王道くんと、俺。

葉津緒

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第四章

授業は真面目に受けようね

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 モシャモシャ んぐんぐ ちゅーっ
 ゴクン ……ぷはぁっ


「ご馳走様でした。あ、プリン食べるの忘れてた! いただきまーす」

「お、郁人うまそう俺にも一口!」

「んーいいよ? じゃあトラちゃん、あーん」

「あー……」



 バコンッ



「痛っ! ちょ、千裕お前今その分厚い国語辞典で殴った!? 俺の頭が坊主刈りだって分かってる? 人より防御力低いって知ってる? しかも角当たってたし!」

「うるさいよトラ。静かにしないと次は本気でやるからね」

「……静かにするので殺(や)らないでください」


クスクスと笑いが広がる教室。
あちこちから

「太賀だっせー、中村に負けてんじゃねーよ」
「中村、本気で太賀こらしめちゃって良いぞー。つか、殺っちゃえ」

なんて野次が飛ぶ。
それにトラちゃんがおどけて

「うっせ、お前らも千裕にいじめられろ!」

と返すものだから。
あーあ、またチーちゃんに怒られた。
二度目の国語辞典はやっぱり痛そうだねー。ぷぷっ、トラちゃん涙目だし可哀相。



そういえば今って、お昼休みも終わった午後の授業時間なんだけど。
さっきから全然先生が来ないんだよね。まさかサボリ?
ちなみに今の時間、科目は「現国」そして担当は千葉ちゃんです。やっぱサボリかも。

職員室と資料準備室まで捜しに行った日直の人も、千葉ちゃんを見つけられずに戻って来ちゃったし。
とりあえず皆、先生が来るまで自習って雰囲気になってまぁす。
おかげで今現在、千葉ちゃんに貰ったプリンを俺はのんびり美味しく頂いてる訳ですよ。


プリンってさー、食欲が無い時でも食べやすいし簡単な栄養補給にピッタリなんだってね?
昔それを教えてもらってから、何となく俺の好物になったんだけど。
ツルンとして、ぷるんッときて。
口の中でとろぉり溶けて、カラメル部分のちょっぴり苦くて香ばしい甘さがたまんない。

自然に頬が緩んじゃうんだよねぇ。



※以下クラス一同、心の声。


(プリンを食べながら幸せそうに微笑んでる郁人様、可愛いっ)

(くっそ太賀の奴、羨ましい。俺も郁人くんにアーンとかされたい)

(いっそ俺がプリンになりたい)

(……プリンまみれになった、ぐちゃえろ郁人くんを見てみたいッ)

.
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