ワンコとわんわん

葉津緒

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第一部 ワンコとわんわん

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他人事のように脳内でツッコミを入れていたその時、いきなりブブブという小さな音と振動が伝わってきた。
どうやら書記さまの携帯電話らしい。
気付いた彼等の攻防が、ぴたりと止まる。
ちなみに俺は今も書記さまの腕の中ですけどね。何かもうどーでも良いや……。

皆に注目される中、ポケットからスマホを取り出す無言の書記さま。
電話に出るのかと思いきや、あ、切った。
え、良いの?


「書記さま、今の電話はどなたからだったのですか」

「……」


視線を逸らす書記さま。
ヒクリと頬が引きつる隊長さん。
何だろうか、この一触即発みたいな空気は。

と、その時。


――キィィン ガチャッ


『こっの馬鹿犬が! 何勝手に電話を切ってんだテメ、さっさと生徒会室に来やがれ「ゴンッ」…………コホン、大変失礼しました。生徒会の役員会議を行いますので、書記は今すぐ生徒会室へ戻ってください』


校内放送が流れました。うん。

あー多分、最初に叫んでいたのは生徒会長さまっスね。新入生歓迎式で拝聴したお声だし。でもって書記さまは「馬鹿犬」扱いなのか。
途中で凄い音してたけど大丈夫なのだろうか。小さく「痛てぇッ」とかフェードアウトする会長さまの声も聞こえてたよね。

後からやたら麗しい声で話してた人は同じく生徒会の副会長さま、かな。
どっちにしろ、呼び出されたなら早く俺を地面に下ろして生徒会室へ行って欲しいです。
書記さまとの身長差が有りすぎて、さっきからぷらーんって状態だからね俺。


「書記さま、あなた確か今日だけは生徒会の仕事が一切無いと言いましたよね。何の為に急遽、わざわざ予定を繰り上げ彼と会う手筈を整えたと思っているんですか」

「だ、って早くわんわん……会いたかった、し。わんわん、も早く俺に見つけ、て欲しかった……筈!」

「ぐえっ」


く、苦しい。
いつの間にか、お気に入りのぬいぐるみを見せびらかすように背後から俺を抱き締めていた書記さま。
胸と腹の辺りをギュウゥっと圧迫され、加えて書記さまがいやいや、と身体を揺する度に宙に浮いた足がぶらぶらして気持ち悪い。
酔いそう、つか吐きそう。

.
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