあの場で犯さなかった俺、偉いよな!?」
「ああ、それは偉いんじゃないか? だけどあの子の足に自分の足を絡めたり横抱きにして保健室まで運んだんだって? 皆に羨ましがられる、ってのはそういうとこなんだが」
「足を絡めたのはアイツの暴走を止めるためだし、お姫さま抱っこじゃなくて横抱きならまだ良いだろ。既に限界だったアイツを連れて逃げる方法が他に思い付かなくて、しかも保健室着いた途端、腹に膝蹴りくらったからな!?」
「……お疲れ様です。そうか、実は色々と大変だったんだな。俺も危うく過剰防衛で傷害罪になりかけたんだが、向こう側が殺傷能力のある武器や違法な薬を所持してたおかげで無事に帰ってこれたんだよな。んで、あの子がお詫びとお礼を兼ねて一つだけ何でも言うことを聞いてくれるって言うから、今度の休みにデートする約束を――」
「はああああ!? ふざけんな、誰がデートなんかさせるかてめ、ぶっ殺すぞ!」
「へえ、赤鬼が青鬼に勝てるとでも? 面白いな、どちらが本当に強いのか決着つけてやるよ」
「上等だこらぁ!」
こうして、ケンカ禁止の罰則期間中早々に本気の殴り合いを始めた二人は、青筋を浮かべた総長の拳と蹴りによってその場に沈められたという。
後日、“あの子”との待ち合わせ場所に何故か二人揃って現れるのだが、どちらも包帯を巻いた痛々しい姿だった。
改めて総長の強さと恐ろしさを味わった二人。
しかし、怪我の様子を心配した“あの子”に普段よりもずっと優しく対応されて、むしろこれこそが真のご褒美だったのか、と信じてもいない神に心から感謝したそうである。
めでたしめでたし?
【END】2020.06.10
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