大っキライ!

葉津緒

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あーあー聞こえません。俺は何も聞いてないから!

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ぽけっと眺める俺。
それに気付いた書記の眉間には、深いしわが。
ついでにまたも大きなため息一つ。

あの、もしかしてさっきから何か怒ってます?


「おい」

「二人ともそれくらいにし」


「補佐には、恋人がいる。さっきの電話も、多分恋人から。休日は恋人に、逢いに帰る。……会計、バカ」

「え! あ、ちょっと待っ」



……………………………………。



Q.) こいびと?

A.) YES、 こ い び と 。




「はぁあァアあッ!?」


「も、もぉっ! 恥ずかしいから言わないでってあんなに頼んだのに……」

「ご、めん、でも」

「おいお前ら、今日はもう生徒会の仕事は中断して帰っていいぞ。唯、悪いが寮までこいつらに送ってもらえ」

「え、昂大?」

「というわけで唯を頼む。俺はこの――バカに話があるんでまだしばらくは帰らねえ」

「ちょっ、何、手ぇ離せッ!」


後ろ襟を掴む奴の手を振りほどこうとジタバタしても、悔しいことに全く剥がせない。
しかもシャツのボタン二、三個開けてるのに息が詰まるって、どんだけ引っ張ってんだよ。ぐえっ。

あああー。
そんな俺を置いて唯くんが帰っちゃう。
ちらちら心配そうにこっちを見てくる姿はマジ、天使。
大好きあいらびゅ、あいうおんちゅー。
ついでにへるぷみー!
この際、副会長や書記でも良いからお願いします今はこいつと二人っきりにさせないで。
俺の第六感が何かを告げてる気がするからッ!


「ゆ、唯きゅん、待って……」

「ほらさっさと行け。遅くなると危険だからな」

「あ、うん。じゃあまたね、新田くん」

「唯きゅ……」



結局、涙目で必死な俺の願い虚しく。
何故か足利昂大の言葉に納得するような顔の副会長と書記にせかされ、生徒会室を去って行った唯くん。
バタンと閉まる扉の音がすんごい不吉でおぞましく聞こえたのは、多分幻聴だよね?



.
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