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第二章
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「も、痛ひっ……やらぁ、らめてトラひゃ」
「うるっせーぞお前ら。いい加減、黙って静かに席に着きやがれ。富丘! 今すぐその手を離さねーとこの世からテメエを抹殺すんぞ!?」
ピタッ シーーーーン
ドスのきいた千葉ちゃんの一声で、再びクラスに静寂が戻りました。勿論トラちゃんは即刻手を離したとさ。
い、痛かったよぅー……。
<太賀 視点>
「えーと、さっきぶりだねー。俺はぁ千賀郁人でーす。何か俺、君のこと気に入っちゃった♪ これからよろしくねぇ歩くん?」
珍しい転入生にかけられた、さらに珍しい郁人の言葉。
ちょっと待て。
正直、俺には意味が分からない。
(はあ? 何でこいつ?)
だって、見た目ホストなクラス担任の千葉ちゃんに呼ばれ、教室に入ってきた転入生を見た皆の反応は
『うわっキモ男』
『何あの格好、最悪』
『転入生ってこれかよ、ガッカリー』
『あいつでしょ。今朝、橘会長様や滝沢副会長様に近付いたのって。鏡見たことある訳?』
……って感じだぞ。
真っ黒なモジャでか頭に分厚い瓶底黒縁メガネ。顔なんかほとんど見えねーのに、これのどこを気に入ったんだ?
『瀬戸歩』と名乗った転入生は顔を赤く染め、郁人の言葉に喜んでいる様子だけど。
「じ、じゃあ郁人って呼んで良いか? 俺は」
「ダメだ歩、千賀には近付くな!」
「へ、あれっ……紀幸?」
お?
いきなり図々しくも郁人に近付こうとした転入生が、後ろから氷川紀幸に羽交い締め(※正確には抱きすくめ)にされたし。
てか氷川の奴よくそんなのに触れるなぁ。
ま、別に良いけど。
とりあえず牽制でもしときますか。
「おー? 何だ何だ、早くも氷川のお手付きか。やるなぁ転入生。ヨッ、彼氏嫉妬深いねぇー」
「か、彼氏って何だよ! 紀幸と俺は寮の同部屋なんだから、仲が良くても別に不思議じゃないだろッ」
「……」
氷川お前、転入生の言葉に本気でへこんでねぇか?
マジでそういう仲?
うっわ、趣味悪りぃ。
けどそれならますますしっかりコイツを見張って貰わねーと。
「まぁたそんな照れんなよ、転入生」
「照れてねーし!」
みたいな感じで人が一生懸命やってんのに。
いきなり俺の坊主頭を撫でる郁人の手。
しかも何か、何となーくムカつく。
.
「うるっせーぞお前ら。いい加減、黙って静かに席に着きやがれ。富丘! 今すぐその手を離さねーとこの世からテメエを抹殺すんぞ!?」
ピタッ シーーーーン
ドスのきいた千葉ちゃんの一声で、再びクラスに静寂が戻りました。勿論トラちゃんは即刻手を離したとさ。
い、痛かったよぅー……。
<太賀 視点>
「えーと、さっきぶりだねー。俺はぁ千賀郁人でーす。何か俺、君のこと気に入っちゃった♪ これからよろしくねぇ歩くん?」
珍しい転入生にかけられた、さらに珍しい郁人の言葉。
ちょっと待て。
正直、俺には意味が分からない。
(はあ? 何でこいつ?)
だって、見た目ホストなクラス担任の千葉ちゃんに呼ばれ、教室に入ってきた転入生を見た皆の反応は
『うわっキモ男』
『何あの格好、最悪』
『転入生ってこれかよ、ガッカリー』
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……って感じだぞ。
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「じ、じゃあ郁人って呼んで良いか? 俺は」
「ダメだ歩、千賀には近付くな!」
「へ、あれっ……紀幸?」
お?
いきなり図々しくも郁人に近付こうとした転入生が、後ろから氷川紀幸に羽交い締め(※正確には抱きすくめ)にされたし。
てか氷川の奴よくそんなのに触れるなぁ。
ま、別に良いけど。
とりあえず牽制でもしときますか。
「おー? 何だ何だ、早くも氷川のお手付きか。やるなぁ転入生。ヨッ、彼氏嫉妬深いねぇー」
「か、彼氏って何だよ! 紀幸と俺は寮の同部屋なんだから、仲が良くても別に不思議じゃないだろッ」
「……」
氷川お前、転入生の言葉に本気でへこんでねぇか?
マジでそういう仲?
うっわ、趣味悪りぃ。
けどそれならますますしっかりコイツを見張って貰わねーと。
「まぁたそんな照れんなよ、転入生」
「照れてねーし!」
みたいな感じで人が一生懸命やってんのに。
いきなり俺の坊主頭を撫でる郁人の手。
しかも何か、何となーくムカつく。
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