王道くんと、俺。

葉津緒

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第四章

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二年生となった今年はついに願いが叶い、同じクラスで同じ授業を受け同じ教室の空気を吸い、その素晴らしいお声や笑顔、一挙一動をすぐ近くから堪能出来る至福の毎日を過ごしています。
神様仏さまご先祖さまありがとう。毎朝毎晩お祈りしてお供え物を奮発した甲斐があったよ!

時々そっと郁人さまの良い匂いを嗅ぐことさえ可能な、選ばれし者のみが名乗ることを許された位(くらい)。
それがクラスメート!

辞書で調べたら『同じクラスで一緒に勉強する友人』『同じクラスの友達』と書かれてあり、まさに天にも昇る心地でした。
つまり僕と郁人さまは……うふふふふ。


あ、匂いを嗅ぐのは直接って訳じゃないです。近くを通られた際の残り香を、って意味だから。
そりゃあ、体育の着替えで郁人さまが脱いだ制服やシャツや、汗の染み込んだ体操服をまだ温もりが残る状態で、くんかくんかしたいし何ならしっとり汗をかいてる郁人さまのうなじを舐め――こほん。

いえ、そんな変質者のような真似は絶対に致しません。
郁人さま親衛隊の隊員たるもの一時の欲望なんかに負けてちゃダメです。言語道断、御法度です。
だってもし優馬隊長にバレたら即刻除隊、下手したら退学ですよ。

以前、郁人さまに媚薬入りお菓子を食べさせようとして除隊になった者や、無理やり襲おうとした奴らがどうなったか。

…………うん。

とりあえず、二度と郁人さまに会えなくなるだなんて僕には無理無理、絶対無理ですっ。
そんなわけで親衛隊の隊員たちは、大好きな郁人さまそして自身のためにも、常に己(おのれ)との戦いに勝利し続けなくてはならないのです!



しかし、そんな頑張りを一瞬で吹き飛ばさんとするのが、郁人さまによる魅惑攻撃で……。

午後の授業が始まっても先生がなかなか現れず、ざわつく教室。
そんな中プリンを食べて幸せそうに頬笑む郁人さま。
綺麗で格好良くて可愛くてエロくて儚いって、何なんですか、さては僕たちを殺す気でしょう。やだ素敵いぃー!
あ、太賀は文字通り死んで良いよ。つか死ね。制裁ありがとう中村千裕くん。

ん? おい、ちょっと待て。
遠くからぼそっと「プリンまみれになった、ぐちゃえろ郁人くんを見てみたい」て言ったの誰だ。
ふざけんな、そんなの僕だって見たいからね!?

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