ワンコとわんわん

葉津緒

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第二部 ワンコの秘密

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「は? え、あの、決定? で、でも俺そういうのは一応ルームメイトにも聞かないと駄目なんじゃないかなー、みたいに思うし? いや、うん絶対に。聞かなきゃ部屋の移動は無理っていうか嫌っていうか」


あまりの急展開に驚きと焦りで訳の分からないことを口走ってるなー、という自覚はあるけど言っちゃったもんはしょうがない。
だが、ここは少しでも時間稼ぎをするのだ。そして同じ寮部屋のよしみで、あいつに部屋移動を拒否して貰おう。
俺と部屋が離れたら死んじゃう病気なんですとか何とか適当に言わせて、移動を無しにするんだ。

うんよし、多分いける。
頼むぞ俺の平凡仲間。


「それなら大丈夫ですよ、既に彼の快諾は得ていますので。わんわん君のことを末長く宜しく頼みます、とのことでしたから安心してください。わんわん君は本当に素晴らしいお友達を持って幸せですね」

「まさかの裏切りぃいッ!」


あんの腐れヲタクめぇえ絶対また何か賄賂を貰いやがったな、こんちきしょう。



「わんわん、お家(うち)帰ろ? 今日から俺の隣にお引っ越し。わんわんのお家は俺のお家、俺のお家はわんわんのお家。一緒にご飯食べて、お風呂入って、同じベッドで一緒に寝れる……楽しい!」


いやいやいや、風呂もベッドも別だけどね。
というか部屋違うし。
おかしな期待(妄想)を口にしながらキラキラな瞳を向けないでください、書記さま。


「えーワンコ書記ずるい。あ、じゃあ俺のお家もわんわんのにして良いよぉ、そのかわり俺とも一緒にお風呂入って、同じベッドで寝てくれる?」

「ふざけんな、テメーの部屋に行かせるくらいなら首輪つけて俺の部屋で飼ってやる!」

「ちょっと何言ってるんですか、わんわん君は先輩のモノです。勝手な真似は僕が許しませんよ」

「室内犬用のサークルは、ペットが寂しくならない場所に設置するんですよね。ああでも、やはり一緒のベッドでもふもふしながら眠るのも捨てがたいです」


「……ちっ」


何か知らんけど隊長さんが舌打ちしました。
いや、このカオスな現状を作ったのは貴方なんですが。

そんで会計さまは、書記さまの妄想話にのっからないでください。甘えたがりのさみしがり屋か。

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