大っキライ!

葉津緒

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やっぱりお前なんか、大っキライ!!

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「昨日はお休みしてしまってごめんなさい」

「ゆ、唯きゅん~っ」

「別に構わねぇよ。またうちの兄貴に無理させられたんだろ」

「えっ、あの、そそそんなこと」


足利昂大の言葉に、真っ赤になって慌てまくる唯きゅん可愛い!
けど、事情を知った今となっては複雑すぎる気分です。足利兄め羨(うらや)ま……許さん……くっそう。
ふぐぅ、腰が痛い――。



えーとね。
結局、昨日は昂大の寮部屋へ連れ込まれちゃったわけですよ。
いやもう何なのこいつ猿なの? エロ猿? 万年発情期過ぎて引くわー。
しかも

「誰にでも誘いかけやがって」
「二度と浮気は許さねぇ」
「お前は俺だけを見てろよ」

とか訳分かんないこと言われて、散々な目にあったんだけど。何で俺がこいつから「お仕置きだ」って怒られながら抱き潰されなきゃなんねーんだよ。
……しかもムカつくことに、身体の相性だけは最高に良いみたいなんだよね。昨日もやっぱり死ぬほど気持ち良かったし。
てか、何でヤられるたびに気持ち良さが増すの?
もう俺、後ろだけでイけるようになっちゃったんですけど。むしろこれから前だけでイけるのか凄まじく不安。

あーもう何でこんなことになったんだろ。
大嫌いな筈の相手と俺がとかさぁ、本気でありえねーってば。

あの日、唯くんの彼氏が判明してから。
八つ当たり(今思えばね)気味に怒鳴る俺を、無理やり犯しやがった昂大。
まあ確かに最初はそうだったんだけど、途中からはもう何か俺も夢中で抱きついたりキスしたりめちゃくちゃ腰揺らして強請(ねだ)りまくってたような……。
だってさぁ、人が失恋で弱り切ってるときに

『お前は、俺を選べ』
『俺の片恋相手はずっとお前だった』
『悪いがもう絶対に離してやらねぇ』
『好きだ……綾佑』

あんな柄にもない甘ったるい告白されて。
俺を激しく抱いてるくせに、泣きそうな目で縋るように、俺の心が欲しいと懇願されたら。
優しく抱きしめられながら本物の恋人同士みたいに何度も甘々なキスを繰り返して
「可愛い」「好きだ」「気持ち良いか?」「くっそ、エロ過ぎる」
なんて言われ続けてごらんよ正直絆されない方がおかしいって。あ、いや最後の方は何か違うな。

いや別にだからって好きになったわけじゃないし。
絶対に嫌われてると思ってた奴が本当は俺のことめっちゃくちゃ大好きだったと知って「ふうん、そうなんだー」くらいの感じだし。
三連休中も実は毎日突っ込まれたわけじゃなくて、ヤられ過ぎて一日寝込んだときは甲斐甲斐しく面倒見てくれたり……。もちろん全部昂大のせいだから本人が責任持って俺の世話をするのは当然なんだけど。

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