40 / 86
第二部 ワンコの秘密
2
しおりを挟む
え、嘘でしょだって親衛隊の人たちも
「隊長どんな化粧品使ってるのか知りたいよねー」
「肌とかすっごい綺麗だもんね、羨ましい」
「でも前に聞いたら使ってません、なんてはぐらかされちゃった」
とか言って……あ、何だ。
隊長さんは本当のこと話してたのに、皆信じなかったのか。
まあ無理もないよね。だってスッピンでこんなに美人(しかも多分、隠れ男前!)だなんて普通思わないし。
「ふふ、わんわん君って何だか本当に」
「へ。あッすみません俺また、あの?」
しまった。
目の前の隊長さんを無視してうっかり考え事に集中してたよ、俺。
ああもうっ、てか隊長さん怒ってる?
怒ってないよね、ふふって笑ってたし。
いや、でも頭きて逆に笑ったとか呆れ果てたとか。
え、どうしよう。
仕返しに今度から書記さまに抱きつかれて死にかけた時、助けてもらえなかったら。
「ぷ、く、っははアハハ、駄目だってもうそれ。わんわん君勘弁して!」
「えええ!? ちょっ、隊長さん何どうしたのッ?」
腹を抱えて笑い出す隊長さん。
どゆこと。俺今、何もしてなかったよね。
困惑する俺の頭……さっきチョップされたとこ、に手をのせる隊長さん。
うん?
もしかしなくともこれ、頭撫でられてるのかな。気持ち良いー。
「ぷっ、ほらまた。さっきからわんわん君てば本物の犬みたいだよ。自分で分かっててやってるの、それ」
「い、犬?」
「そう犬。犬って例えばオモチャ遊びとか、何かに夢中になるとそのことで頭が一杯になって他が見えなくなったりするでしょ。ずーっとひたすらボールを噛んでたり、あぐあぐって。
だけど叱られたり、不機嫌そうな飼い主の顔を見た後は、慌ててチラチラ様子窺ったり泣きそうな目でじーっと見つめたり。ひどい時は凄く悲しげな声で本当にキュンキュン鳴き出すし。ぶんぶん振ってた尻尾も急に垂れて大人しくなっちゃうし」
「??」
「それで何だか可哀相に思えてきちゃってつい頭撫でたりすると、途端に今まで怒られてたことも全部忘れて大喜び。ちぎれそうなくらい尻尾振り回して、甘えてくるんだよね。もう本当に可愛い」
……うん、この人めっちゃ犬好きですね。
すっごい楽しそうに犬のこと語ってるし。
いや、だけどそれが一体どうしたって言うんだろ。何か俺に関係あるの?
.
「隊長どんな化粧品使ってるのか知りたいよねー」
「肌とかすっごい綺麗だもんね、羨ましい」
「でも前に聞いたら使ってません、なんてはぐらかされちゃった」
とか言って……あ、何だ。
隊長さんは本当のこと話してたのに、皆信じなかったのか。
まあ無理もないよね。だってスッピンでこんなに美人(しかも多分、隠れ男前!)だなんて普通思わないし。
「ふふ、わんわん君って何だか本当に」
「へ。あッすみません俺また、あの?」
しまった。
目の前の隊長さんを無視してうっかり考え事に集中してたよ、俺。
ああもうっ、てか隊長さん怒ってる?
怒ってないよね、ふふって笑ってたし。
いや、でも頭きて逆に笑ったとか呆れ果てたとか。
え、どうしよう。
仕返しに今度から書記さまに抱きつかれて死にかけた時、助けてもらえなかったら。
「ぷ、く、っははアハハ、駄目だってもうそれ。わんわん君勘弁して!」
「えええ!? ちょっ、隊長さん何どうしたのッ?」
腹を抱えて笑い出す隊長さん。
どゆこと。俺今、何もしてなかったよね。
困惑する俺の頭……さっきチョップされたとこ、に手をのせる隊長さん。
うん?
もしかしなくともこれ、頭撫でられてるのかな。気持ち良いー。
「ぷっ、ほらまた。さっきからわんわん君てば本物の犬みたいだよ。自分で分かっててやってるの、それ」
「い、犬?」
「そう犬。犬って例えばオモチャ遊びとか、何かに夢中になるとそのことで頭が一杯になって他が見えなくなったりするでしょ。ずーっとひたすらボールを噛んでたり、あぐあぐって。
だけど叱られたり、不機嫌そうな飼い主の顔を見た後は、慌ててチラチラ様子窺ったり泣きそうな目でじーっと見つめたり。ひどい時は凄く悲しげな声で本当にキュンキュン鳴き出すし。ぶんぶん振ってた尻尾も急に垂れて大人しくなっちゃうし」
「??」
「それで何だか可哀相に思えてきちゃってつい頭撫でたりすると、途端に今まで怒られてたことも全部忘れて大喜び。ちぎれそうなくらい尻尾振り回して、甘えてくるんだよね。もう本当に可愛い」
……うん、この人めっちゃ犬好きですね。
すっごい楽しそうに犬のこと語ってるし。
いや、だけどそれが一体どうしたって言うんだろ。何か俺に関係あるの?
.
23
お気に入りに追加
327
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

過保護な不良に狙われた俺
ぽぽ
BL
強面不良×平凡
異能力者が集まる学園に通う平凡な俺が何故か校内一悪評高い獄堂啓吾に呼び出され「付き合え」と壁ドンされた。
頼む、俺に拒否権を下さい!!
━━━━━━━━━━━━━━━
王道学園に近い世界観です。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

親衛隊総隊長殿は今日も大忙しっ!
慎
BL
人は山の奥深くに存在する閉鎖的な彼の学園を――‥
『‡Arcanalia‡-ア ル カ ナ リ ア-』と呼ぶ。
人里からも離れ、街からも遠く離れた閉鎖的全寮制の男子校。その一部のノーマルを除いたほとんどの者が教師も生徒も関係なく、同性愛者。バイなどが多い。
そんな学園だが、幼等部から大学部まであるこの学園を卒業すれば安定した未来が約束されている――。そう、この学園は大企業の御曹司や金持ちの坊ちゃんを教育する学園である。しかし、それが仇となり‥
権力を振りかざす者もまた多い。生徒や教師から崇拝されている美形集団、生徒会。しかし、今回の主人公は――‥
彼らの親衛隊である親衛隊総隊長、小柳 千春(コヤナギ チハル)。彼の話である。
――…さてさて、本題はここからである。‡Arcanalia‡学園には他校にはない珍しい校則がいくつかある。その中でも重要な三大原則の一つが、
『耳鳴りすれば来た道引き返せ』

貧乏貴族の末っ子は、取り巻きのひとりをやめようと思う
まと
BL
色々と煩わしい為、そろそろ公爵家跡取りエルの取り巻きをこっそりやめようかなと一人立ちを決心するファヌ。
新たな出逢いやモテ道に期待を胸に膨らませ、ファヌは輝く学園生活をおくれるのか??!!
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。

主人公は俺狙い?!
suzu
BL
生まれた時から前世の記憶が朧げにある公爵令息、アイオライト=オブシディアン。
容姿は美麗、頭脳も完璧、気遣いもできる、ただ人への態度が冷たい冷血なイメージだったため彼は「細雪な貴公子」そう呼ばれた。氷のように硬いイメージはないが水のように優しいイメージもない。
だが、アイオライトはそんなイメージとは反対に単純で鈍かったり焦ってきつい言葉を言ってしまう。
朧げであるがために時間が経つと記憶はほとんど無くなっていた。
15歳になると学園に通うのがこの世界の義務。
学園で「インカローズ」を見た時、主人公(?!)と直感で感じた。
彼は、白銀の髪に淡いピンク色の瞳を持つ愛らしい容姿をしており、BLゲームとかの主人公みたいだと、そう考える他なかった。
そして自分も攻略対象や悪役なのではないかと考えた。地位も高いし、色々凄いところがあるし、見た目も黒髪と青紫の瞳を持っていて整っているし、
面倒事、それもBL(多分)とか無理!!
そう考え近づかないようにしていた。
そんなアイオライトだったがインカローズや絶対攻略対象だろっ、という人と嫌でも鉢合わせしてしまう。
ハプニングだらけの学園生活!
BL作品中の可愛い主人公×ハチャメチャ悪役令息
※文章うるさいです
※背後注意

チャラ男会計目指しました
岬ゆづ
BL
編入試験の時に出会った、あの人のタイプの人になれるように…………
――――――それを目指して1年3ヶ月
英華学園に高等部から編入した齋木 葵《サイキ アオイ 》は念願のチャラ男会計になれた
意中の相手に好きになってもらうためにチャラ男会計を目指した素は真面目で素直な主人公が王道学園でがんばる話です。
※この小説はBL小説です。
苦手な方は見ないようにお願いします。
※コメントでの誹謗中傷はお控えください。
初執筆初投稿のため、至らない点が多いと思いますが、よろしくお願いします。
他サイトにも掲載しています。
ザ・兄貴っ!
慎
BL
俺の兄貴は自分のことを平凡だと思ってやがる。…が、俺は言い切れる!兄貴は…
平凡という皮を被った非凡であることを!!
実際、ぎゃぎゃあ五月蝿く喚く転校生に付き纏われてる兄貴は端から見れば、脇役になるのだろう…… が、実は違う。
顔も性格も容姿も運動能力も平凡並だと思い込んでいる兄貴…
けど、その正体は――‥。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる