王道くんと、俺。

葉津緒

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第二章

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「じゃあ、瀬戸の席は最後列の窓から三番目な。あの空いてるトコだから」


千葉ちゃんが席を指示すると王道くん、じゃないや「歩くん」は真っ直ぐに歩き出した。
って何か、ダジャレみたいだね。

あ、転ばそうとしてんのかな。机の脇から足を出す人がいるー。でも歩くん、気付いてないっぽいのに全然引っ掛からないし。
これはかなり運動神経良さそう。
さすが王道くん。

ハッ!
もしかして歩くん、実は族(チーム)に入ってて喧嘩が異常に強く通り名を持ってたりして!?
……対立関係にある族のトップが生徒会メンバーで構成され、しかも橘会長がそこの総長だったり。そんで抗争の最中に運命の悪戯か、敵である筈の歩くんに一目惚れ。
だがしかし、ある日突然行方をくらました彼を必死に捜す橘総長。

「必ずお前を見つけ出して、俺様のモノにしてやるからな」

なんて想われてるのにも気付かず「バレたら絶対ボコボコにされる」と勘違いした歩くんは、超麗しい素顔を下手な変装でもって隠し逃げ続ける――といった腐設定や展開をこれから生で観賞出来るわけだよねっ!
(※あくまでも郁人の妄想です)


なーんて腐な考え事をしていたら、バチッと歩くんと目が合った。
……あれ?
ぼさぼさ前髪(いや、ヅラだけどね)と瓶底眼鏡で目とか全然見えてないけど、すっごく驚いた顔して俺のこと見てるよー。何で?


「あ……嘘。さ、さっきの人!?」


そう言うと、顔を真っ赤にさせて嬉しそうに近付いて来る。ありゃりゃ、せっかく静かだった教室内がまた騒がしくなっちゃった。
千葉ちゃんごめんね。
え、というか俺すでに攻め要員決定?
むうぅ、出来れば傍観していたかったんだけどな。ま、いいや。

ここはチャラ男設定を生かしてーっと。


 ニコッ


「うっ!」

「う? えーと、さっきぶりだねー。俺はぁ千賀郁人でーす。何か俺、君のこと気に入っちゃった♪ これからよろしくねぇ歩くん?」


んー。この場合「歩ちゃん」か呼び捨ての方が良かったかなぁ。
でも既に俺の中では「王道イコール歩くん」呼びが定着してるし。


「じ、じゃあ郁人って呼んで良いか? 俺は」

「ダメだ歩、千賀には近付くな!」


おおお!?
いきなり歩くんが、後ろから抱きすくめられましたっ。
グッジョブそこの君。えーと確か名前は。

.
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