ボクは隊長さん?

葉津緒

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第1話 モジャぐる君に、ご挨拶。

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平凡って僕のことだよね。
実は学園内でも副会長さまの親衛隊は、皆すごく可愛い人たちばかりと評判なんです。
その中で『平凡』といったら僕しか有り得ません。
自信を持って断言できます!


「はい。えっと初めまして。僕が、副会長さま親衛隊・隊長の
“桜井 衛”(さくらい まもる)です。今日はわざわざお時間をとって頂きありが」

「おいテメエ、うちの隊長に向かって『平凡』とかくだらねーこと言ってんじゃねぇぞ!」

「まあ、君なんかにうちの隊長の良さが分かるとは思えませんけどね」


いきなり永太くんが僕の前をふさぐように転入生(モジャぐる)くんとの距離を縮めました。その隣には亮平くんも。
二人が前に出ちゃったため、僕からは転入生(モジャぐる)くんの姿がすき間から少ししか見えません。

ん? あれ?
二人を見た途端、転入生(……何かもう『モジャぐる君』で良いかなぁ)くんの顔がぱあっと輝き出した気がします。
唯一見える口元がはっきり弧を描いて笑ってますし。とっても嬉しそう?


「うおおー何だよお前らスッゲェな、もうほぼ美少女じゃん!? うはっ、最高。なあなあ俺は
“成田 翔吾”(なりた しょうご)って言うんだけど、お前らの名前は?」

「…………」「…………」


んん?
二人とも黙っちゃいました。
後ろからなのではっきりとは分かりませんが、何だかすごく嫌そうな表情を浮かべてるみたいです。
もしかしてモジャぐる、じゃなくて「成田 翔吾」くんのことが苦手なのかな。
だけど名前を聞かれたのだからここはきちんとお返事をしないと。
くいくいっと袖をつかんで引っ張り、振り向いた二人に小声で話しかけます。


「二人ともちゃんと名乗ってくださいね? 失礼なことしたら『めっ』ですよ」

「うぐッ」「……っ!?」


そうお願いした途端、何故かサッと視線をそらされてしまいました。

「くっ、卑怯……めっ、とか」
「可愛……いや、僕としたことが……」

体をプルプル震わせて何かをつぶやく二人。しかもその顔は耳まで真っ赤です。
どうしたんだろ。もしかすると僕、二人を怒らせちゃったんでしょうか。


「お、おい? お前ら急にどうし」


「俺は生徒会副会長親衛隊、副隊長の田口 永太だ!」

「僕も同じく副隊長、廣乃 亮平」


これで良いんだろ?
と目で笑う二人の姿に驚きながら、思わずその手をぎゅっと握ってしまいました。
そしたら、すぐ握り返してもらえてホッとします。
ああ良かった、怒っていたわけじゃないみたいです。

ん、あれ?
じゃあどうして顔が赤かったんだろ。


「へええー副隊長ね。やっぱさすがは生徒会役員の親衛隊ってとこだな! でも副隊長が二人って、いや別にまあ、良いのか?」


モジャぐ……成田 翔吾くんの言葉に僕の思考は中断します。
というより今はこっちに集中しなきゃ。
うう~僕の馬鹿、またもや反省です。

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