王道くんと、俺。

葉津緒

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第五章

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たまたま、俺がこれから行く場所から偶然見えちゃうだけだもんっ。ふんふんふーん♪

本当は放課後になってすぐ行きたかったのに、優ちゃんに捕まっちゃって。そのまま親衛隊のお茶会に連れてかれました。
そしたら何故か全員涙目で、歩くん関連の質問(尋問?)をされまくり。俺が答える度に泣き出したり悲鳴をあげたりと、今日は情緒不安定な人が多くて正直怖かったデス……。
優ちゃんも何か怒ってるような呆れてるような? うーん、今日は色々あったし皆もだいぶ疲れてたのかも。


でもって今しがた。
やっと何とか逃げ出せましたッ。

「ちょっとおトイレに」

なぁんて言いつつ、こっそり窓から逃走。
優ちゃんがつけたのかな、多分俺を尾行してた人達もついでに撒いちゃった。えへ。
今は一応用心して茂みに隠れながら中庭を移動中だよー。
……ん、あれ?
抜け道の途中に誰かいるね。

ふおっ!
なんと制服姿のお二人さんが、今まさにボーイズラブな雰囲気を醸し出しながら歩いてますっ。背の高い方が自分より少し背の低い子の腰を抱き、相手の子は完全にしなだれかかってるよぉ。
そして二人が向かう先にあるのは、普段あまり人が来ない四阿(あずまや)――別名、愛の舞台。
あ、名前は俺が勝手にそう呼んでるだけです。何となく?

近くに噴水もあって良い感じだし、片想いの相手に告白するにはもってこいの場所だよね。付き合ってる恋人たちが逢瀬を楽しむにもうってつけ。
俺も去年、何度そんな甘々な場面を目撃したことか。いやもう、素敵なBLをありがとうございます!

ただその……周囲の茂みや木々が目隠しの役目を果たしてくれるからと、つい盛り上がった二人がそのままお外でシちゃったり、なんてこともね。
そっちの意味でも密かに人気のスポットだったりしまぁす。見られると興奮しちゃう方々には特に。いやん。

でも、さすがにそこは覗き見しないよぉ。
そゆ流れに突入したら俺、見守るのを止めてさっと退散するからね。あらあら、それじゃあとはお若いお二人だけでウフフ、ってやつです。
あ、妄想はしちゃうけどごめんねっ。


今、俺の前を歩いてる二人は後者かな。それも完全に最初からヤる気の。
既にお互いのあそこを触りあってるし、キスの合間に笑いながらシャツのボタンを外し合ってます。

.
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