41 / 89
第三章
15
しおりを挟む
何この空気、怖いよぅ。
「優ちゃーん助けてぇ?」
「……風紀委員長さま、とりあえず僕は郁人さまを保健室へ連れて行きますね。そこの最低なセクハラ淫行クズ教師は、煮るなり焼くなりお好きにどうぞ」
「ゆ、優ちゃん?」
「優馬さ、ひぃいっ!?」
なんということでしょう。親衛隊ぶりッ子の可愛い筈の笑顔が、般若にしか見えません。
そりゃあ、祥ちゃんが顔を真っ青にしてガタガタ震え出すのも無理ないよね。
「保健室で言い付けてやる」
「あ!? ……この糞ガキ」
うん?
今、優ちゃんが小声で何かを呟いたら一瞬だけ千葉ちゃんの表情が曇ったような。
気のせいかなぁ。
「チッ。おいお前ら、保健室へ行くんならそれ持ってけ」
「それ? あ、パンとお弁当だ。飲み物も入ってるし。え、千葉ちゃんが用意したの?」
「千葉さん、俺なんかの分まで……!」
「……エセ教師のくせに」
「……」
資料準備室の机の上にあった袋の中身は、大量のお弁当達でした。
何気に俺、千葉ちゃんのこういうトコが好きかも。まあ、たまーにだけど。
あー……食べ物を見たら本格的にお腹空いて、よだれが出そう。じゅるるっ。
「何ならお前の分もあるぞ。食うか、風紀委員長?」
「遠慮します」
「じゃあ僕達はこれで失礼しますね。郁人さま、行きましょ?」
「そ、そうっスね! 早く保健室へ行かないと昼飯食う時間も無くなりますよ、郁人さん」
「へ? あ、ちょっと待――」
優ちゃんと祥ちゃんに、無理やり部屋から連れ出されました。
千葉ちゃんとりっちゃん先輩の二人だけを残して来ちゃったけど大丈夫かなぁ。
最後に振り返ったら、千葉ちゃんの余裕そうなニヤけ顔が見えたし……。
うん、大丈夫かも。
<千葉 視点>
「で? 他にもまだ俺に言いたいことがあるんだろ、風紀委員長」
「千葉先生ならわざわざ聞かなくとも既にお分かりでは」
「いいや、俺だって言われなきゃ分かんねーよ。まあどうせ郁人のことだろうがな」
郁人の名前を出した途端、風紀委員長……五十嵐律の顔付きが変わった。
他の奴らよりはマシだが所詮こいつも高校生。つまり、まだまだガキってことか。
鬼の風紀委員長様なんて言われてても、気になる後輩のことに関しては笑っちまう程弱いってな。
.
「優ちゃーん助けてぇ?」
「……風紀委員長さま、とりあえず僕は郁人さまを保健室へ連れて行きますね。そこの最低なセクハラ淫行クズ教師は、煮るなり焼くなりお好きにどうぞ」
「ゆ、優ちゃん?」
「優馬さ、ひぃいっ!?」
なんということでしょう。親衛隊ぶりッ子の可愛い筈の笑顔が、般若にしか見えません。
そりゃあ、祥ちゃんが顔を真っ青にしてガタガタ震え出すのも無理ないよね。
「保健室で言い付けてやる」
「あ!? ……この糞ガキ」
うん?
今、優ちゃんが小声で何かを呟いたら一瞬だけ千葉ちゃんの表情が曇ったような。
気のせいかなぁ。
「チッ。おいお前ら、保健室へ行くんならそれ持ってけ」
「それ? あ、パンとお弁当だ。飲み物も入ってるし。え、千葉ちゃんが用意したの?」
「千葉さん、俺なんかの分まで……!」
「……エセ教師のくせに」
「……」
資料準備室の机の上にあった袋の中身は、大量のお弁当達でした。
何気に俺、千葉ちゃんのこういうトコが好きかも。まあ、たまーにだけど。
あー……食べ物を見たら本格的にお腹空いて、よだれが出そう。じゅるるっ。
「何ならお前の分もあるぞ。食うか、風紀委員長?」
「遠慮します」
「じゃあ僕達はこれで失礼しますね。郁人さま、行きましょ?」
「そ、そうっスね! 早く保健室へ行かないと昼飯食う時間も無くなりますよ、郁人さん」
「へ? あ、ちょっと待――」
優ちゃんと祥ちゃんに、無理やり部屋から連れ出されました。
千葉ちゃんとりっちゃん先輩の二人だけを残して来ちゃったけど大丈夫かなぁ。
最後に振り返ったら、千葉ちゃんの余裕そうなニヤけ顔が見えたし……。
うん、大丈夫かも。
<千葉 視点>
「で? 他にもまだ俺に言いたいことがあるんだろ、風紀委員長」
「千葉先生ならわざわざ聞かなくとも既にお分かりでは」
「いいや、俺だって言われなきゃ分かんねーよ。まあどうせ郁人のことだろうがな」
郁人の名前を出した途端、風紀委員長……五十嵐律の顔付きが変わった。
他の奴らよりはマシだが所詮こいつも高校生。つまり、まだまだガキってことか。
鬼の風紀委員長様なんて言われてても、気になる後輩のことに関しては笑っちまう程弱いってな。
.
50
お気に入りに追加
1,019
あなたにおすすめの小説

推しを擁護したくて何が悪い!
人生1919回血迷った人
BL
所謂王道学園と呼ばれる東雲学園で風紀委員副委員長として活動している彩凪知晴には学園内に推しがいる。
その推しである鈴谷凛は我儘でぶりっ子な性格の悪いお坊ちゃんだという噂が流れており、実際の性格はともかく学園中の嫌われ者だ。
理不尽な悪意を受ける凛を知晴は陰ながら支えたいと思っており、バレないように後をつけたり知らない所で凛への悪意を排除していたりしてした。
そんな中、学園の人気者たちに何故か好かれる転校生が転入してきて学園は荒れに荒れる。ある日、転校生に嫉妬した生徒会長親衛隊員である生徒が転校生を呼び出して──────────。
「凛に危害を加えるやつは許さない。」
※王道学園モノですがBLかと言われるとL要素が少なすぎます。BLよりも王道学園の設定が好きなだけの腐った奴による小説です。
※簡潔にこの話を書くと嫌われからの総愛され系親衛隊隊長のことが推しとして大好きなクールビューティで寡黙な主人公が制裁現場を上手く推しを擁護して解決する話です。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
フリーダム!!!~チャラ男の俺が王道学園の生徒会会計になっちゃった話~
いちき
BL
王道学園で起こるアンチ王道気味のBL作品。 女の子大好きなチャラ男会計受け。 生真面目生徒会長、腐男子幼馴染、クール一匹狼等と絡んでいきます。王道的生徒会役員は、王道転入生に夢中。他サイトからの転載です。
※5章からは偶数日の日付が変わる頃に更新します!
※前アカウントで投稿していた同名作品の焼き直しです。
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

この僕が、いろんな人に詰め寄られまくって困ってます!〜まだ無自覚編〜
小屋瀬 千風
BL
〜まだ無自覚編〜のあらすじ
アニメ・漫画ヲタクの主人公、薄井 凌(うすい りょう)と、幼なじみの金持ち息子の悠斗(ゆうと)、ストーカー気質の天才少年の遊佐(ゆさ)。そしていつもだるーんとしてる担任の幸崎(さいざき)teacher。
主にこれらのメンバーで構成される相関図激ヤバ案件のBL物語。
他にも天才遊佐の事が好きな科学者だったり、悠斗Loveの悠斗の実の兄だったりと個性豊かな人達が出てくるよ☆
〜自覚編〜 のあらすじ(書く予定)
アニメ・漫画をこよなく愛し、スポーツ万能、頭も良い、ヲタク男子&陽キャな主人公、薄井 凌(うすい りょう)には、とある悩みがある。
それは、何人かの同性の人たちに好意を寄せられていることに気づいてしまったからである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
【超重要】
☆まず、主人公が各キャラからの好意を自覚するまでの間、結構な文字数がかかると思います。(まぁ、「自覚する前」ということを踏まえて呼んでくだせぇ)
また、自覚した後、今まで通りの頻度で物語を書くかどうかは気分次第です。(だって書くの疲れるんだもん)
ですので、それでもいいよって方や、気長に待つよって方、どうぞどうぞ、読んでってくだせぇな!
(まぁ「長編」設定してますもん。)
・女性キャラが出てくることがありますが、主人公との恋愛には発展しません。
・突然そういうシーンが出てくることがあります。ご了承ください。
・気分にもよりますが、3日に1回は新しい話を更新します(3日以内に投稿されない場合もあります。まぁ、そこは善処します。(その時はまた近況ボード等でお知らせすると思います。))。
ザ・兄貴っ!
慎
BL
俺の兄貴は自分のことを平凡だと思ってやがる。…が、俺は言い切れる!兄貴は…
平凡という皮を被った非凡であることを!!
実際、ぎゃぎゃあ五月蝿く喚く転校生に付き纏われてる兄貴は端から見れば、脇役になるのだろう…… が、実は違う。
顔も性格も容姿も運動能力も平凡並だと思い込んでいる兄貴…
けど、その正体は――‥。

眺めるほうが好きなんだ
チョコキラー
BL
何事も見るからこそおもしろい。がモットーの主人公は、常におもしろいことの傍観者でありたいと願う。でも、彼からは周りを虜にする謎の色気がムンムンです!w
顔はクマがあり、前髪が長くて顔は見えにくいが、中々美形…!
そんな彼は王道をみて楽しむ側だったのに、気づけば自分が中心に!?
てな感じの巻き込まれくんでーす♪
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる