平凡な３６５日

回想７

６

ナルシストな誤解を真に受けた馬鹿、生徒会長のものだ。


『ひぃっ！？』


「な、何言ってんだよ！　おっ俺は可愛くねーし！」

「くくっ、そう照れるなよアリス。どうせ本当のことだろ？」

「照れてないし！　本当のことだからって――は、恥ずかしいだろ、バカ！」


……あの一般客も災難だったな。
ついでにこの後、風紀委員長にも何かされる予感がしないでもないが。

それより何だこのキモい会話。
バ会長の発言に至ってはマイク越しだったこともあり、一般客を除く学園生徒から冷ややかな眼差し（転入生信者や会長親衛隊からは嫉妬の目？）が二人に向けられている。

しかも転入生、さっきは自ら可愛い発言しといてバ会長には否定……いや、最終的に同意してるよな。
あえてもう一度言って良いか？
何だこのキモい会話。

鳥肌どころかジン麻疹が出そうだ。



その後。

会長は隣の席にいた副会長に叱られ、悪い意味でざわついた場は双子書記が何とか取り繕った。
会計、は審査員役のくせに遅刻しているらしく会場内に姿はない。
別に最後まで間に合わなくても大して問題は無いだろ。
一部、親衛隊のチワワどもがうるさいが。

そんなことより、司会役の奴が機転をきかし変な空気を笑いのネタに変えてしまった。
おかげで無駄なくらい観客達は盛り上がっている。

へえ、意外と出来る奴だったんだな。
どうやらただの変態じゃないらしい。
場を盛り上げる才能か……将来は飲み会に引っ張り凧だな、多分。
そういえば俺の知り合いにもそんな奴らがいたっけ。祭り好きの二人なのだが、あいつらの場合は盛り上げるというより騒ぎを起こすというか。
もし飲み会をあの二人に仕切らせたら、絶対大変なことになりそうだわ。

まあ、それはそれで面白いかも。
俺を巻き込みさえしなければね。




「聞こえてますか女吸血鬼さん？　もっしもーし！」

「え」


目の前で振られた手にハッとする。
やたら近くに司会役の顔とマイクが――って、観客と舞台の上にいる奴ら全員こっちを見てないか？
何だよ文句でもあるのか、こら。


「あのう、聞いてました？　次は女吸血鬼さんの番なんですけど」

「は？」

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