王道くんと、俺。

葉津緒

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第三章

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うん?
じゃあ保健室に来た人達が泣いてたのも嬉し泣きとか。
ま、まさか学園内に大量の腐男子仲間がいらっしゃる!?
うわあ、是非とも王道展開について語り合いたいですッ。

王道展開、王道、お昼……食堂……。

あ、ちょーっと待って。
確かさっき『食堂で騒ぎがあった』て言わなかった?
そもそも俺、今日は食堂に行く筈だったよねぇ。それがどうして保健室にいるんだっけ。



…………………………
…………………………
…………………………ハッ。


「うわあぁ、王道イベントぉぉおッ!?」


いきなり叫び出した俺に、ギョッとする三人。でもそんなの気にしてらんないよ、こっちは一大事なんだから。


「嗚呼、魅惑の食堂イベントが――。で、でもさっきまで会長は俺と一緒だった訳だし、歩くんとの王道展開はまた後日改めてってことだよね? ね? あれ、じゃあ食堂での騒ぎっていったい」

「ふ、郁人さん?」

「あの、郁人くん?」

「王道って……郁人お前まさか」


俺が発したその言葉にピクリと反応する優ちゃん。
どうやら俺の考えていた内容が分かったみたいだね、ワト●ンくん。腐ふふ、君も伊達に師匠からBL(王道)についての猛特訓を受けてはいないようだ。

何たって優ちゃんと俺、二人揃って連日BL本の読書感想文を書かされまくった訳だし。
そして当時を思い出す度、お互い(ちょっぴり)涙目になるのは何故だろう。うーん、おかしいなぁ。


「チッ、そういうことかよ。焦らせやがって」


呆れたというか、やや疲れた顔でため息を吐く優ちゃん。嬉しそうに見えるのは気のせいかな。




そこへ突然、勢いよく開かれる保健室の扉。


「先生、怪我人です。診てやってください!」

「は?」

「え」

「あ」


事前に報せがあったからある程度の予測はしていたけれど。
でも、さすがにこれは予想外すぎる人物の登場でしょう。


「副会長と歩くん?」

「へ? あ、郁人!」

「…………」

「はい、じゃあこっちに来てくれるかな」



何と保健室に駆け込んで来たのは、歩くんをお姫様抱っこした副会長さまでした。




【第三章/END】
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