王道くんと、俺。

葉津緒

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第四章

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遠目からだとはっきり見えませんが、多分瞳が潤んでるような気も。あ、ちょっと震えてる?
やばい、きゅんときた。
高いとこが苦手な郁人さま可愛い。抱きしめてよしよし、って撫でてあげたい。

そしたら真っ赤な顔で不機嫌そうに……


『うー、俺カッコ悪い。恥ずかしい』

『ふふっ、僕はカッコ悪い郁人さまも可愛くて大好きですよ。もっと恥ずかしいとこ、たくさん見せてくださいね』

『そんなのズルい。俺にも見せてよ、恥ずかしくってメチャクチャ可愛いとこ』

『えっ、郁人さまぁ、んぅッ』


なぁんて、僕が腕の中で慰めてた郁人さまに逆に押し倒されちゃったりして。キャー!
『もっと慰めてくれる?』とか言われて朝まで二人っきりの甘い時間を……ハアハアハア……ああん、けだもの郁人しゃまも最高ッ。


などと高速妄想をしている間に、お姫さま抱っこは新たな形へと変化を遂げていました。
郁人さまを抱いたまま椅子に座った土屋くん。
彼の膝の上で、横向きに座らせられる郁人さま。両腕はまだしっかりと首に巻き付いたままです。

うおぉい、めっちゃラブラブな恋人同士の雰囲気出まくりなんですけど!
お二人はただのルームメートですよね、いつの間にかお付き合いされてたりしませんよね!?

郁人さまの細腰を抱き込むように腕を回した土屋くんが、耳元で何か小声で話しかけたり。意味深に見つめあったり。


「な、なな……何やってんだ郁人!」

「ひえっ? うわびっくりしたぁ。急に大きな声出さないでよトラちゃん」


太賀の大声に驚いて土屋くんにしがみつき、今度はそれを恥ずかしがる郁人さま。を見て、口元に小さく笑みを浮かべる土屋くん。
うおぁああ、あっまーいっ甘々かよ付き合いはじめの溺愛カップルかよ。お願いもう止めて、目の前で見せられてるこっちが恥ずかしいから。美形同士のからみは本気でやばいですねっ!

あ、郁人さまが何か苦しそう。
お腹めっちゃ抱き締められてませんか、それ。もしや吐きそう? ふ、郁人さまー!?


「郁人くん、ちょっと苦しいみたいだよ。解放してあげたら、土屋くん」

「いや、まだ眠みぃしこのまま抱き枕にする」

「うーん、そっかそれじゃあ仕方ないね。せめて郁人くんが苦しくないように腕の力は抜いてあげてね」

「ああ」

.
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