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回想4
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とはいえ逆側の扉を開けっ放しにするのもやっぱ無駄な被害に遭いそうなんで、結果的に教室の出入口は閉めたままだった。
おかげで滅多に客は入って来ないし。
いや別に、楽だから良いけど。
「ああ、暇過ぎて平和……」
――ガラッ
「え」
突然開いた教室の扉。
そこにはありえない人物が立っていた。
「ん、あれ。もしかしてここ入っちゃダメだった?」
「あ、いや、大丈夫……ですけど」
「そう? なら良かった」
ニコニコと楽しそうに笑う美形。
生徒会役員の一人である、チャラ男会計がそこにいたのだ。
しかし何故。
まさか入る教室を間違えたのか? お前がとち狂ってる大好きな転入生の教室は隣だぞ。
「ねえ、何でここ入口のドア閉めてるの。写真展示だっけ。お客さん気が付かないでしょ、開けといたら?」
教室後ろ扉。
その廊下側には『写真展示中、入口』のプレートが気休め程度に設置してある。
会計はそれを見たらしい。ということは一応、間違って入って来た訳ではないのだろう。
じゃあ、つまり冷やかしか。
「……いらして下さった方に、ゆっくり写真を見て貰おうと敢えてそうしてます」
「へー、そっかゴメンね! 俺余計なこと言っちゃった。うん、確かにここ凄く静かで落ち着くよね。あ、写真見てっても良い?」
「は、はい勿論、どうぞ」
あれ?
少しムカついて適当な嘘を言ったのに、意外だな。
もっとこう、まともな会話一つ出来ない、自分勝手で押し付けがましい奴かと思っていたんだけど。
親衛隊の奴らを侍らせながら常にヘラヘラ笑ってるような、普段のチャラい姿からは想像もつかない好印象――って、いやいやいや。
ちょっと話しただけでアホか俺。
貞操観念が低いっつーかまるで無いに等しいこいつの噂や現場を、どんだけ聞いて目撃したと思ってんだよ。いや、俺だって見たくはなかったわ。ことごとく俺の安息(人目につかず、素を出せる)場所で盛りやがって。
腹いせに何度か匿名で風紀に通報してやったけどな。くそ、せっかく見つけた良い場所だったのに。
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おかげで滅多に客は入って来ないし。
いや別に、楽だから良いけど。
「ああ、暇過ぎて平和……」
――ガラッ
「え」
突然開いた教室の扉。
そこにはありえない人物が立っていた。
「ん、あれ。もしかしてここ入っちゃダメだった?」
「あ、いや、大丈夫……ですけど」
「そう? なら良かった」
ニコニコと楽しそうに笑う美形。
生徒会役員の一人である、チャラ男会計がそこにいたのだ。
しかし何故。
まさか入る教室を間違えたのか? お前がとち狂ってる大好きな転入生の教室は隣だぞ。
「ねえ、何でここ入口のドア閉めてるの。写真展示だっけ。お客さん気が付かないでしょ、開けといたら?」
教室後ろ扉。
その廊下側には『写真展示中、入口』のプレートが気休め程度に設置してある。
会計はそれを見たらしい。ということは一応、間違って入って来た訳ではないのだろう。
じゃあ、つまり冷やかしか。
「……いらして下さった方に、ゆっくり写真を見て貰おうと敢えてそうしてます」
「へー、そっかゴメンね! 俺余計なこと言っちゃった。うん、確かにここ凄く静かで落ち着くよね。あ、写真見てっても良い?」
「は、はい勿論、どうぞ」
あれ?
少しムカついて適当な嘘を言ったのに、意外だな。
もっとこう、まともな会話一つ出来ない、自分勝手で押し付けがましい奴かと思っていたんだけど。
親衛隊の奴らを侍らせながら常にヘラヘラ笑ってるような、普段のチャラい姿からは想像もつかない好印象――って、いやいやいや。
ちょっと話しただけでアホか俺。
貞操観念が低いっつーかまるで無いに等しいこいつの噂や現場を、どんだけ聞いて目撃したと思ってんだよ。いや、俺だって見たくはなかったわ。ことごとく俺の安息(人目につかず、素を出せる)場所で盛りやがって。
腹いせに何度か匿名で風紀に通報してやったけどな。くそ、せっかく見つけた良い場所だったのに。
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