大っキライ!

葉津緒

文字の大きさ
上 下
12 / 20
あーあー聞こえません。俺は何も聞いてないから!

12

しおりを挟む
ぽけっと眺める俺。
それに気付いた書記の眉間には、深いしわが。
ついでにまたも大きなため息一つ。

あの、もしかしてさっきから何か怒ってます?


「おい」

「二人ともそれくらいにし」


「補佐には、恋人がいる。さっきの電話も、多分恋人から。休日は恋人に、逢いに帰る。……会計、バカ」

「え! あ、ちょっと待っ」



……………………………………。



Q.) こいびと?

A.) YES、 こ い び と 。




「はぁあァアあッ!?」


「も、もぉっ! 恥ずかしいから言わないでってあんなに頼んだのに……」

「ご、めん、でも」

「おいお前ら、今日はもう生徒会の仕事は中断して帰っていいぞ。唯、悪いが寮までこいつらに送ってもらえ」

「え、昂大?」

「というわけで唯を頼む。俺はこの――バカに話があるんでまだしばらくは帰らねえ」

「ちょっ、何、手ぇ離せッ!」


後ろ襟を掴む奴の手を振りほどこうとジタバタしても、悔しいことに全く剥がせない。
しかもシャツのボタン二、三個開けてるのに息が詰まるって、どんだけ引っ張ってんだよ。ぐえっ。

あああー。
そんな俺を置いて唯くんが帰っちゃう。
ちらちら心配そうにこっちを見てくる姿はマジ、天使。
大好きあいらびゅ、あいうおんちゅー。
ついでにへるぷみー!
この際、副会長や書記でも良いからお願いします今はこいつと二人っきりにさせないで。
俺の第六感が何かを告げてる気がするからッ!


「ゆ、唯きゅん、待って……」

「ほらさっさと行け。遅くなると危険だからな」

「あ、うん。じゃあまたね、新田くん」

「唯きゅ……」



結局、涙目で必死な俺の願い虚しく。
何故か足利昂大の言葉に納得するような顔の副会長と書記にせかされ、生徒会室を去って行った唯くん。
バタンと閉まる扉の音がすんごい不吉でおぞましく聞こえたのは、多分幻聴だよね?



.
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

ある意味王道ですが何か?

ひまり
BL
どこかにある王道学園にやってきたこれまた王道的な転校生に気に入られてしまった、庶民クラスの少年。 さまざまな敵意を向けられるのだが、彼は動じなかった。 だって庶民は逞しいので。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

春を拒む【完結】

璃々丸
BL
 日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。 「ケイト君を解放してあげてください!」  大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。  ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。  環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』  そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。  オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。 不定期更新になります。   

目の前に色男が!早速ケツを狙ったら蹴られました。イイ……♡

ミクリ21
BL
色男に迫ったら蹴られた話。

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい

椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。 その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。 婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!! 婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。 攻めズ ノーマルなクール王子 ドMぶりっ子 ドS従者 × Sムーブに悩むツッコミぼっち受け 作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

学園と夜の街での鬼ごっこ――標的は白の皇帝――

天海みつき
BL
 族の総長と副総長の恋の話。  アルビノの主人公――聖月はかつて黒いキャップを被って目元を隠しつつ、夜の街を駆け喧嘩に明け暮れ、いつしか"皇帝"と呼ばれるように。しかし、ある日突然、姿を晦ました。  その後、街では聖月は死んだという噂が蔓延していた。しかし、彼の族――Nukesは実際に遺体を見ていないと、その捜索を止めていなかった。 「どうしようかなぁ。……そぉだ。俺を見つけて御覧。そしたら捕まってあげる。これはゲームだよ。俺と君たちとの、ね」  学園と夜の街を巻き込んだ、追いかけっこが始まった。  族、学園、などと言っていますが全く知識がないため完全に想像です。何でも許せる方のみご覧下さい。  何とか完結までこぎつけました……!番外編を投稿完了しました。楽しんでいただけたら幸いです。

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話

みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。 数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

処理中です...