ワンコとわんわん

葉津緒

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第二部 ワンコの秘密

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副会長さまヒドイ。
それ、完全にお馬鹿な犬扱いだよね?
一度に複数のことを覚える犬だっている筈……いや、それはともかく。
書記さまと一緒に俺は一体どこのお家へ帰れと。
そんでもって庶務さまの意味不明な発言、今日から寮でも近くにいられるって、何。

噂で聞く、豪華な一人部屋の皆さまと、普通の二人部屋で暮らす俺とじゃ階が違うし全然近くなんかない。むしろ遠い。
だけど、毎日学校で会うのに寮に帰ってまでわざわざ俺から会いに行こうとは思わない為、問題は全く無い。
部屋の遠さが逆にありがたいくらいです。

むしろ距離とか関係無しに、俺の寮部屋に押し掛けて来る回数が尋常じゃない、書記さまの方が大問題だ。
登下校時の送り迎えや食堂へご飯食べに行く際とか、休日の早朝とか。
夜は、俺に引っ付いて離れない書記さまを隊長さんが剥がして連れ帰るのも最近の(隊長さんの)日課です。

隊長さん、ありがとう……。



「というわけで今日からわんわん君の寮部屋は、生徒会役員の皆さまと同じ階の、個室へ移動となりました」

「え」

「良かったねぇわんわん、俺たちご近所さんだよー」

「何か困ったことがあればいつでも頼ってくださいね?」

「ふん、暇なら俺の部屋に遊びに来てもいいぞ。特別に許してやる」


いや、え。
待って何それ。は?
というわけ、っていきなりどーいう訳ですか!
人がちょこっと考え事をしている間にどんな流れでその話になったよ隊長さん。
お願いだからさっきの俺の感謝の気持ちを返して。

あと、会計さまが何故か会長さまにギャーギャー文句言ってますが。ちょっ、うるさい。


「あのっ、俺そんなこと聞いてないし、寮部屋が移動って何――」

「生徒会役員補佐としての優遇措置ですよ? それもわんわん君の場合、先輩の隣部屋だから余計に嬉しいですよね」

「俺……今日、書記の仕事頑張った。ご褒美に、わんわん!」

「ご、ご褒美? に俺?」


「庶務さまと書記さまは少し黙っててください、僕が説明しますから。
えっと、生徒会役員補佐の生徒が一人部屋になる場合、同じフロアに住む役員さま方の同意が必要となります。幸い皆さま全員の了承が得られましたので申請手続きも滞りなく、無事に移動が決定しました」

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