王道くんと、俺。

葉津緒

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第四章

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気になって歩くんに聞こうとしたんだけど、副会長が「チャラ男には関係ありません」って蔑みの目をくださいましたー。
うん、副会長に嫌われてるのは知ってたけどやっぱ悲しい。くすん。
でも今回は王道(歩)くん絡みだから、むしろ萌える。

『私の歩に、チャラ男ごときが近付いて良いと思っているんですか』

てことだよね!
ライバルに対する攻めの嫉妬、そして王道くんへの独占欲……たいへん美味しいですっ。

なんて心の中でニヤニヤしてたら


「そもそも、あなたのような下半身バカが何故ここにいるんです。まあどうせ、そこの外見だけがとりえの親衛隊長といかがわしい行為をするのが目的だったんでしょうけれど」

「え……」

「あ? テメ何だその言い方!」

「祥ちゃんっ」「祥太郎」


副会長からのイヤミの対象が優ちゃんにまで及んじゃった。
途端に喧嘩腰となった祥ちゃんを、俺と優ちゃんで止める。と言っても単に名前を呼んだだけなんだけどね。


「あ、あの僕、副会長さまにお声をかけて頂けて光栄ですぅ。でも郁人さまといかがわしい行為だなんて……。郁人さまぁ、副会長さまに見られちゃうと恥ずかしいですからぁやっぱり他の場所でいいことしましょお?」

「えっと、あー……それじゃあ俺達は別のとこ行くね。副会長さんバイバーイ。歩くんもまた後で教室で会おうねぇ」

「へ? う、うん。分かった郁人!」


正直、名残惜しいけど。
しょうがないか。
親衛隊長さんモードの優ちゃんに腕を引っ張られながら、歩くんにヒラヒラと手を振る俺。
ありゃ、また副会長さんに睨まれちゃった。
……萌える!



てな感じで、俺達三人は保健室を後にしました。優ちゃんの可愛い言動に、未だ慣れないのか目を白黒させてた祥ちゃんが面白かったよー。
でも、保健室を出て人気のない廊下に来た途端。


「ふざけんなよあの腹黒エセ・スマイル王子もどき糞野郎が。てめぇの自慢の面の皮、全部剥ぎ落とした後で塩分濃度の高い死海の水に頭からたっぷり浸けてやろうか。
あ、傷口にハバネロをまぶすのも良いな。いやもっと上があったよな、確か……ブート・ジョロキア、トリニダード・モルガ・スコーピオン、キャロライナ・リーパー(※いずれも非常に辛い唐辛子)だったか?」


(ヒィイイイッ!?)

.
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