王道くんと、俺。

葉津緒

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第三章

15

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何この空気、怖いよぅ。


「優ちゃーん助けてぇ?」

「……風紀委員長さま、とりあえず僕は郁人さまを保健室へ連れて行きますね。そこの最低なセクハラ淫行クズ教師は、煮るなり焼くなりお好きにどうぞ」

「ゆ、優ちゃん?」

「優馬さ、ひぃいっ!?」


なんということでしょう。親衛隊ぶりッ子の可愛い筈の笑顔が、般若にしか見えません。
そりゃあ、祥ちゃんが顔を真っ青にしてガタガタ震え出すのも無理ないよね。


「保健室で言い付けてやる」

「あ!? ……この糞ガキ」


うん?
今、優ちゃんが小声で何かを呟いたら一瞬だけ千葉ちゃんの表情が曇ったような。
気のせいかなぁ。


「チッ。おいお前ら、保健室へ行くんならそれ持ってけ」

「それ? あ、パンとお弁当だ。飲み物も入ってるし。え、千葉ちゃんが用意したの?」

「千葉さん、俺なんかの分まで……!」

「……エセ教師のくせに」

「……」


資料準備室の机の上にあった袋の中身は、大量のお弁当達でした。
何気に俺、千葉ちゃんのこういうトコが好きかも。まあ、たまーにだけど。
あー……食べ物を見たら本格的にお腹空いて、よだれが出そう。じゅるるっ。


「何ならお前の分もあるぞ。食うか、風紀委員長?」

「遠慮します」


「じゃあ僕達はこれで失礼しますね。郁人さま、行きましょ?」

「そ、そうっスね! 早く保健室へ行かないと昼飯食う時間も無くなりますよ、郁人さん」

「へ? あ、ちょっと待――」


優ちゃんと祥ちゃんに、無理やり部屋から連れ出されました。
千葉ちゃんとりっちゃん先輩の二人だけを残して来ちゃったけど大丈夫かなぁ。
最後に振り返ったら、千葉ちゃんの余裕そうなニヤけ顔が見えたし……。

うん、大丈夫かも。





<千葉 視点>


「で? 他にもまだ俺に言いたいことがあるんだろ、風紀委員長」

「千葉先生ならわざわざ聞かなくとも既にお分かりでは」

「いいや、俺だって言われなきゃ分かんねーよ。まあどうせ郁人のことだろうがな」


郁人の名前を出した途端、風紀委員長……五十嵐律の顔付きが変わった。

他の奴らよりはマシだが所詮こいつも高校生。つまり、まだまだガキってことか。
鬼の風紀委員長様なんて言われてても、気になる後輩のことに関しては笑っちまう程弱いってな。

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