王道くんと、俺。

葉津緒

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第三章

22

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「男前受け」もBL的には嫌いじゃないけどこの場合は何か怖いと言うか違和感あり過ぎるというか。
でも会長×千葉ちゃんとか、理事長(聡さん)×千葉ちゃんなら……。

でもやっぱり貴重なホスト教師攻めがいなくなるのは王道的に寂しいし。
うーん、うーん。



「郁人さん、さっきから深刻そうな顔で何を悩んでいるんですか?」

「痛ッ」

「え? あ、すみません!」


祥ちゃんの手が軽く肩に乗せられただけ。なのにシャツが傷口に触れ、つい声をあげてしまいましたぁ。やば。


「……郁人、お前ちょっと上着を脱いでみせろ」

「え。いやあのーって、うわッ優ちゃんのエッチ!」

「だ、誰がエッチだこら……おい。何だよこの傷!?」


あーあ、優ちゃんに気付かれちゃったし。
恐らくバ会長の歯型がついてるだろう、その箇所を凝視されてまぁす。
いやん。


「別に何でもないから大丈夫。気にしないでいーよぉ」

「もう郁人くん、そんな訳にはいかないでしょ。噛み跡からバイ菌でも入ったらどうするの。消毒するから、ちゃんと上着を脱いで見せて」

「千葉の野郎、殺す!」

「うえっ!? 待って優ちゃん違うから、これ千葉ちゃんじゃなくてバ会長が」


「は?」


ひいい、優ちゃんの顔が鬼のようにッ。


「いつだ、それ」

「あああのさっきトイレでがぶりと。で、でもりっちゃん先輩が助けてくれたし」

「あの糞会長が郁人さんを……」

「なな何? 祥ちゃん今、バキッて凄い音が聞こえたけど痛あぁッ!?」

「はい、ちょーっとしみるけど我慢してね」


うう、どうしてだろう。
一人じゃないのに孤独を感じます。
晴巳せんせぇの居る保健室は、俺にとって最強の癒しだった筈なのに……。

それから祥ちゃん、保健室の備品壊すのは駄目なんじゃないかなぁ。



「ねえ郁人くん、こっちはどうしようか。ファンデーションかコンシーラー、使う?」

「はい?」


ふぁんで、こんし……それ何語ですか晴巳せんせぇ。どっかで聞いたような気もするけど。


「この噛み跡の下にあるキスマーク。まあどっちも一応シャツで隠れる位置だから大丈夫だとは思うけど。
それよりガーゼを貼った方が良いかな。両方隠せるし傷口に化粧品って、本当はあまり良くないからね」

.
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