平凡な３６５日

回想６

学園祭と親衛隊と？

失敗した。やっぱり他人のことなんか放っておくべきだった。

学園祭二日目……。
俺は今、激しく後悔している。
なぜなら


「ねぇどーゆーこと！？　何であいつが風紀委員長さまと一緒なわけ！」

「あんた昨日、先生が雑用させるために暇な生徒を探してるとか言わなかった！？」

「その先生の名前は？　まさか、僕達にデタラメ言ったんじゃないよね！」

「いや、あの、僕にもよく分からないっていうか」


オドオドしながら（※もちろん演技だ）昨日の先輩三人組に言葉を返す。が、当然彼らは納得いかずにこちらを睨みつけてくる。
そしてここは人気のない男子トイレ。
要するに現在、俺は尋問を受けている真っ最中なのだ。

ああ、面倒臭い。



彼から目を離すな、と確かに俺は言ったよ。
だからって天下の風紀委員長さま自らが、片時も離れず不運な平凡くんと一緒ってのは……やり過ぎじゃね？
というのも二人は昨日、あれからずっと仲良く学園の見回りをしていたらしい。
てっきり、人目につかないよう風紀室や委員長の寮部屋にでも閉じ込めて監禁……じゃなくて、保護するのだろうと思いきや。何だその予想外な行動。
校舎内で普通に目撃しちゃった俺も驚いたわ。

「はぐれないように」と委員長に言いくるめられ、手をつないで歩く平凡くん。
恥ずかしがり真っ赤になるその姿を見て、可愛くて仕方がないと言わんばかりに優しく微笑む風紀委員長。
そこだけ甘い雰囲気を垂れ流しちゃってて、ある意味目に毒というか。何故か見ているこっちが照れましたよ。

でもさぁ、溺愛っぷりにも程があると思わね？
見回りだけなら一応彼も風紀委員の補佐ってことで説明がつくかもしれない。だが、今日のは大分話も違ってくる。
……何故、一年Ａクラスの教室に風紀委員長さまが朝から居座ってんだよ。

「これも風紀の仕事のうちだ、気にする必要はない」

って周囲への説明おかしいだろ。
しかも不運な平凡くん、昨日は兎耳執事だったが今日は女装でメイド服らしいし。
鬼の風紀委員長さまがそれを見てデレデレしてたとか、平凡くんを指名した客に殺意のこもった視線を送ったり、間違って平凡くんにボディタッチしようものなら一瞬で教室から放り出された、など。

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