ワンコとわんわん

葉津緒

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引っ越しわんわん

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「わんわん、暴れちゃダメ。早くお風呂入りたいの? シャワーだけ先にする?」

「は? ち、ちょっと待って、なな何をっ」


床に足がついてほっとしたのも束の間、俺のパジャマを脱がそうとする書記さまの手がボタンにかかる。いや、既に幾つか外されてるだと!?


「……わんわん、ピンク。可愛い」

「ひゃうっ」


何が、とかどこが、なんて聞かないで。書記さまの指が触れた瞬間おかしな声が出ちゃったのも無かったことにしてっ。


「あっ、ちょっ何、うひっ……やめ、書記さまァ!?」

「わんわん、足あげて。下も、脱がせてあげるね」


くにっと摘ままれた(どこかは絶対に言わないよ)かと思うと、いつの間にか太股にも手が。


「ぎゃー! 待って、うそ、本当にちょっと、え」

「パンツも脱いで。わんわん、手、離して」

「うぎゃあああ、何でもう脱げてるの?! む、無理無理無理これだけは絶対ムリ。お願いだから止めて書記さま、って引っ張るなー!」


必死のお願いが通じたのか書記さまの動きが止まる。安心しかけた次の瞬間。


「わんわん真っ赤。一人だけ脱ぐの恥ずかしい? なら、俺も脱ぐ。一緒に裸、わんわん恥ずかしくない」

「は?」


にっこり笑うと勢いよく、肌触り同様お値段も宜しいであろうパジャマを脱ぎ始めた。
ななな、なにやってんの!?
あっという間に上半身裸になる書記さま。うわぁ、意外と筋肉質で格好いいですね。羨ましいなー。
とか言ってる場合かッ。


「下も脱ぐ――」

「脱がなくていいから!」


とっさにパジャマを掴む。
一瞬きょとんとした書記さまが、今度は少しだけ照れながら嬉しそうに笑う。


「脱がしっこ?」

「ち、違いますっ」

「じゃあ先に、わんわんのパンツ脱がしてあげる、ね」

「何でぇ!? だだ駄目ッやだっ、書記さまのエッチいぃぃー!」


「大丈夫ですか、わんわん君!」「わんわん助けに来たよー」「先輩」「あ」「……」


扉を破壊し雪崩れ込んだ皆様が見たもの。
それは、片腕と片足首に辛うじてパジャマを絡めた俺が最後の砦であるパンツを必死に押さえる姿であり、全裸に剥こうとする書記さま(半裸)との激闘の場だった。
半泣きでお尻の半分以上が見えてしまっている非常に際どい状態ですが何か。ううっ。

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