王道くんと、俺。

葉津緒

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第四章

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よっ、と抱え直された俺。
そんでいつの間にか亮ちゃんは自分の席に座ってるし。

ちなみに今の体勢はお姫様抱っこじゃないよ?
腕は首に回したまま亮ちゃんの足(太股)の上で横向きに座らされてます。
多分はたから見れば、君達どこのラブラブ・カップルさんですか、って感じ。


「な、なな……何やってんだ郁人!」

「ひえっ? うわびっくりしたぁ。急に大きな声出さないでよトラちゃん」


驚いて余計しがみついちゃったから、気付いた亮ちゃんに鼻で笑われました。
ち、違うよ?
多分それほど小心者じゃないからね俺!
ううっ恥ずかしい。

あと、腰やお腹に回った腕がぐいぐい締め付けてきてちょっと痛いです、亮ちゃん。
口からプリン出てきそう。ぐふぅ。
さすがに周りもざわざわ騒がしくなってるし。そろそろ誰か助けてくんないかなぁ。


「郁人くん、ちょっと苦しいみたいだよ。解放してあげたら、土屋くん」

「ち、チーちゃん……!」

「いや、まだ眠みぃしこのまま抱き枕にする」

「亮ちゃんーッ?」

「つ、土屋!?」


「うーん、そっかそれじゃあ仕方ないね。せめて郁人くんが苦しくないように腕の力は抜いてあげてね」

「ああ」


ああ、じゃないよ。
チーちゃんもどこが「仕方ない」って言うのさ、二人とも意味不明だよぉッ。

むうう、と不満を顔に出しても既に寝る気満々の亮ちゃんには通用しないみたいだし。くそう。
だったらせめて抱き枕にも過ごしやすいポジションを要求しますっ。先ずは首に回した腕を外して、身体の向きはこうで、背中はこっちに……モゾモゾ。


「よし、出来たぁ♪ お待たせー、もう寝て良いよ亮ちゃん」

「ん。おやすみ」

「は!?」


じゃじゃーん。何と俺は太腿の上の横向き座りから、背中を亮ちゃんの身体(胸とお腹?)にくっつける体勢へと華麗に変更。
つまり亮ちゃんは俺の人間椅子となったのだ。これぞ抱き枕の逆襲である。うむ、楽チン。
首から肩の辺りに亮ちゃんの頭かな、の重みがかかってるけど涎はつけないでね?


「いや、だから何やっ、ヒッ!?(土屋に睨まれたッ)ふ、郁人はそれで良いのか?」

「んー。眠い時の亮ちゃんって頑固だし機嫌も悪くなりやすいから、後々のことを考えるとまあこれくらいは別に大丈夫かなぁって」

「えっ……そ、そうか」

.
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