大っキライ!

葉津緒

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抱きたい・抱かれたいランキングって何ですか。

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襟首を掴まれ、猫の子扱いな俺を横目に席を立つ副会長と書記。
そのまま唯きゅんと一緒に、豪華な応接セットの置かれたスペースへ移動する。

対して俺は足利昂大に引きずられ、部屋の隅へと追い込まれた。
この場所からは、ついたてのせいで唯くん達が見えない。当然向こうからも死角。
話し声くらいは聞こえるけど……。
笑いながら話す明るい声や、カチャカチャと食器を並べる音が生徒会室内に響く。
これだけ賑やかだと内緒話なんかは聞こえないかも。
しかしあっちは楽しそうで羨ましいなー。
くそう、バ会長の足利昂大め。


「話って何さ、早く言えば」


苛々を隠さずバ会長を睨みつける。
俺より背の高い相手を見上げるのは、屈辱感すごいし余計に腹が立つし。
ていうかアンタちょっと近けーよ。
何で壁に押しやられてんの、俺。


「あまり……調子に乗るなよ、新田綾佑」

「は? 何それ、つかアンタこそ約束守ってんのかよ。どうして唯くんが親衛隊長になるの、止めさせねーんだよ」

「唯が俺の親衛隊長でいれば、周囲への牽制になる。お前にとっても悪くはない話だと思うが?」

「う、それは」


片手を壁につき、小声で話すバ会長。
少しずつ覆いかぶさるように距離を縮められ、思わずのけ反る。が、壁に背中がくっついた状態では逃げ場なんて無い。


「て、手は出してないよな?」


声が震えたのは気のせい。


「言っただろ、俺は唯に手を出さねぇ」


フ、と笑う声が一瞬聞こえた。
そう考えるのと同時に、足利昂大がもう片方の手で俺の頬を包むように撫で――



「これは忠告だ、唯と必要以上に関わるな。後悔するのは……お前だぞ新田綾佑」

「!」


いきなり耳元でささやかれたのは、睦言のように甘い声音の、脅し。
嫌がらせか俺の耳に奴の唇が触れ、ゾワリと身体が震えてしまう。

くっそ訳分かんない、何だよこれ。
足利昂大の息遣いを感じるだけで身体が……俺が、変になる。
口を開くとおかしな声が出そうで唇を噛んで堪えていたのに。
頬を撫でる手が、その指で俺の唇に触れてくる。


「おい、噛むな」

「……っ……!」



「昂大ーまだ終わらないの? 飲み物冷めちゃうよー」

「悪いな唯、もう終わった。今そっちへ行く」


唯くんの声が聞こえると同時に、俺からスッと離れたバ会長。
そのまま何事も無かったみたいに平然と皆の所へ行き、会話に交じる。

しばらく呆然と立ち尽くす自分に気付いたのは、「あれ? 新田くんはー?」と心配した唯くんが様子を見に来てくれた時だった。


俺、何やってんだろ……。



.
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