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第二章
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「変装は絶対に解かないでね」
と頭を撫でられ、何故かギュウウゥと抱きしめられながら念押しされた。
……もう考えるだけ疲れるし、諦めて従うことにしよう。
そこから学生寮へ。
立派な建物が幾つもあって驚いてたら、学年毎に棟が違うとか。
また、生徒会やごく一部の生徒が暮らす『特別寮』は一般生徒の無断立ち入りを禁じている。
などなど、部屋の鍵をくれた寮監さんが教えてくれた。色々ややこしいんだな。
ちなみに俺は第二寮。
二人部屋なのでまずは同室者に挨拶を、と思ったら相手は帰省してて留守だった。
そもそもゴールデンウイーク中は、殆んどの生徒が居ないらしい。
「一人だと寂しいでしょう、歩?」
「べ、別に寂しくないしっ!」
「クス。私が寂しいので、休みの間だけでも一緒にいてもらえませんか?」
「えっ……うん。あ、ありがと、瑞穂にぃ」
そんなやりとりがあって、学校が始まるまでの数日間は結局瑞穂にぃの部屋(特別寮の超豪華な個室!)で過ごしたのだった。
そういえば一度だけ
「瑞穂にぃは家に帰らないの?」と聞いたら
「生徒会の仕事がありますからね」って。
そんなに忙しかったのに、毎日ずっと俺といて良かったのかな。
連休最終日の朝、ようやく自室へ戻って少ない荷物を片付ける。
あ、瑞穂にぃは理事長つまり聡さんから急に呼び出されたらしい。
「手伝えなくてすみません」
って謝られたけど気にすること無いのになぁ。
作業が終わり午後になっても同室者はまだ帰ってこない。だったら今のうちにシャワーを、と油断したのがまずかった。
鼻歌まじりに浴室から出たら帰って来た同室者とバッタリ、なんて。
父さん……約束破ってごめん。
(あっという間に素顔を見られてしまいました、ハハ)
だけど同室者の彼、
“氷川 紀幸”(ヒカワノリユキ)
はとても良い奴だった。
俺が事情を話して変装のことを黙ってて欲しい、と頼んだら快諾してくれたし。
というかむしろ
「俺も、歩は変装してた方が安全だと思う」
って推奨されたんだけど。
だから何でだよ!
俺、そんなに変な顔してんのかな……。
その後、すっかり仲良くなった紀幸からこの学園について色々教えられたけど。
微妙に瑞穂にぃの話とは違ってて、よく分からなかった。
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