王道くんと、俺。

葉津緒

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第三章

12

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必然的に俺はりっちゃん先輩を見上げてる訳ですが。


「ん? どうした郁人」

「んー。りっちゃん先輩いつからトイレに居たのかなって。もしかして、お便秘?」

「お……、いや便秘ではない。風紀の仕事の都合だ」


そう言いながら、片耳に装着しているインカム(イヤホンマイク?)を指差す。
そういや普段これを使って他の風紀の人達に指示したり情報を入手したり色々お仕事やってるんだったよね。
そっか、よく分からないけど風紀の取り締まりとかをトイレの個室から行ってたのか。委員長も大変なんだね。

じゃあ多分、大丈夫かな。
さっき俺が呟いてたことは聞かれてない筈。


「その手首の痣はどうしたんだ」

「へっ? あ、えっと大丈夫。何でもないよぉ」


へらっと笑いながらごまかす俺。
会長に続きりっちゃん先輩まで聞いてくるとは、コレ結構目立つのかな。
そして何故か急に、無表情な風紀委員長さまモードのりっちゃん先輩降臨……ちょっと怖いかも。


「事情はともかく風紀室へ来い、郁人。手当てしてやる」

「え? い、いや結構でぇす。と言うか優ちゃん達が待ってるし、俺もうそろそろ行かないと」

「それなら俺も一緒に行こう」


ふう、ってため息吐きながら言われちゃいました。え、何で?



 ***



「もぉー遅いですよ郁人さま。いつまでもトイレで何やってたんですか。あ、風紀委員長さまこんにちはぁ」


よく分からないまま二人で皆の所へ戻ると、親衛隊長さんぶりッ子な優ちゃんが出迎えてくれました。ただし、ハートマーク付きでとっても可愛い笑顔の背後には何故か鬼が見えてまーす。
もしかしてかなりのご立腹中?
えっとお腹空いたのかな、お昼ご飯まだだし。ぐう。


「ふ、郁人さんっ会いたかった……!」

「へ? 祥ちゃん?」


ブワッと涙目の祥ちゃんが走り寄って、来ようとする途中で千葉ちゃんに肩を組まれました。


「おい小僧。ホント懲りねぇ奴だな、お前」

「ひいっ!? す、すみませんッ」


ニヤリと黒笑いを浮かべた千葉ちゃんの声に、過剰なまでの反応を見せる祥ちゃん。
鬼畜教師×ビビり不良、萌え。


「なあ郁人、前にも言ったがこの俺でバカなこと想像してんじゃねーぞ。何なら今すぐ×の右側をお前固定で実践してやろうか?」

.
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