45 / 92
回想8
6
しおりを挟む
生徒会役員が皆転入生に投票すれば、ほぼ間違いなく勝ちは決定する。
お客さんが全員(転入生以外の)同じ人間に投票する、なんてことは確率的にあり得ないし。
……うん、絶対大丈夫。
これでもしあの子が優勝なんてしちゃったら、半殺しどころか俺きっと一生口もきいてもらえなくなる。
女装させられた上にミスコン優勝だなんて、あの子にとっては不名誉でしかない筈だろうし。
もちろんそんなの分かってはいたけど、どうしても俺が見たかったんだよぅ。女装したら可愛いだろうなぁー…って、ずっと想像してたから。
似合い過ぎてしかも予想以上にエロかったから、今こうして困ってるんだけどね。
ああ、こんなことなら出場させるんじゃなかった!
***
~再び、舞台上~
「ちょっとアンタ大丈夫? うわ、衣装ぐちゃぐちゃじゃないの。駄目でしょもっと自覚をもって行動しなきゃ。
普段がどうかは知らないけど今のアンタは雄(オス)共を興奮させ、惹き寄せては捕食する妖艶な蝶々。魅惑の美少女なんだから!」
ぷりぷり怒りながら何故か俺の服の乱れを直してくれる女、ではなく左隣の出場者。
俺より低い背丈で華奢な可愛い美少女……にしか見えないが正真正銘、男なんだよなこれも。
左右の耳の上あたりで赤いシュシュ(って言うんだっけ?)が、多分ウイッグだろう長髪を結わえている。
ツインテールとかいう髪型だったかな。以前、クラスのアニメ好きな奴らが騒いでたし。
もしかすると本当にそれをモデルにしてんのかも。こいつの衣装、何となくアニメっぽい感じのセーラー服だから。
あと、俺は蝶々にそんなイメージを持ったことはない。惹き寄せて捕食って、食虫植物か?
「ねぇ、ちゃんと聞いてる!?」
「あー……うん。何となく」
「絶対聞いてないでしょ、もぉ!」
口を尖らせながら、手を休めずに人の頬や首筋にまとわり付く銀の髪も丁寧に整えてくれる。そんな相手につい笑みが零れた。
「はい、これで良し……って何笑ってんの」
「ありがとう。いや、面倒見のいい優しい人だなと思って。こんな時は普通、ライバルを蹴落とそうとするもんじゃないの?」
.
お客さんが全員(転入生以外の)同じ人間に投票する、なんてことは確率的にあり得ないし。
……うん、絶対大丈夫。
これでもしあの子が優勝なんてしちゃったら、半殺しどころか俺きっと一生口もきいてもらえなくなる。
女装させられた上にミスコン優勝だなんて、あの子にとっては不名誉でしかない筈だろうし。
もちろんそんなの分かってはいたけど、どうしても俺が見たかったんだよぅ。女装したら可愛いだろうなぁー…って、ずっと想像してたから。
似合い過ぎてしかも予想以上にエロかったから、今こうして困ってるんだけどね。
ああ、こんなことなら出場させるんじゃなかった!
***
~再び、舞台上~
「ちょっとアンタ大丈夫? うわ、衣装ぐちゃぐちゃじゃないの。駄目でしょもっと自覚をもって行動しなきゃ。
普段がどうかは知らないけど今のアンタは雄(オス)共を興奮させ、惹き寄せては捕食する妖艶な蝶々。魅惑の美少女なんだから!」
ぷりぷり怒りながら何故か俺の服の乱れを直してくれる女、ではなく左隣の出場者。
俺より低い背丈で華奢な可愛い美少女……にしか見えないが正真正銘、男なんだよなこれも。
左右の耳の上あたりで赤いシュシュ(って言うんだっけ?)が、多分ウイッグだろう長髪を結わえている。
ツインテールとかいう髪型だったかな。以前、クラスのアニメ好きな奴らが騒いでたし。
もしかすると本当にそれをモデルにしてんのかも。こいつの衣装、何となくアニメっぽい感じのセーラー服だから。
あと、俺は蝶々にそんなイメージを持ったことはない。惹き寄せて捕食って、食虫植物か?
「ねぇ、ちゃんと聞いてる!?」
「あー……うん。何となく」
「絶対聞いてないでしょ、もぉ!」
口を尖らせながら、手を休めずに人の頬や首筋にまとわり付く銀の髪も丁寧に整えてくれる。そんな相手につい笑みが零れた。
「はい、これで良し……って何笑ってんの」
「ありがとう。いや、面倒見のいい優しい人だなと思って。こんな時は普通、ライバルを蹴落とそうとするもんじゃないの?」
.
10
お気に入りに追加
607
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
ザ・兄貴っ!
慎
BL
俺の兄貴は自分のことを平凡だと思ってやがる。…が、俺は言い切れる!兄貴は…
平凡という皮を被った非凡であることを!!
実際、ぎゃぎゃあ五月蝿く喚く転校生に付き纏われてる兄貴は端から見れば、脇役になるのだろう…… が、実は違う。
顔も性格も容姿も運動能力も平凡並だと思い込んでいる兄貴…
けど、その正体は――‥。
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
親衛隊総隊長殿は今日も大忙しっ!
慎
BL
人は山の奥深くに存在する閉鎖的な彼の学園を――‥
『‡Arcanalia‡-ア ル カ ナ リ ア-』と呼ぶ。
人里からも離れ、街からも遠く離れた閉鎖的全寮制の男子校。その一部のノーマルを除いたほとんどの者が教師も生徒も関係なく、同性愛者。バイなどが多い。
そんな学園だが、幼等部から大学部まであるこの学園を卒業すれば安定した未来が約束されている――。そう、この学園は大企業の御曹司や金持ちの坊ちゃんを教育する学園である。しかし、それが仇となり‥
権力を振りかざす者もまた多い。生徒や教師から崇拝されている美形集団、生徒会。しかし、今回の主人公は――‥
彼らの親衛隊である親衛隊総隊長、小柳 千春(コヤナギ チハル)。彼の話である。
――…さてさて、本題はここからである。‡Arcanalia‡学園には他校にはない珍しい校則がいくつかある。その中でも重要な三大原則の一つが、
『耳鳴りすれば来た道引き返せ』
人生イージーモードになるはずだった俺!!
抹茶ごはん
BL
平凡な容姿にろくでもない人生を歩み事故死した俺。
前世の記憶を持ったまま転生し、なんと金持ちイケメンのお坊ちゃまになった!!
これはもう人生イージーモード一直線、前世のような思いはするまいと日々邁進するのだが…。
何故か男にばかりモテまくり、厄介な事件には巻き込まれ!?
本作は現実のあらゆる人物、団体、思想及び事件等に関係ございません。あくまでファンタジーとしてお楽しみください。
眠り姫
虹月
BL
そんな眠り姫を起こす王子様は、僕じゃない。
ただ眠ることが好きな凛月は、四月から全寮制の名門男子校、天彗学園に入学することになる。そこで待ち受けていたのは、色々な問題を抱えた男子生徒達。そんな男子生徒と関わり合い、凛月が与え、与えられたものとは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる