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唯きゅんと俺の、幸福なひととき。
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という、俺にもよく分かんない出来事はさっさと忘れることにして。
ただ今、豪華な応接ソファーでくつろぎながら唯くんの用意してくれた飲み物を味わい中です。
しかもちゃっかり唯くんの隣をゲーット。
うふふ、ラッキー。
「美味しい! 唯きゅんがいれてくれたこの紅茶めちゃくちゃ美味しいよ。ありがと唯きゅん、俺今すっごく幸せ」
「え、そう? そんな風に言ってもらえると僕も嬉しいな。ありがとうございます」
「も~敬語とか要らないよぉ、でもそんな唯きゅんも可愛いっ」
「え? えーと」
「……」「……」「……」
バ会長と副会長と書記が、無言でビミョーな顔を向けてくるけど気にしないもんね。
アンタらに構ってたら時間の無駄ー。
はあ、やっぱ唯くん最高。
可愛いだけじゃなく紅茶のいれ方や、この手作りお菓子も美味しいし。
こんなに気が利いてお料理も上手だなんて。
「もう今すぐにでも素敵なお嫁さんになれるね、唯きゅん!」
「お、お嫁さん?」
途端に真っ赤になる唯くん。
もしかして照れてる?
うわあ、マジ可愛いっ。
「でも僕、男だし……」
「全然そんなの大丈夫だよぉ、唯きゅんなら性別とか関係ないし。てか、何ならいっそ俺がお婿さんで唯きゅんがお嫁さ」
「あ、ごめんなさい電話が」
どさくさ紛れな告白っぽい台詞の途中で、唯くんがスマホを取り出した。
せっかく良い雰囲気だったのにぃ残念。
ん?
ねえ、何だか唯くんの様子が変じゃない?
画面を見つめながら頬を染め、すっごく嬉しそう。
でも落ち着かないっていうか、そわそわキョロキョロしてる。
一体どうしたのかな、電話には出ないの?
マナーモードらしく音は聞こえないけど、呼び出しのままだよねぇ。早くしないと切れちゃうのに。
あ、唯くんと足利昂大が視線を合わせた。
「仮眠室を使って良いぞ、唯」
「う、うん。ありがとう昂大。じゃあ皆ごめんなさい、ちょっと電話してくるね」
バ会長の一言で嬉しそうに、そそくさと生徒会室の奥にある仮眠室へ姿を消した唯くん。
突然のことにややボーゼン気味な俺。
あれぇ?
よく分かんないけど今のって、何かやっぱ少し変だったよね。
しっくりこないというか不安になるというか。分かりそうで分からない、でも凄く簡単に答えは見つかるような気もするし。
えーと何だっけ、この感じ。
首を傾げ、うんうん唸りながら悩んでいると
「……馬鹿が」
「は?」
「馬鹿ですね」
「へ?」
「…………会計、バカ」
「な!」
いきなり生徒会役員共から、ため息まじりに悪口言われたっ。
何なのアンタら、集団いじめ反対!
ムスーっと唇を尖らせれば、少し膨らむ頬っぺた。
こうなったら全部無視してやるもんね。
別に俺は唯くんさえいれば良いし。
アンタらなんか生徒会室の喋る置物、くらいにしか思わないよーだ。
それよりこの唯くんの手作りスイーツ最高。
紅茶は勿体ないから、ちびちび飲もーっと。
て感じに無言を貫き続けること数分。
俺が無反応だとつまらないのか、他三人もずっと黙って紅茶を飲んだりお菓子をつまんだりで……。
むしろ落ち着かないほど静かな、息の詰まる時間だけが過ぎていくのでした。
うう、唯くんカムバーック!
.
ただ今、豪華な応接ソファーでくつろぎながら唯くんの用意してくれた飲み物を味わい中です。
しかもちゃっかり唯くんの隣をゲーット。
うふふ、ラッキー。
「美味しい! 唯きゅんがいれてくれたこの紅茶めちゃくちゃ美味しいよ。ありがと唯きゅん、俺今すっごく幸せ」
「え、そう? そんな風に言ってもらえると僕も嬉しいな。ありがとうございます」
「も~敬語とか要らないよぉ、でもそんな唯きゅんも可愛いっ」
「え? えーと」
「……」「……」「……」
バ会長と副会長と書記が、無言でビミョーな顔を向けてくるけど気にしないもんね。
アンタらに構ってたら時間の無駄ー。
はあ、やっぱ唯くん最高。
可愛いだけじゃなく紅茶のいれ方や、この手作りお菓子も美味しいし。
こんなに気が利いてお料理も上手だなんて。
「もう今すぐにでも素敵なお嫁さんになれるね、唯きゅん!」
「お、お嫁さん?」
途端に真っ赤になる唯くん。
もしかして照れてる?
うわあ、マジ可愛いっ。
「でも僕、男だし……」
「全然そんなの大丈夫だよぉ、唯きゅんなら性別とか関係ないし。てか、何ならいっそ俺がお婿さんで唯きゅんがお嫁さ」
「あ、ごめんなさい電話が」
どさくさ紛れな告白っぽい台詞の途中で、唯くんがスマホを取り出した。
せっかく良い雰囲気だったのにぃ残念。
ん?
ねえ、何だか唯くんの様子が変じゃない?
画面を見つめながら頬を染め、すっごく嬉しそう。
でも落ち着かないっていうか、そわそわキョロキョロしてる。
一体どうしたのかな、電話には出ないの?
マナーモードらしく音は聞こえないけど、呼び出しのままだよねぇ。早くしないと切れちゃうのに。
あ、唯くんと足利昂大が視線を合わせた。
「仮眠室を使って良いぞ、唯」
「う、うん。ありがとう昂大。じゃあ皆ごめんなさい、ちょっと電話してくるね」
バ会長の一言で嬉しそうに、そそくさと生徒会室の奥にある仮眠室へ姿を消した唯くん。
突然のことにややボーゼン気味な俺。
あれぇ?
よく分かんないけど今のって、何かやっぱ少し変だったよね。
しっくりこないというか不安になるというか。分かりそうで分からない、でも凄く簡単に答えは見つかるような気もするし。
えーと何だっけ、この感じ。
首を傾げ、うんうん唸りながら悩んでいると
「……馬鹿が」
「は?」
「馬鹿ですね」
「へ?」
「…………会計、バカ」
「な!」
いきなり生徒会役員共から、ため息まじりに悪口言われたっ。
何なのアンタら、集団いじめ反対!
ムスーっと唇を尖らせれば、少し膨らむ頬っぺた。
こうなったら全部無視してやるもんね。
別に俺は唯くんさえいれば良いし。
アンタらなんか生徒会室の喋る置物、くらいにしか思わないよーだ。
それよりこの唯くんの手作りスイーツ最高。
紅茶は勿体ないから、ちびちび飲もーっと。
て感じに無言を貫き続けること数分。
俺が無反応だとつまらないのか、他三人もずっと黙って紅茶を飲んだりお菓子をつまんだりで……。
むしろ落ち着かないほど静かな、息の詰まる時間だけが過ぎていくのでした。
うう、唯くんカムバーック!
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