20 / 89
第二章
9
しおりを挟む「歩、中村は本当に良い奴だから友達になっても大丈夫だ。富丘は煩いから無視しろ。だけど千賀には絶対、近付くな」
「ちょっ、紀幸? だから何で」
うーん。
愛ゆえの嫉妬なのは分かってるんだけど、やっぱ目の前で言われると少ぉし傷付くよね。クスン。
「はあ? お前ら何なの、千裕も氷川も二人して俺を騒音扱いですか。ちょっと酷くね? いいの、俺泣いちゃうよ?」
「僕はトラの泣いてる顔を見てみたいし、別に良いと思うよ」
「……」「……」「……」「……」
チーちゃんって、本当に温和な性格なのか疑問に感じる時があるんだよね。たまに優ちゃんと同じニオイがするっていうか。
じ、冗談なんだよねきっと。
て言うかトラちゃん、俺の扱いには突っ込まないんだ。
よし、ちょっぴりムカついたので、泣き真似してる目の前の坊主頭を再び撫でてやりましょうー。
撫で撫で撫で撫で……
「郁人、その笑顔は絶対俺のこと慰めてる訳じゃねーよな」
「うん、良い手触りだねー♪」
「そんな奴は……こうしてくれる!」
「いいい痛っ!? いたひッほめんなはい、や、あっ、トラひゃんっ」
しし、しまったぁ。
反撃くらっちゃいました。
頬っぺたを掴んで左右に引っ張らないでぇ。
い、痛い痛いー!
『(ふ、郁人様の涙目……)
って、はっ!? きゃああー、郁人様に何てことしてるの富丘。離しなさいよ!』
『(痛みに悶える郁人様、可愛い……)
あ! ふ、郁人様の美しいお顔に触れるなんて羨まし、じゃなかった。富丘許さん!』
『(ヤバ、は鼻血が……)
大丈夫ですか郁人様!? 今すぐ富丘を殺してやりますからっ』
一気に教室が騒がしくなった(いや、実はずっと煩かったんだけど)のに、そういや千葉ちゃん何してんの?
俺達さっきから結構長いこと好き勝手に話してた気がするんだけど。
……って、あ。
教壇前の教卓に頬杖つきながら、妙に楽しそうにこっち見てるし。
お願い助けて、と視線を送ったら「ニヤリ」と意味ありげな笑顔が返される。
うう、何だろう。一瞬背中がゾクゾクッてしたような。
「お、おい! 郁人スゲー痛がってるだろ、手を離せよお前!」
「あ? 関係無いだろ転入生には」
.
50
お気に入りに追加
1,019
あなたにおすすめの小説

推しを擁護したくて何が悪い!
人生1919回血迷った人
BL
所謂王道学園と呼ばれる東雲学園で風紀委員副委員長として活動している彩凪知晴には学園内に推しがいる。
その推しである鈴谷凛は我儘でぶりっ子な性格の悪いお坊ちゃんだという噂が流れており、実際の性格はともかく学園中の嫌われ者だ。
理不尽な悪意を受ける凛を知晴は陰ながら支えたいと思っており、バレないように後をつけたり知らない所で凛への悪意を排除していたりしてした。
そんな中、学園の人気者たちに何故か好かれる転校生が転入してきて学園は荒れに荒れる。ある日、転校生に嫉妬した生徒会長親衛隊員である生徒が転校生を呼び出して──────────。
「凛に危害を加えるやつは許さない。」
※王道学園モノですがBLかと言われるとL要素が少なすぎます。BLよりも王道学園の設定が好きなだけの腐った奴による小説です。
※簡潔にこの話を書くと嫌われからの総愛され系親衛隊隊長のことが推しとして大好きなクールビューティで寡黙な主人公が制裁現場を上手く推しを擁護して解決する話です。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

フリーダム!!!~チャラ男の俺が王道学園の生徒会会計になっちゃった話~
いちき
BL
王道学園で起こるアンチ王道気味のBL作品。 女の子大好きなチャラ男会計受け。 生真面目生徒会長、腐男子幼馴染、クール一匹狼等と絡んでいきます。王道的生徒会役員は、王道転入生に夢中。他サイトからの転載です。
※5章からは偶数日の日付が変わる頃に更新します!
※前アカウントで投稿していた同名作品の焼き直しです。

眺めるほうが好きなんだ
チョコキラー
BL
何事も見るからこそおもしろい。がモットーの主人公は、常におもしろいことの傍観者でありたいと願う。でも、彼からは周りを虜にする謎の色気がムンムンです!w
顔はクマがあり、前髪が長くて顔は見えにくいが、中々美形…!
そんな彼は王道をみて楽しむ側だったのに、気づけば自分が中心に!?
てな感じの巻き込まれくんでーす♪

とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~
無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。
自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる