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第二章
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しおりを挟む「歩、中村は本当に良い奴だから友達になっても大丈夫だ。富丘は煩いから無視しろ。だけど千賀には絶対、近付くな」
「ちょっ、紀幸? だから何で」
うーん。
愛ゆえの嫉妬なのは分かってるんだけど、やっぱ目の前で言われると少ぉし傷付くよね。クスン。
「はあ? お前ら何なの、千裕も氷川も二人して俺を騒音扱いですか。ちょっと酷くね? いいの、俺泣いちゃうよ?」
「僕はトラの泣いてる顔を見てみたいし、別に良いと思うよ」
「……」「……」「……」「……」
チーちゃんって、本当に温和な性格なのか疑問に感じる時があるんだよね。たまに優ちゃんと同じニオイがするっていうか。
じ、冗談なんだよねきっと。
て言うかトラちゃん、俺の扱いには突っ込まないんだ。
よし、ちょっぴりムカついたので、泣き真似してる目の前の坊主頭を再び撫でてやりましょうー。
撫で撫で撫で撫で……
「郁人、その笑顔は絶対俺のこと慰めてる訳じゃねーよな」
「うん、良い手触りだねー♪」
「そんな奴は……こうしてくれる!」
「いいい痛っ!? いたひッほめんなはい、や、あっ、トラひゃんっ」
しし、しまったぁ。
反撃くらっちゃいました。
頬っぺたを掴んで左右に引っ張らないでぇ。
い、痛い痛いー!
『(ふ、郁人様の涙目……)
って、はっ!? きゃああー、郁人様に何てことしてるの富丘。離しなさいよ!』
『(痛みに悶える郁人様、可愛い……)
あ! ふ、郁人様の美しいお顔に触れるなんて羨まし、じゃなかった。富丘許さん!』
『(ヤバ、は鼻血が……)
大丈夫ですか郁人様!? 今すぐ富丘を殺してやりますからっ』
一気に教室が騒がしくなった(いや、実はずっと煩かったんだけど)のに、そういや千葉ちゃん何してんの?
俺達さっきから結構長いこと好き勝手に話してた気がするんだけど。
……って、あ。
教壇前の教卓に頬杖つきながら、妙に楽しそうにこっち見てるし。
お願い助けて、と視線を送ったら「ニヤリ」と意味ありげな笑顔が返される。
うう、何だろう。一瞬背中がゾクゾクッてしたような。
「お、おい! 郁人スゲー痛がってるだろ、手を離せよお前!」
「あ? 関係無いだろ転入生には」
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